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2015年01月26日(Mon)
「ハンセン病を考えることは人間を考えること」 富永夏子写真展開催 厳選38枚
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写真会場とメディア関係者の取材を受ける富永さん(中央)

ハンセン病の制圧と差別の撤廃に取り組む日本財団のフォトグラファー・富永夏子さんの写真展「ハンセン病を考えることは人間を考えること」が1月24日から28日まで東京駅前の丸の内オアゾ ○○(おお)広場で開催されている。10年以上にわたり世界約80ヶ国で撮った膨大な写真から38枚を厳選、ハンセン病が“治る病気”となった現在も根強く続く偏見と差別の現状を観る人に問い掛ける内容となっている。
毎年1月最終日曜日の「世界ハンセン病の日」の関連企画の一つで日本財団の主催。富永さんは2002年、日本財団に入り、以後、WHO(世界保健機関)のハンセン病制圧大使、日本政府のハンセン病人権啓発大使を務める笹川陽平会長に同行して患者・回復者が暮らすコロニーや医療施設など“ハンセン病の現場”を写真に収めてきた。

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国立ハンセン病療養所、大島青松園(香川県)
「あの島から出ることが許されないとしたら、あなたはどうしますか?」のコメントが付された

ハンセン病は1980年代に開発された多剤併用療法と呼ばれる治療法で治る病気となり、現在,WHOが制圧の目安とする「人口1万人当たり患者1人未満」の未達成国はブラジル1ヶ国、各国の隔離政策も急速に姿を消しつつある。しかし負の遺産として人の心に染みついた偏見・差別は根強く、回復後もなお差別される悲惨な実態は現在も続いている。

写真展に当たり富永さんは「10年以上、現場を回ってみて、偏見や差別の一番の原因は人々が現状を“知らない”ところにあるような気がする。だから今回は、ハンセン病を取り巻く厳しい現実を少しでも知ってもらえるような写真を中心に選んだ」という。

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隔離の島と陸をつなぐ「嘆きの橋」

例えばコロンビアで撮られた「嘆きの橋」。写真下には「この橋を渡る時が家族との永遠の別れだとしたら、あなたは何を思いますか?」と記され、橋の建設によって患者を隔離した離島と陸(社会)がつながれた後も、差別が続く実態を訴えている。

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子供を殺害されたインドの男性

このほか物乞いをして生計を立てるインドの回復者、足を失った老女、「ハンセン病と共に生きる」と決心することで絶望から立ち直った日本の男性回復者の写真などが並び、中にはカメラを見つめる中年男性の何気ない写真(2010年インド)も。観る人は、下に添えられた「息子を焼かれることはなかった」との一言で、ハンセン病にかかった子供が何者かに殺害されたことを知る作りとなっている。

見学者は24,25の両日で約500人。携帯端末でデータを確認しながら写真に見入る若者も見られ、たまたま通り掛かりに見学したという中年の女性は「ハンセン病は過去の話と思っていた。今もこんな悲惨な状況があることを知って驚いた」と語り、会場アンケートにも「ハンセン病の実情が分かりました。何かできることがあればやりたい」(20代女性)、「ひとの無知は恐ろしいと思いました」(20代男性)など多くの声が寄せられた。 (宮崎正)
カテゴリ:世界





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