2015年04月02日(Thu)
日本財団記者発表会(4/1) 15年度予算の主な事業を説明
<特別養子縁組>
子どもの権利条約では子どもが家庭で暮らす権利があることをうたっているが、わが国では養護を必要とする子どもの約85%が乳児院や児童養護施設で暮らしている。この割合は先進国では飛びぬけて高く、国連から勧告を受けたこともある。 日本財団が3月に全国で3000人を対象に行った意識調査では、子どもはどこで育つのがよいと思うかの質問に対し、「生涯親として育ててくれる養子縁組家庭」と答えた人が53・3%を占めている。また、家族や知人が保護を必要とする子どもと養子縁組することについて平均23・7%が「好ましい」と答えた半面、36・8%が「知人は良いが家族は考えてしまう」と回答、戸惑いを感じている人が多いことがわかった。 新年度予算を説明する笹川陽平会長 わが国では民間団体が特別養子縁組のあっせんの多くを担っているが、カウンセリングや面談の費用がかさむため、日本財団は養子縁組の実績を持つ民間非営利団体約20団体を対象に資金面で協力している。新年度はこれをさらに充実し、予期せぬ妊娠への対応や養親候補者との面談、家庭調査など、幅広い活動に対し、合計4260万円の予算を計上している。また、4月4日を「養子(ようし)の日」として4日と5日に東京・渋谷の渋谷ヒカリエなどで養子縁組のキャンペーンを行う。 <東日本大震災復興関連事業> 大震災から4年たったが、復興は思うように進んでいないのが実情。このため日本財団は東北3県の5信金への支援を通して復興に取り組むNPOなどへの融資を促進するため「わがまち基金」を設置している。昨年度は1059件、総額276億円を融資しているが、新年度はさらに新たなスキームとして住宅資金支援のための融資制度を導入する。 このほか、民間企業などで経験を積んできた人材を被災自治体に派遣する「復興人材プラットホーム事業WORK FOR 東北」、キリン株式会社からの寄付金約16億円で設立された基金を水産業の復興に生かす「キリン絆プロジェクト」、被災した神社の復興支援を行う「まつり基金事業」などを推進する。 <日本財団在宅看護センター> 高齢社会に突入した我が国の高齢者の健康を守るには、在宅ケアの充実が欠かせない。このため日本財団は看護師が主導する在宅看護センターづくりを推進している。そのセンターを起業する人材の育成事業が昨年6月に開始され、第1期生17人が受講を終えた。このうち、2人の開業が決まっており、今後も全国各地で開業が予定されている。また、新年度に受講する第2期生(募集人数30名)の募集も進んでいる。(飯島一孝) タグ:特別養子縁組・里親
|