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2014年04月22日(Tue)
花や鳥の美しい絵が心和ませる 中国ハンセン病回復者が作品展
 中国のハンセン病回復者の作品展が、東京都東村山市の国立ハンセン病資料館で4月5日から5月11日まで開催されている。中国の回復者が作品展を開催するのは初めて。苦難の人生を乗り越えた絵画は美しく描かれ、訪れた人の心を和ませている。

作品展の正面に飾られている2枚の絵
作品展の正面に飾られている2枚の絵
 出品したのは中国広東省の回復者村に住んでいる画家・書家の林志明さん(85)。貧しい家に生まれた林さんは8歳で発病。療養所の都合で入退院を繰り返し、回復後も差別を受けて勤務先を解雇されるなど辛酸を嘗めた。書と画は独学で会得、路上で書を書きながら生計を立てた。中国国内から差別・偏見をなくす回復者の支援団体「HANDA」の活動を始め、15年をかけた自伝的長編小説「苦難不在人間」を出版。2001年には世界的に顕著な功績を残した人に与えられる「ウェルスリーベイリー賞」を受賞した。現在は療養所で画と書の制作に励んでいる。

 正面入り口には色鮮やかなチューリップ。ゆったりとした敷地の両側には葉桜となった桜の大木が迎えてくれる。国立ハンセン病療養所の1つ多摩全生園の一角にある国立ハンセン病資料館。1階のギャラリーで林さんの作品展が開かれている。ひときわ目を引くのは赤や黄色など5色の牡丹を鮮やかに描いた絵だ。出品作品22点のうち牡丹を描いたのが9点もある。牡丹は中国の国花となっている。林さんの雅号は「風雨之舟」。嵐の中の一艘の舟のように自分の人生は翻弄されてきたという。それでもどうして描く絵は華やかで美しいのか。「回復者として暗い中で生きてきたが、亡くなった後でも美しいものを残せることが自分の幸せだ」。林さんの言葉が心に響く。

1階のギャラリーので展示されている作品
1階のギャラリーので展示されている作品

新緑の季節を迎える資料館
新緑の季節を迎える資料館

 会期中の4月7日、林さんは世界のハンセン病患者・回復者を支援している日本財団の笹川陽平会長を表敬訪問した。笹川会長が「林さんの芸術的作品は日本人に大きな感動を与える」と挨拶し、「長い苦しみを乗り越え、人生を歩んできた人の顔は素敵だ、林さんは仏様のような顔をしていますね」と話しかけると、林さんは「謝謝」とニッコリ。林さんから笹川会長に「仁慈博愛」と書かれた色紙が贈られた。

色紙を手にした笹川会長(左)と林さん(右)
色紙を手にした笹川会長(左)と林さん(右)

 林さんと日本との交流のきっかけは、現在、同資料館でハンセン病の語り部を務めている平澤保治さんが1996年に中国・広州市で開催された回復者の自立を目指す国際ネットワーク会議に参加し、出会ったことだった。平澤さんは13歳で発病し多摩全生園に隔離された。戦後、ハンセン病患者の人権回復運動の中心となって活動し、吉川栄治文化賞などを受賞している。会議終了後に平澤さんが林さんの療養所を訪れた際、貧しい生活の中で収入の大部分をHANDA活動に費やしていることを知り、深い感動を覚えたという。

作品展の図録
作品展の図録

 2007年にリニューアルした同館では、国内と同様に差別・偏見にさらされている海外のハンセン病の状況にも目を向けていくことを目指し、資料展示に力を入れているが、中国はなかなか紹介できなかった。林さんの作品を展示したいという平澤さんらの強い思いがあり今回、実現した。作品展の図録で平澤さんは「牡丹の美しい色彩と表現力の中に、林さんの生き様と理念が刻み込まれている」と賛辞を寄せている。

 作品展開催に当たり、林さんと直接交渉したのは同館学芸員の金貴粉さん。昨年11月、広州の回復村を訪問した。協力したのが広東省を拠点に中国のハンセン病回復村の支援活動をしているNGO法人「家―JIA」(原田燎太郎代表)。中国のハンセン病回復村は600か所、2万人が生活しており、日中の学生が広東省のハンセン病回復村で村の人と交流するワークキャンプを展開している。

 林さんは体力に自信がなくなり精力的に動けなくなっていたが、作品展の話を聞くと絵を描く筆がどんどん進んだという。沢山ある絵の中から林さんは自信作20点を自分で選び、金さんに託した。林さんは「日本で個展を開くことになるのは夢にも思いませんでした。心より感謝します」と、作品展の講演会であいさつした。

 ここ数年、世界各地でもハンセン病資料保存の動きが目立っている。韓国では植民地時代の資料が日本にあることから、調査のため来日している。金さんは「海外は資料収集の面では日本より少ない。今後は人的交流を中心に協力すると共に、資料館内の世界の紹介コーナーを充実させたい」と話した。資料館は新緑の季節を迎える。(花田攻)

展示されている消火設備と映写機。隔離されていたため入所者が自分たちで消火活動や撮影会を行った
展示されている消火設備と映写機。
隔離されていたため入所者が自分たちで消火活動や撮影会を行った
タグ:ハンセン病 中国
カテゴリ:健康・福祉





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