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2013年09月24日(Tue)
保護新生児の9割、乳児院に 養子縁組の普及に向け研究会立ち上げ
 出産した親が育てられず児童相談所に保護された赤ちゃんの9割近くが乳児院に入所し、里親に委託された新生児は約1割にとどまっていることが日本財団が行った全国児童相談所アンケートで分かった。これを受け、同財団では「社会的養護と特別養子縁組研究会」を立ち上げ、特別養子縁組の普及に向けた具体策を模索することになった。

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日本財団の主催で5月にシンポジウムが開催された
 調査は4月、全国の児童相談所226施設にアンケートを郵送し、93施設(41%)から回答があった。これによると2012年度、児童相談所に保護された生後4週間以内の赤ちゃんは93施設で204人。うち176人が家庭での引き取りが困難として産院から直接、乳児院に送られたほか、遺棄された身元不明の赤ちゃん5人のうち4人も乳児院に委託され、全体で88%の180人が乳児院に入所していた。

 これに対し里親に委託された赤ちゃんは全体で24人(12%)。うち遺棄された新生児1人を加えた16人は養子縁組を希望する里親に委託された。このほか2歳までに里親や養子縁組相手が決まらず乳児院から児童相談所に移された子供も93施設で267人に上っていた。

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 厚生労働省、民間の養子縁組団体も参加しパネルディスカッション

 未婚や貧困などで親が養育できず保護される新生児の委託先は先進国の多くが里親中心。施設中心のわが国に対し国連も08年、改善を勧告している。これを受け、厚生労働省も11年、「施設より里親優先」の方針を打ち出しているが、今回の調査では依然、施設依存度が高い実態が改めて裏付けられた。

 こうした結果を受け「社会的養護と特別養子縁組研究会」では、今後、特別養子縁組を進める上でどのような事業が有効か、専門家の知恵を広く聞くのが狙い。「養子と里親を考える会」理事長の高橋由紀子・帝京大法学部教授を委員長に、里親委託や養子縁組の普及に取り組んでいる元愛知県児童相談所児童福祉司の矢満田篤二氏ら8人が委員に予定されている。

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会場は満席、関心の高さをうかがわせた

 事務局を務める日本財団では、10月から毎月1回を目標に研究会を開催、各国の法制度や国内の取り組みの現状、問題点について広く研究を進め、来春には報告書をまとめたい、としている。(宮崎正)



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