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2015年08月11日(Tue)
インタビュー特集「土佐山アカデミー」(上)
次の100年のために人材養成
高知市の中山間地が舞台


「次の100年のために、地域の資源をいかし、新たな出会いやアイデアを育む、学びの場です」

高知市の中山間地、土佐山地域を舞台に、人材養成の場所づくりを目指すNPO法人「土佐山アカデミー(以下、アカデミー)」。日本財団も助成をしているこの組織が今、視線を集めている。学びの場に人が集まることで地域に新たな魅力を加え、そこで新しい文化を育てる。持続的な地域モデルにつなげ、全国に発信して、一般社会のために貢献する。そんな目標を掲げたアカデミーを7月に訪ね、取材をした。少子高齢化、都市部への一極集中、地域の過疎化、自然環境の減少など多くの課題を抱えた日本の現状の中で「地域に学び、地域のことを第一に考えられる仲間を増やしていきたい」という、組織のあつい思いを2回に分けて報告する。

土佐山アカデミー前庭からの遠望風景
土佐山アカデミー前庭からの遠望風景

「土佐山地域に長年受け継がれてきた豊かな自然環境や『社学一体』をはじめとする教育理念、日々の暮らしの中で育まれてきた生活様式、自然と寄り添って暮らす知恵や伝統文化などは、どれも地域が誇るべき財産であるばかりでなく、自然との接点を失い、そのさまざまな歪みを経験している現代人に数多くの示唆を与えてくれるものであります。私たちはそうした土佐山の財産にあらためて価値を見出し、それらを最大限に活かした学びの場を創出していきたいと考えます」(組織の設立趣意書から)

以下はすべて取材に応じてくれたアカデミー事務局長吉冨慎作さんの説明の要旨だ。吉冨さんは自らのアカデミーへの関わりの経緯から今の立場、将来の目標に至るまで、たっぷり話を聞かせてくれた。

地元の特産はショウガ。ジンジャーエールを掲げる吉冨慎作さん
地元の特産はショウガ。ジンジャーエールを掲げる吉冨慎作さん


アカデミーは2011年7月に発足し、12年10月にNPO法人化した。05年に高知市と合併した中山間地の旧土佐山村を拠点にして、これからの暮らしや社会のあり方を考え、具体的に行動していける人材を育てる場所づくりを目指している。スタッフは吉冨さんら3人。支援組織をつくり、一緒に仕事をこなしている。

▽「田舎は面白いか、否(いな)か」
この地域かつては林業が盛んだった。今はユズ、ショウガの生産など農業が中心。有識者による日本創成会議の発表で、人口減少による『消滅可能性都市』が取り上げられているが、僕たちは面白い田舎でないと残れないと思っている。「田舎は面白いか、否(いな)か」を追求したい。

▽面白い高知を、もっと面白く
僕は下関出身で、外資系の広告代理店にいたが、アカデミーがやっていることがすごく面白いと思って移ってきた。高杉晋作の辞世の句は「おもしろき こともなき世を おもしろく」だが、「面白い高知を、もっと面白く」と考えている。人口1人当たりの県民所得の低さが取りざたされる高知がこれからどんなことをしていくのか、これが日本の方向を指し示すベクトルになると思っている。だからこそ高知でやることに意味がある。「周回遅れのトップランナーになろうよ」と言っている。

土佐山アカデミーは.jpg
アカデミーの活動を伝えるパンフレット


▽今一番クリエイティブな場所
高知県の真ん中に高知市があって、市の右上が土佐山。人口約1000人、94パーセントが森林で鏡川の源流域。10年前に高知市に合併したが、その源流域なので川を汚さないために、すごく有機農法が発達している。土佐山の自慢は豊かな自然だが、自然しかないということでもある。ここをどうやって面白くしていくか。ということになると、やっぱり人が要る。やればやるほど仲間が増える仕組みをつくりたい。田舎にいけばいくほど、暮らしと社会、仕事と自然が、同じ場所になってくる。考え方を変えると、やりたい仕事と暮らしと自然が一緒にある場所、ということになる。だからこそ、今一番クリエイティブな生き方ができる場所ではないかと思っている。

▽「社学一体」の考え
土佐山は明治の時代から学びの最先端を担う場所だった。自由民権運動が始まったのは土佐。土佐山に自由民権家2000人が集まって気勢を上げた、と土佐山村史にも残っている。もともと土佐山には新しい考え方を受け入れる土壌があった。その流れで「社学一体」の考えを村が持っている。今の「生涯学習」という言葉にもなると思うが、よく言われる「村づくりは人づくり」ということを体現している村だ。山の人が普通にやっている当たり前のことが都会にいると見えてこない。人間が関わることで自然が豊になる、ということを土佐山の人を先生にして学ぼうぜ、というのがアカデミーだ。
(竹内博道)

インタビュー特集「土佐山アカデミー」(下)に続く




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