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2014年03月14日(Fri)
同じ発達障害の子を育てた親だからできる ペアレント・メンター養成講座
 2月15、16日の2日間にわたって、名古屋市高齢者就業支援センターで特定非営利活動法人愛知県自閉症協会・つぼみの会主催による「ペアレント・メンター養成講座 応用研修X」が開催された。本講座は応用編ということもあり、ペアレント・メンター基礎研修修了者を対象としているが、15日は一部公開講座とし、広く参加者を募ったところ愛知県内外から130名以上の参加者があった。

会場には130人が集まった
会場には130人が集まった
 ペアレント・メンターとは、発達障害を持つ子どもを育ててきた保護者として、同じく発達障害を持つ子どもを抱える保護者に対して、相談や情報提供を行う人材。国内のペアレント・メンター活動は、日本自閉症協会によるペアレント・メンター養成研修が2005年に始まったのを皮切りに、2010年には厚生労働省の発達障害者支援体制整備事業にも組み込まれ制度化されてきている。今回の研修は、日本財団が支援してから今年で4年目。

 初日の15日は、午前中、愛知県でのペアレント・メンターの活動状況が報告された。午後には公開講座が行われ、愛知県心身障害者コロニー中央病院の吉川徹医師より発達障害の診断基準の移り変わりについて説明があった。発達障害の診断には大きく分けて世界保健機関によるInternational Classification of Disease (国際疾病分類、ICD)とアメリカ精神医学会によるDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (精神障害の診断と統計の手引き、DSM)が用いられている。今回は、DSM改訂版の日本語訳が発表されることになり、吉川医師は改訂内容を専門用語の多い医学的知識を分かりやすく説明し、参加者も熱心にメモを取っていた。吉川医師によれば、診断基準の改訂はこれまでの診断基準に大きな影響を与えることはないという。「本日の講演内容を全て覚える必要はないが、基準や概念を無視しすぎると、お互いに話が通じなくなることに留意してほしい」と最後に締めくくった。

吉川徹医師spacer.png井上雅彦教授
吉川徹医師spacer.png井上雅彦教授

 公開講座では、鳥取大学の井上雅彦教授が発達障害児の性への対応について講演した。性をめぐる課題は、テーマとして扱いづらく、情報を得る手段も限られている一方で、本人や保護者が避けて通れない課題である。今回、ペアレント・メンター研究の分野で著名な井上教授がそのような課題を解説するということもあり、参加者は熱心に聞き入っていた。井上教授によれば、自閉症・発達障害を持つ子どもを抱える保護者の多くが、子どもの性の課題について多様な悩みを抱えているという。井上教授は豊富な事例と資料を交え、性の悩みを抱える子どもへの具体的な接し方や家庭で行える性教育について説明した。また、保護者だけでなく子ども自身も性の課題について悩みを抱えていることを指摘した上で、井上教授は「悩んだ時に相談できる相手を持っていることが重要である」と述べた。さらに、性的な行動について問題がある場合は、なぜ子どもがそのように行動するのかを丁寧に分析して原因を探ることが必要で、単に問題行動を禁止するだけでなく、問題行動が起こらないように環境を調整する、代替行動をするよう促す等の対応も考慮に入れるべきであるという。

 2日目は、午前中に4人の研究者からペアレント・メンター活動を行う際の留意点の発表があった。まず、北海道教育大学旭川校の安達潤教授は就学前の支援について説明。発達障害児を抱える保護者は、障害の疑いをもってから診断までタイムラグがあるため、保護者は診断前に長期間不安を抱えやすい。また、診断後も様々な子育て等について悩みを抱えるため、保護者への支援は不可欠である。具体的な事例をもとに、どのように保護者の相談に乗る際の留意点について説明があった。特に、ペアレント・メンターと保護者が「共依存」に陥るリスクを強調。共依存とは、メンターが相談者に頼られることに過度に依存し、かつ相談者がメンターに過度に依存する状態をさす。結果として、メンターが相談者に対して支配的な態度をとるようになり、相談者がメンターに対し従属的な態度をとるようになってしまうという。

 続いて、3人のペアレント・メンター研究者が相談対応時の留意点を様々な視点から説明。共通して指摘していたのは、相談者の話をよく聞き、相談者の考えや意見を尊重するということであった。専門家と比較した場合のペアレント・メンターの特長の一つに、同じ境遇にあることによる共感性があり、話をよく聞いてもらうだけでも保護者としては気持ちが楽になると思われた。

安達潤教授spacer.png竹澤大史研究員
安達潤教授spacer.png竹澤大史研究員

 午後はグループワークが行われた。2つの事例を取り上げ、ペアレント・メンターとして応答の仕方や相談の進め方、情報収集の仕方、相談の終え方についてグループで討議した。ファシリテーターの司会のもと、参加者は自分の考えを次々に発表し、活発な議論が交わされた。他の参加者の意見が参考になったという感想が非常に多かった。

グループワーク
グループワーク

 研修を通じて内容が充実していたうえ、長時間にわたる研修にも関わらず、参加者の高い意欲、熱意が持続していたことに感銘を受けた。ペアレント・メンターの活動は全国に広がってきているが、その質は各地域でばらつきがあるのが現状である。愛知県で培われた応用研修が全国に広がっていくことを期待したい。(花岡隼人)
タグ:発達障害
カテゴリ:こども・教育





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