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2014年09月17日(Wed)
メコン地域と日本の協働を アジア女性社会起業家セミナー報告会 東京で開催
 「アジア女性社会起業家セミナー報告会」が9月14日、東京の日本財団ビルで開催された。外務省主催の「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」公式サイドイベントで、政府関係者や援助機関、NGO、民間企業や学生、起業家など45人が参加。タイで開催されたセミナーの概要説明やメコン地域における女性社会起業家の実情調査の結果報告、セミナーに参加していたタイ・ミャンマー・ベトナムから4人の海外ゲストによるパネルセッションが実施され、メコン地域と日本の社会ビジネスの協働可能性を模索した。

セミナー会場の様子
セミナー会場の様子
 同セミナーは、メコン地域(タイ・カンボジア・ミャンマー・ラオス・ベトナム)の女性社会起業家の機会拡大のため経験・ノウハウ共有とネットワーク形成を目的に、7月30日から3日間、タイの首都バンコクで開催された。メコン地域で活動する女性社会起業家ら約40人がバンコクに集結し、「メコン地域女性社会起業家実情と課題理解」「社会起業界のジェンダー主流化」「女性社会起業家支援体制構築」「キャパシティー・ビルディング」「ビジネスモデル再考とコラボレーション」の5つのテーマでトークセッションを実施。最終日には今回、地域初となる「アジア女性社会起業家ネットワーク」の発足が宣言された。

バンコクで開催された「アジア女性社会起業家セミナー」参加者集合写真
バンコクで開催された「アジア女性社会起業家セミナー」参加者集合写真

 報告会のために来日したのは、「アジア女性社会起業家セミナー」主催者である女性の地位向上協会(タイ)のメイティニー・ブホングスヴェジ事務局長、セミナー参加者で、伝統手工芸技術を施したUSBを法人販売している「クラフト・ミャンマー」のチチ・ネインさん(ミャンマー)、障害を持った子どもたちのアート作品を小物や生活雑貨に加工販売している「トヘ・ジョイント・ストック・カンパニー」のファム・チ・ヌガンさん(ベトナム)、農村部の女性職人と共に綿花・織物を製作販売する「フォークチャーム・クラフト」のパサウィー・タパサナンさん(タイ)の4人。

参加者のチチさん
参加者のチチさん

 「メコン地域と日本におけるソーシャルビジネスのコラボレーション」をテーマにしたパネルセッションでは、海外ゲストが自身の団体紹介をした後に、セミナーで得たことや今後の展望について語った。パサウィーさんは、自身の団体が設立間もないために、「セミナーでは、メコン地域やその他地域での様々な事例を聞いてとてもいい勉強になった。特に日本のマーケティングの講師からは、自分たちの製品が他の製品とどう違い、どこに価値があるのかを丁寧に顧客に説明することが大事だと学んだ」と述べた。参加者から「社会起業家として女性ならではの苦労はあるのか」という質問があり、メイティニー事務局長から「メコン地域では都市部を除いて、教育・技術・資金にアクセスが弱いとされています」と同地域共有の課題が説明された。

発言するパサウィーさん
発言するパサウィーさん

 海外ゲストは報告会前日に、日本のマーケットを視察。そのツアーの感想も報告された。渋谷・表参道・新宿のデパートやショップを見学した海外ゲストからは、「日本の商品展示の仕方が工夫されていて大変参考になった」「日本人消費者の工芸品や職人への敬意が高いことに感銘を受けた」という感想が。中でもチチさんは「日本の47都道府県の工芸品の展示を見て、135の少数民族がいるミャンマーでもその民族性を生かした商品展示ができたら素晴らしいと思う」とコメント。ファムさんからも「日本のマーケットは競争が激しいが、その分ポテンシャルのあるマーケットだと思う。消費者ニーズをさらに勉強して、自分たちの商品を向上させていきたい」と今後のメコン地域・日本のコラボレーションへの期待が語られた。

熱心に日本のマーケットを見学するメコン地域の起業家
熱心に日本のマーケットを見学するメコン地域の起業家

 会場には、海外ゲストの商品を展示。海外ゲストと参加者の交流セッションでは、商品やその背景にある社会問題について直接、意見交換した。気に入った商品を購入する参加者も多く、参加者からは、商品に対して「アイディアが新しい」「とても可愛い」「マーケティングを考えれば3倍の値段で売れる」といった高い評価が寄せられた。半面、「製品の質は高いが、同様製品との差別化が難しい」「日本のマーケットで売るにはもっと品質を上げなければ厳しい」といった辛口コメントも。海外ゲストにとっては、辛口コメントも商品改善の参考となり「日本のマーケット調査ができた」と大満足の様子。報告会自体が、メコン地域と日本のコラボレーションのきっかけとなったようだ。

報告会会場での起業家商品を展示
報告会会場での起業家商品を展示

 今回のセミナーを通して、メコン地域の女性社会起業家が経験・ノウハウを共有でき、地域でのコラボレーション創出可能性を見出した。最終日に発足したネットワークにより、社会起業家として活動している人たちに「ジェンダー視点」を取り入れることができ、ジェンダー主流化を加速するきっかけも作ることができた。本セミナーや開催後の反響を評価して、今後も日本財団は定期的に同地域の女性社会起業家セミナー開催を予定。さらに「アジア女性社会起業家ネットワーク」を盛り立てていきたい。(田中麻里)
タグ:ミャンマー 女性起業
カテゴリ:世界





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