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2015年10月19日(Mon)
新興女性社会企業家フォーラム@渋谷
アジア、中米、アフリカの若い企業家
日本企業との連携を視野に熱い交流


「これからのビジネスの在り方」を考える新興女性企業家*フォーラムが9月28日、渋谷ヒカリエで開催された。日本財団と国際協力機構(JICA)との共催で、2014年8月にタイのバンコクで設立された「アジア女性社会起業家ネットワーク」(Asian Women Social Entrepreneurs Network、以下AWSEN)が協力した。同団体は11月、タイ・バンコクで「第2回アジア女性社会起業家ネットワーク会議」を開催する。

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新興女性企業家フォーラム関係者全員

主催者等挨拶、基調講演に続いて、アフリカ(エチオピア、カメルーン)、中米(エルサルバドル、コスタリカ)、アジア(ミャンマー、ベトナム)から集まった女性企業家3人が登壇し、日本人企業家3人とこれからの連携の可能性についてパネルディスカッションした。

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仕事場を紹介するカメルーンのオードリー・シコさん


カメルーンで食品加工用機器製造・メンテナンス業を営むオードリー・シコさんは、「45人の職員中、女性は2人で、専門技術職は私だけ。仕事ではメンタリングを大切にしており、男性も女性も同じ「人間」という立場で行っている」と強調した。

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短期間で大きくビジネスを成長させたルラ・メナさん


海外新興企業家のプレゼンテーションの最後は、ハンドメイドの手工芸品をデザインするエルサルバドルのルラ・メナさん。「デザインは社会変革の手段」と語り、日本でもおしゃれな人に人気のロン・ハーマンでの実績をスライドで見せた。ルラさんの会社の職員は、「それぞれの配偶者よりも収入が高い。女性は収入が高くなると、家族の健康や教育にお金を使うので社会の変化につながる」と語った。短期間にビジネスを広げられた理由を質問されると、秘訣は「デザイン」。市場の求めるものを調査して、デザインに生かす。 「一度にひとつのデザイン」とキャッチフレーズを繰り返した。

日本の社会起業家からは、発酵ベンチャーの(株)ファーメンステーション代表の酒井里奈さんが登壇した。食用以外のお米の使い道として、米からエタノールを作り、オーガニック化粧品などの原料として、「一般のエタノールの200倍の値段で提供している」とビジネスを紹介した。エタノール生成過程で発生する残留物は鶏のエサとして販売、「日本のどこでもできる持続可能な循環型の取り組みとして広がっていってほしい」と述べた。

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唯一の男性パネリスト、味の素(株)の取出泰彦氏


続いて、新興国での日本企業と地元起業家との連携、女性の力を企業力として活用している実践例として、味の素(株)の取出泰彦氏が「ガーナ栄養改善プロジェクト」の取り組みを、(株)JCBジャポンの板橋マサ江氏が10年前より拡大してきたアルガンオイルやダマスクローズの化粧品生産販売を紹介した。

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左からキン・テト・モーさん、オードリー・シコさん、ルラ・メナさん、酒井里奈さん、
板橋マサ江さん、取出恭彦さん、浜田敬子さん


以上の6人をパネリストに、政治・経済誌「アエラ」で初の女性編集長、浜田敬子さんの司会で、日本企業と新興国社会起業家の連携可能性が議論された。当日登壇しない参加者からも、フォーラムに先立ち訪れた長野や仙台でのフォーラムの印象が寄せられた。「織布機やシルクのような素材など、日本と新興国で共通点がたくさんあるのが分かった。互いに知識を分かち合い、いろいろな可能性が考えられる」との意見も出た。取出氏は、共にビジネスを行っていく上でのキーポイントとして「同じビジョンを共有できる、意見交換をして新しいものをつくっていくのに積極的である」との、2つの条件を挙げた。
     
最後にAWSENを構成する社会団体リテラの渡邊さやか代表が、「今回のフォーラムをひとつのイベントとして終わらせず、その後の行動に変革を与えるものとして活用し、1年後には、さらに成長して集まりたい」と抱負を述べた。

今回会場に集まった約120人のうち、ほぼ90%が女性。ビジネスコンサルタントから一般企業で要職に就く人々など、この機会を業務に生かそうという熱意にあふれた人が多く、フォーラム終了後も活発な交流が行われた。

(井上絵理)
タグ:女性起業
カテゴリ:世界







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