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2014年04月01日(Tue)
心に響く日本太鼓の音 ジュニアコンクール 郡山チーム優勝
 伝統文化の日本太鼓の後継者育成を図る「第16回日本太鼓ジュニアコンクール」が3月23日、福島県郡山市・郡山市民文化センターで開催された。ブラジル、台湾を含む55チームが出場し演奏を競い合った結果、地元の「岩代國郡山うねめ太鼓保存会小若組」が優勝し内閣総理大臣賞に、台湾の「天祥太鼓團」が準優勝で総務大臣賞に、3位の文部科学大臣賞には石川県の「輪島・和太鼓虎之介」がそれぞれ輝いた。

55チームが勢ぞろいして開会式
55チームが勢ぞろいして開会式
 同コンクールは日本財団の支援を受け日本太鼓財団が主催、東北太鼓連合などが主管となって開かれた。出場資格は18歳未満で1チーム15人以内。全国455チーム、4800人が予選に参加した。開会式で同財団の塩見和子理事長は、日本財団の「まつり応援基金」で東日本大震災の被災地に486個の太鼓を支援したことを紹介、「地元の皆さんも一生にがんばろう。太鼓は元気の源。元気を持って帰っていただきたい」とエールを送った。同連合会長で福島民報社の渡部世一代表取締役会長は「震災から丸3年経っているが、復興の先行きはまだ厳しい。復興の原動力は若者の元気とたくましさだ。太鼓は東北と全国に大きな勇気と力を与える」と期待を寄せた。

開会式であいさつする塩見理事長=左=と渡部福島民報社会長
開会式であいさつする塩見理事長=左=と渡部福島民報社会長

 コンクールは課題曲を1分間、創作曲を4分間の計5分以内に演奏する。「ドーン」と体に太く響く大きな宮太鼓、高い音域の締め太鼓、その中間の響きを出す桶太鼓。打つ手はチームワーク良くバチを高く掲げたり、ハイテンポで叩いたりして、太鼓の音が重なりあう。太鼓の音に混じり笛や鉦の音とともに、獅々舞や巫女、連なった提灯を肩に乗せて舞う秋田竿燈まつりなど郷土色豊かな踊りも加わり、演奏を盛り上げる。

竿燈を手で挙げる秋田のチーム
竿燈を手で挙げる秋田のチーム

 緑色の祭り装束で登場したのは岩手県代表の「山口太鼓の会 嵐」。小学6年生から高校3年生までの15人が息を合わせ、飛び跳ねるように太鼓を乱打。最後はバチを打つ手を高く上にあげて演奏を終えた。同会の活動拠点は宮古市田老町で、会員には大きな被害はなかったが、周囲は壊滅的な状況。「被災直後には太鼓を打つ気力もなかった」。同会代表の佐々木清さん(64)は当時を振り返る。それでも周りから太鼓で元気づけてほしいと励まされ、再開した。「太鼓を叩きたくても、亡くなってしまい叩けない人が大勢いる。その分まで思い切って打ってこい」。佐々木さんはそう言って舞台に送り出した。

震災乗り越え太鼓を演奏する山口太鼓の会嵐
震災乗り越え太鼓を演奏する山口太鼓の会嵐

 コンクールの審査委員には“世界のナベサダ”トップミュージシャンの渡辺貞夫さんと、作曲家の喜多郎さんが加わっている。演奏終了後の講評で渡辺さんは「技術的な差はほとんどないが、太鼓を可愛がって打ち抜いて良い音を出すチームと、がむしゃらに叩くチームとで差が出た」と述べ、さらに課題曲「黎明」の演奏にも触れて、夜明け前を表すため静かな音から始めたのは1チームしかなかった、と厳しいコメントをした。喜多郎さんは審査基準の最初に礼儀・作法が挙げられているのを指摘し「太鼓を通じて礼儀・作法を学ぶことはこれからの人生に大きなプラスになる」と出演者に呼び掛けた。

講評する渡辺貞夫氏=左=と喜多郎氏
講評する渡辺貞夫氏=左=と喜多郎氏

 優勝した「小若組」は、地元に伝わる和歌を笛とともに吟詠と詩舞によって表現。14人のチームワークが良くとれ、太鼓の演奏技術も強弱をつけて高い評価を得た。塩見理事長は「2位以下に大きな差をつけた掛け値なしの優勝」と称えた。優勝旗が「箱根の関所」から東に越えたのは初めてという。優勝旗を手にしたメンバーは「素直にうれしい。練習通りの力が出せて悔いの残らない演奏だった。これまで支えてくれた人に感謝したい」と喜びいっぱいの表情だった。

優勝した小若組
優勝した小若組

準優勝の天祥太鼓團
準優勝の天祥太鼓團

3位の虎之介
3位の虎之介

 次回の第17回コンクールは来年3月、長野市で開催される。(花田攻)




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