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2015年01月19日(Mon)
グローバル・アピールを日本で初めて発表 ハンセン病への差別・偏見撤廃に向け 3月まで多彩なイベント展開
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日本財団ビル1階窓ガラスに貼られたハンセン病回復者の写真とキャッチフレーズ


毎年1月の最終日曜日は「世界ハンセン病の日」。これに合わせて日本財団は国際看護師協会などと連名で1月27日に、ハンセン病患者と回復者に対する社会的差別の撤廃に向けた「グローバル・アピール」を発表する。節目の10回目となる宣言が日本で発表されるのは初めて。これを機に多くの人にハンセン病を理解してもらい、偏見や差別について考えてもらうため「THINK NOWハンセン病」ビデオメッセージ・キャンペーンや、ハンセン病問題を語り継ぐ講演会など様々なイベントを3月まで展開する。
グローバル・アピールは国際機関、各国政府、一般市民を対象に、ハンセン病が完治することや差別は不当であることを訴えるもの。世界保健機関(WHO)ハンセン病制圧特別大使、日本政府ハンセン病人権啓発大使を務める笹川陽平・日本財団会長の呼びかけにより2006年から始まり、これまでノーベル平和賞受賞者や宗教指導者らが連名で発表した。今回は世界の看護団体と連名で宣言する。

ビデオメッセージは特設ウェブサイトを開設し、著名人や一般の人からメッセージ動画を募集し公開している。ダライ・ラマ14世やマツコ・デラックスさん、白鵬、日馬富士両横綱らのスポーツ界、全国の都道府県知事や市町村長からも動画が寄せられている。1月24日には若者にも輪を広げようと、都内数カ所で街頭メッセージを呼び掛ける。さらにキャンペーンを広げようと、GHORUS(ゴーラス)のサービスを利用し、賛同者を募って全国津々浦々に知らせる運動に取り組んでいる。

「世界ハンセン病の日」を中心に3月まで、様々な団体と連携してサイドイベントも実施する。世界各国のハンセン病回復者や家族の姿を撮った写真展、文学を通してハンセン病を考える作家のトークショーや朗読、各国の回復者が住む村でワークキャンプを行ってきた大学生ボランティアによるシンポジウムなどが開催される。

ハンセン病は有効な治療法が確立し、適切に治療すれば完治する。世界の患者数もこの30年間で約540万人から18万人まで劇的に減少している。一方で、病気によって体に変形をもたらすことから長い間恐れられてきた歴史があり、患者・回復者、その家族までもが教育や就職、結婚の機会を制限され社会的差別を受けているのが現状だ。

日本では明治時代から隔離政策がとられ、療養所で一生を送ることを強いられた。隔離政策が廃止された1996年以降も、高齢の回復者はそのまま療養所で生活を続けざるを得ず、平均年齢は83歳を超えている。

ハンセン病と闘った人々の歴史や記憶が次第に失われつつなる中で、暗闇の中での強いられた患者・回復者の生活に光を当て、言葉に耳を傾けハンセン病にまつわる悲劇の歴史や記憶を風化させないために、現代の日本の若い世代にしっかりと受け継ぐことが重要な課題となっている。(花田攻)


※「世界ハンセン病の日」関連の主なイベントの開催日・企画名称・開催地は、以下のとおり

1月22日(木)
「ハンセン病でつながる若者と世界」 合同シンポジウム
東京・早稲田大学

1月24日(土)〜28日(水)
富永夏子写真展 「ハンセン病を考えることは 人間を考えること」
東京・丸の内オアゾ

1月25日(日)
「THINK NOW ハンセン病!」 街頭キャンペーン
東京・秋葉原 UDX ほか

1月27日(火)
「グローバル・アピール2015」
東京・ANAインターコンチネンタルホテル東京

1月30日(金)
文芸でみるハンセン病 〜川端康成に支えられた作家、北条民雄について語る〜
東京・日本財団ビル

2月7日(土)
ともに生きる〜尊厳の確立を求めて
東京・国立ハンセン病資料館

2月15日(日)
朗読ミュージカル「泣かないで」 遠藤周作著『わたしが・棄てた・女』 音楽座ミュージカル「泣かないで」より
東京・桜美林学園大学

2月20日(金)
「ハンセン病を語り継ぐもの」講演会
鹿児島・鹿屋市




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