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2015年07月02日(Thu)
カンボジアで活動する日本女性 オバマ米大統領夫人も激励
(リベラルタイム 2015年8月号掲載)
日本財団理事長
尾形 武寿


Liberal.png仕事で世界を回っていると、貧困や子供の教育など、その国の社会問題に全力で立ち向かう日本人に出会い、驚きとともに心打たれることがある。世界遺産アンコール・ワットの玄関口に当たる、カンボジア王国シュムリアップ市で活動する田中千草さんもその一人だ。
2013年、日本財団の姉妹財団である社会貢献支援財団が田中さんを表彰しており、今年3月、阿倍晋三首相の夫人で同財団の会長を務める安倍昭恵氏とともに現地を訪れ、田中さんにお会いした。

田中さんの活躍は、直後に来日したミシェル・オバマ米大統領夫人と昭恵氏の対談でも話題となり、ミシェル夫人は現地を訪れ「このような活動をされていることを誇りに思う」と直接、田中さんを激励されたと聞く。

田中さんは1978年、北海道の生まれ。2007年から2年間、JICA(国際協力機構)が派遣する青年海外協力隊の一員として現地のワット・ボー小学校で音楽教育の指導に当たった。

2年後、JICAを離れ、単独で同校に赴任、校長の補佐として学校運営に対する助言や音楽指導を行う一方、非営利団体「アナコット カンボジア」を設立、活動の輪を広げた。

この国では、かつてポル・ポト政権が「教育は資本主義を教える元凶」と大量の知識人を粛清し、現在も医師や小中学校教師の大幅不足が続いている。

青年協力隊の任期が切れた時、1万人を超す児童の保護者や地域住民から田中さんに現地に留まるよう求める署名が寄せられ、カンボジアでの再出発を決意した。

団体名の「アナコット」はクメール語で「未来」。過酷な環境にあるカンボジアの子供たちに、「自分たちの未来を自分たちの手で作り上げてほしい」との願いが込められている。

ワット・ボー小学校は児童約5千人。この国最大の規模で、田中さんの仕事は校長の補佐等、学校の仕事から、貧困層の子供の就学支援、親に捨てられた子供らとの共同生活等、驚くほど広い。

日本から寄贈された中古のランドクルーザーで飛び回る日々が続いている。
我々が滞在した3日間、着衣を替えた様子もなく、聞けば、シャワーを浴びる時間もないとのこと。「仕方がないんです。カンボジアと会ってしまったのですから」と屈託のない笑顔で語った。

カンボジアは周辺国に比べ外国のNGOなどに対する門戸が広く、シュムリアップ周辺は日本人観光客が多いこともあって、孤児院の運営、伝統的な絹織物やクメール焼きの復活、地域医療などに取り組む日本人が目立つ。 

熱い思いで精力的に活動する姿に地元の評価も高い。しかし住民の暮らしは貧しく、活動はあくまで手弁当。田中さんも日本での講演料や、資材を提供して女性にゾウのキーホルダーを作ってもらい、工賃を払う一方、お土産として売り、その差額を活動資金に充てる等、苦しいやり繰りを余儀なくされている。

当面は女性たちの作業場や身寄りのない子供、家庭内暴力に直面する主婦等を避難させるシェルター機能付きの大型施設の確保が願いという。幣財団は可能な限り支援したく考える。

いま日本では、海外に出る若者の減少が指摘されている。背景には豊かな社会の内向き志向があるのかもしれない。

しかし世界には、医療も教育も受けられない多くの子ども達がいる。田中さん達の活動を通じて、一人でも多くの若者に、そうした世界の現実を知ってほしく思う。(了)

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