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2015年04月15日(Wed)
SIB活用して特別養子縁組促進
わが国初のパイロット事業
日本財団と横須賀市


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協定書を交換する吉田市長=左=と尾形理事長

 新しい官民連携型の社会投資モデル「ソーシャル・インパクト・ボンド」(SIB)を活用して社会養護が必要な子供たちの特別養子縁組を推進する。日本財団神奈川県横須賀市の間でこんなパイロット事業がまとまり4月15日、東京都内で調印式が行われた。
SIBは財政難の中で国や自治体の負担を軽減しながら社会課題の解決を目指す新しい手法で、民間投資を活用して事業を実施し、一定の成果が挙がれば行政が投資家に利子をつけて事業費を償還する。今回は、日本財団が資金を提供してSIBの今後の可能性を検証するのが狙いで、国内では初の試み。今後、兵庫県尼崎市などでも若者の就労支援などを狙いとしたパイロット事業が予定されている。

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関係者がそろって会場の質問に答えた

事業には日本財団が約1,900万円の資金を提供、事業の中間支援組織となり、養子縁組の実績を持つ一般社団法人「ベアホープ」(ロング朋子代表理事)を通じて来年3月までに4人の特別養子縁組の実現を目指す。1年後に専門家による事業評価を行い、民間資金導入の可能性など事業の将来性を検証する。

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調印・記者発表が行われた日本財団ビルの会場

SIBは2010年に英国で開発され、米国、オーストラリア、カナダ、韓国などで導入されているが、いずれも事業半ばで現実に民間投資家に資金を償還するところまではいっていない。今回は日本財団が資金を提供しているため事業が成功しても投資家に対するリターンは発生しないが、関係者は4人の特別養子縁組が実現した場合、児童養護施設を終了する18歳までに約3500万円の便益が見込めると試算している。

こうした背景を受け調印式で日本財団の尾形武寿理事長は「国内初の試みでどのような結果になるか予測がつかないが、成功すれば極めて大きなインパクトを持つ。1年後、2年後の成果に期待している」と述べ、横須賀市の吉田雄人市長は「行政にとって新しい取り組みは失敗の危険が高く、今回は日本財団にそのリスクを引き受けてもらうことになった。全国的にも大きな試みなると思う」と語った。

わが国では、生みの親が何らかの理由で育てられない子どもの約85%、3万1000人が乳児院や児童養護施設で暮らし、社会養護を進める上で家庭養護の普及が大きな課題となっている。中でも養親が子供を実子として育てる特別養子縁組は年間400件前後にとどまっており、今回のパイロット事業では横須賀市内の子供を対象に、広く全国から養親希望者を募ることにしている。(宮崎正)




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