2014年12月17日(Wed)
人命救助などで47件を表彰 社会貢献支援財団
式典会場風景 社会の各分野で顕著な功績を挙げながら、報われる機会が少ない人や団体を顕彰している社会貢献支援財団(安倍昭恵会長)は12月1日、都内のホテルで2014年度受賞者の表彰式を行った。人命救助など3分野で計47件が表彰された。 |
壇上に並ぶ受賞者の皆さん 同支援財団は1971年に設立、日本財団の助成を受けて活動しており、受賞者には「日本財団賞」として副賞50万円が贈られる。昨年度までの表彰件数は1万2千件余りに上っている。表彰対象は「人命救助」「社会貢献」「海への貢献」の3分野で、個人・団体を問わず一般から広く候補者が推薦され、学識経験者で構成している選考委員会(委員長 塩川正十郎・本財務相)で決定する。本年度は136件の推薦があった。 挨拶する安倍会長 表彰式では、安倍晋三首相夫人の安倍会長が挨拶し、「海外に行く機会が多くなったが、日本への評価が高いのは、皆さまのような地道な活動を続けている方のおかげだ」と述べた。三笠宮瑶子さまも出席し、表彰を受けた人たちを激励された。 受賞者を代表してあいさつする田宮さん 受賞者を代表してあいさつしたのは「広島いのちの電話」の田宮トシエさん(88歳)。1988年に開設以来、年中無休で24時間対応しこれまで37万件の相談を受けた。病気、貧困、介護疲れなどから自殺をほのめかす内容も。「心の中のもう一つの声を聞いてほしい、という思いをしっかり受け止めるようにしている」と田宮さん。生きていてよかったと思うように相談者に寄り添っている。 人命救助で受賞した佐藤さん 「人命救助」で受賞した1人が、青森山田高校野球部の3年生だった佐藤和哉さん。昨年7月16日、夏の高校野球青森県大会が開かれていた青森市営野球場で大会補助員として交通整理中、女性の叫び声を聞きつけ駆け付けたところ、男が女性に馬乗りになって首に包丁を突き付けていた。佐藤さんは危険を顧みず男に体当たりし、包丁を素手で取り上げ男を取り押さえた。佐藤さんは今年、青森県警の試験に合格した。 表彰を受ける北川、北崎、近藤の皆さん 昨年7月1日、三重県内の名阪自動車道を時速80キロで走行中の大型観光バス(乗客31人)の運転手が突然意識を失った。運転操作不能になったことに気付いた北川よし子さん(愛知県在住)と北崎緑さん(同)がハンドルを操作、近藤潤哉さん(同)が運転席足元に潜り込み、手でブレーキペダルを操作。ガードレールに接触しながらもバスを停止させ、乗客31人は無事だった。 受賞したシスター 樽角カネさん 世界では飢えに苦しむ子どもたちが多い。「社会貢献」で受賞した1団体が、年米ボリビアで四半世紀にわたり乳幼児を養育しているのが「イエスのカリタス修道女会」の日本人シスターたち。運営当初、ボリビア全体が貧しく赤ちゃんの粉ミルクや食べる物も劣悪な環境にあったが、シスターらの献身的な活動や日本からの支援で、約140人の乳幼児たちの発育や運営も改善してきた。政府機関からの保障は不安定で、支援が途切れると運営に支障が生じるギリギリの中で、懸命に養育する活動を続けている。 表彰を受ける事務局長の小川恵美子さん NPO法人ソルト・パヤタス(福岡県)。フィリピン・ケソン市のパヤタスという貧困地区で、ゴミを物色し、生活費をねん出する子どもや母親のための支援を行っている。奨学金の援助を行う教育里親運動や、収入源の確保に手工芸品の生産販売を援助する活動を実施。女性に刺繍による収入を奨励し、利益を生み生計を立てるまでに成長している。 受賞したセンター長の神田優さん 高知県の西端部、大月町柏島で海づくりに取り組んでいるのがNPO法人黒潮実感センター。透明度が高く色とりどりの熱帯魚やサンゴが群生しており、「島がまるごと博物館」としてとらえ、人と海が共存できる「里海」構想を掲げている。エコツアーの開催、住民の物産販売「里海市」への参加、サンゴや藻場の保全活動などを続け、小さな島での事業が全国へと広がりを見せている。(花田攻) |