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2015年12月16日(Wed)
パラリンピック競技特集(7)ゴールボール
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東京大会で男女ともメダルを目指す

「クワイエット・プリーズ! プレー!」(静かにして!プレー開始!)
プレー再開のたびに、レフリーが笛を鳴らして注意を促します。視覚障害者が鈴の入ったボールをゴールに向けて転がし、相手チームはその音を聞きながら体を投げ出して止めるからです。選手たちは全員アイシェード(目隠し)を着用・保護していますが、力いっぱい転がしたボールが体に当たると、骨折することもある激しいスポーツです。ゴールボールは健常者の大会にない競技で、わが国では比較的新しい種目です。

体を投げ出してボールを止める男子選手
体を投げ出してボールを止める男子選手

日本代表が男女合同で強化合宿を行っている京都府立心身障害者福祉センター体育館を訪ねました。男子12人、女子7人の選手が参加し、テープの下にタコ糸を入れて凹凸をつけてあるコートで実践的な練習を繰り返していました。コートは3つのエリアに分けられ、高いボールや長いボールを投げないよう、ルールが細かく定められています。

コートの大きさは18m × 9mで、バレーボールのコートと同じ広さです。ゴールの幅も9mで、コートをいっぱい使って3人対3人の対戦が行われます。ハンドボールに近い球技ともいえますが、コートが比較的狭いだけにスピードが勝負です。

ボールを相手チームに勢いよく転がす女子選手
ボールを相手チームに勢いよく転がす女子選手


この競技は元々、第二次世界大戦で視覚障害を受けた傷痍軍人のリハビリのために考案されたプログラムでした。それをオーストリア人とドイツ人が競技として紹介したのが始まりといわれています。わが国でこの球技が始めて紹介されたのは1982年になってからで、デンマークのスポーツコンサルタントが東京都の盲学校で紹介しましたが、全国的な普及には至りませんでした。

全国に普及するまでには、さらに10年待たなければなりませんでした。92年に日本身体障害者スポーツ協会により、競技規則の本格的な翻訳がなされ、全国に紹介されました。これを機会に東京や京都の障害者スポーツセンターでゴールボール教室が開かれ、競技者の育成につとめるようになりました。その2年後、日本ゴールボール協会が発足し、アジア・太平洋地域の障害者スポーツ総合大会に初参加したのです。

男子チームの強化選手で記念撮影
男子チームの強化選手で記念撮影


日本がパラリンピックへ男子チームを初めて派遣したのは、96年のアトランタ大会予選で、このときは予選で敗れ、本大会出場はできませんでした。女子チームは2004年のアテネ大会に初出場し、いきなり銅メダルを獲得しました。女子はその後も北京、ロンドンと3大会連続で出場し、ロンドン大会では金メダルの栄誉に輝きました。一方の男子は、これまでの大会ではいずれも予選で敗退し、出場できていません。

女子チームの強化選手が記念撮影
女子チームの強化選手が記念撮影


来年のリオ大会への切符も、女子チームはアジア地区大会に優勝して獲得しました。だが、男子チームはアジア地区大会の準決勝で中国に敗れ、今回も出場権獲得はできませんでした。その理由をコーチ陣に聞くと、男子のアジア地区は、中国やイランなど強豪がひしめき合っている最激戦区だそうです。パラリンピックへの出場権は男子が12カ国、女子は10カ国に与えられます。そのうち、4地区からは1カ国ずつに限られ、その前に開かれる世界選手権で男子は4位まで、女子は3位までに入ると出場できます。さらに、開催国枠で1カ国、そのほか最終予選で男子3カ国、女子2カ国に出場権が与えられます。

市川喬一ヘッドコーチ女子チームの市川喬一ヘッドコーチ(39)は、弱視のため盲学校に入学、当時から部活動でゴールボールを続けてきたベテランです。1995年から2007年まで代表選手として活躍、その後、男子や女子のコーチをしています。市川コーチは「女子チームは身長が外人選手より平均して10cmも低く、体力も落ちるが、知力を使って勝っている。合宿ではチームの強みを見つけ、それをしっかり教え込むようにしています」と語りました。リオ大会への抱負を聞くと、「今のチームはロンドン大会よりスキルが落ちている。来年3月の代表選考で選ばれた6人を鍛え、何とかメダル圏内に入りたい」と話しています。

浦田キャプテン女子チームのキャプテン、浦田理恵選手(38)は福岡市在住。20歳を過ぎてから網膜色素変性症が発症して全盲に近い状態になり、ショックで1年以上引きこもりになったそうです。だが、アテネ・パラリンピックで日本が銅メダルをとったテレビを見て、「目が見えなくてもできるんだ」と思い、地元のクラブチームに入りました。「この競技を10年続けていますが、金メダルを取れたのは、ベンチや私たちを支えてくれた人たちのおかげです。リオ大会で結果を出し、東京大会への弾みにしたい」と張り切っています。

信澤用秀選手男子チームのキャプテン、信澤用秀選手(29)は東京在住。生まれたときから全盲に近い状態で、盲学校の先生に勧められ、16歳からゴールボールを始めたそうです。19歳から代表選手となり、すでに10年選手です。「アイシェードを付ければ条件はみな一緒なので、見えない中でどうするかを話し合える。チーム力を高めるとともに、個人のスキルを高めないとダメ。東京大会ではメダルを取ることを目標にやっていきたい」と話しています。

東京大会は開催国なので無条件で出場できるだけに、その内容が問われることになります。男女ともメダル獲得を目標にしており、その目標に向かって今から懸命に練習している姿が目に焼きついています。



競技紹介ゴールボール
視覚障害の選手たちが1チーム3人で行う対戦型の団体競技。ボールは重さ1.25kgで、バスケットとほぼ同じ大きさ。攻撃側はボールを相手ゴールに向かって転がし、守備側は全身を使ってボールを抑える。これを交互に繰り返して得点を競う。試合は前半、後半各12分ずつで計24分行われ、ハーフタイムは3分。選手交代は前後半を通じて計4回行えるが、そのうち1回は前半に行わなければならない。

● 日本ゴールボール協会 ウェブサイト
● 日本財団パラリンピックサポートセンター ウェブサイト    

次回は、1月6日から掲載します。






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