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2014年06月03日(Tue)
「はじまりの美術館」オープン 新しいアートの発信基地に
 福島県・猪苗代町の築120年の元酒蔵「十八間蔵」を改築して完成した「はじまりの美術館」が6月1日開館、盛大に記念式典が行われた。既存の美術教育に左右されず心のままに表現するアール・ブリュット(生の芸術)の美術館として、アートや物づくりの発信基地、さらに東日本大震災後、観光客の落ち込みなどが著しい地元の活性化の拠点として期待されている。

開館したはじまりの美術館
開館したはじまりの美術館
 運営するのは郡山市の社会福祉法人・安積愛育園(佐久間啓理事長)。大震災の後、村上隆氏ら14人のアーティストがニューヨークで行ったチャリティーオークションの売上金から3億円余の寄付を受け日本財団が設けた「New Day基金」からの支援金約6300万円などを基に蔵を全面改装した。

憩いのスペースでくつろぐ見学者
憩いのスペースでくつろぐ見学者

 天井の巨大な梁など酒蔵時代の面影を残す美術館の床面積は284平方b。3つの展示室のほか憩いのスペースも用意され、開館記念企画「手づくり本仕込みゲイジュツ」もスタート。国際美術展ベネチア・ビエンナーレにも出品した陶芸作家・澤田真一さんや割り箸をふんだんに使った武田拓さんの作品などが展示された。

展示された武田拓さんの作品
展示された武田拓さんの作品

 式典で佐久間理事長は「はじまりの美術館は本日がはじまりです。被災を経験した猪苗代をはじめ福島県、全国の皆さんに何度でも訪れたいと感じていただける場所にしたい」と挨拶。日本財団の尾形武寿理事長は「日本財団の使命は皆が皆を支える社会の実現」、「一番大切なのは、この美術館の今後。皆さんの力で末永く親しめる施設に育ててほしい」と語った。

関係者で鏡開き
関係者で鏡開き

 猪苗代町は人口約1万5000人。前後公・町長は「街は震災後、空洞化が加速し厳しい状況にある。文化施設に生まれ変わった蔵を町の人々の新たな心の拠りどころにしたい」と挨拶。式典に出席した福島民報社の渡部世一会長も「他の美術館などと合わせ地域文化のネットワークの拠点に十分なり得る」と語った。

築120年、天井には巨大な梁が
築120年、天井には巨大な梁が

 日本財団では街中に残る古民家や蔵を改修し、障害の有無を越えた芸術文化の発信拠点としてアール・ブリュット美術館の整備に取り組んでおり、はじまりの美術館は滋賀県の「ボーダレス・アートミュージアムNO−MA」、高知県の「藁工ミュージアム」、広島県の「鞆の津ミュージアム」、京都府の「みずのき美術館」に次ぐ5番目の支援対象施設。さらに5カ所程度、整備を進める考えだ。(宮崎正)




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