2015年02月17日(Tue)
岩手県の水産系3高校の実習船が完成 6月には漁業実習で活用
完成した共同実習船「海翔」 岩手県立の水産海洋系高校3校の生徒が共同で利用する実習船「海翔」がついに完成。竣工式典と見学会が、2月14日宮古市内で開催された。 |
県内の水産海洋系の宮古水産、高田、久慈東の3高校が共同利用していた実習船「翔洋」は、2011年3月、東日本大震災の津波により陸に打ち上げられて廃船となった。次代を担う水産系高校の生徒は「洋上の動く教室」とよばれる実習船を失った。その後、生徒は北海道大学の練習船「おしょろ丸」を借りて、漁業や航海の実習を受けたが、制約も多く十分な授業時間を確保できなかった。
「岩手県沿岸部の地域経済を復興するには、基幹産業である水産業に携わる人材を育成する環境の整備が欠かせない」として日本財団は12年11月、新たな共同実習船建造への支援を決定。総事業費9億9千万円のうち、5億5千万円を拠出、残額を岩手県と国が負担した。新造船は2013年10月に着工、翌14年11月の進水式・命名を経て、この日、待ちに待った竣工式を迎えた。 アトラクションでは太鼓が披露 宮古市民文化会館で行われた竣工式には、千葉茂樹岩手県副知事や日本財団海野光行常務理事のほか、4月以降、実際に船上で漁業実習、航海実習、機関実習を受ける3校の生徒約330人も出席。地域の教育関係者ら総勢500人が集まった。 千葉副知事 千葉副知事は「実習船の完成は水産業の担い手の育成に貢献し、未来の大きな希望となる」と冒頭に挨拶。 海野常務理事 日本財団の海野常務理事は「実習船を与えられたものとして単に受け取るのではなく、高校生活のなかで最大限に活用して、未来につないで欲しい。いつか三陸の海で皆さんが活躍する姿を楽しみにしている」と期待を述べた。 宮古水産高校1年生の佐々木さん(左) 生徒代表として、宮古水産高校海洋技術科1年生の佐々木智輝さんは「私達はこの日を待っていた。船上でしか学べないことも多いので、実習をこの船で体験するのが楽しみ。水産漁業の復興に貢献できる人間になりたい」と謝辞を述べた。 テープカットの様子 実習船の前でニッコリ 引き続いて、宮古港藤原埠頭に場所を移し、テープカットの式典や船内見学会が行われた。テープカットには3校を代表する生徒のほか関係者が参加。その後、多くの関係者が新しい船内の設備や機材を注意深く見学した。 照明はLED 新たに建造された「海翔」は全長34メートル、171トン、定員34人。LEDサンマ集魚灯や船内外の照明にLED灯を採用。女生徒に配慮したトイレや寝室の設備も追加されている。 サンマ棒受け網漁の設備 操舵室 6月から、サンマ棒受網漁、イカ釣り漁、サケ延縄漁、近海まぐろ漁といった漁業実習、航海実習、機関実習で活用される。主な停泊場所は宮古港となる。(山口領) カテゴリ:海洋 |