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2013年04月25日(Thu)
鉄の女の中国観
(朝雲 2013年4月25日掲載)

日本財団会長 
笹川 陽平 

「鉄の女」マーガレット・サッチャー英元首相が逝去された。多くの報道にあるように、衰退しつつあった英国を蘇生させ、冷戦終結に大きな役割を果たした偉大な政治家だった。

 亡き父・笹川良一とウマが合ったようで、何度かお目に掛かる機会を得た。最初にお会いしたのは一九八四年六月。父がダウニング街一〇の首相官邸の夕食会に招かれ随伴した。閣僚を交えた夕食後、私たち二人を閣議室に招き入れ、父を首相席に座らせた上で「長時間、この椅子に一人座り一万三千キロの長征を決断した」と二年前のフォークランド紛争を問わず語りに振り返られた。
 当時、英国は不況の直中にあり、炭鉱ストにどう対処するか、難題が山積していた。父が「敵に味方あり、味方に敵あり」の格言を引いて励ますと、床に置いたバックから手帳を取り出し、その言葉をメモされた。四年後、父と再会した折に「お陰で炭鉱ストを解決することができた」と礼を述べられたという。

 父が「あなたは鉄より強い鋼鉄だ」と持ち上げると「でも夫のために週二回は食事を作っている」と笑顔で見せる一幕も。昨年、日本でも公開された映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」では主演のメリル・ストリーブが、政治家であり妻であり母親でもあったサッチャー像を巧みに演じ評判を呼んだ。

 香港返還(九七年)を目前にロンドンでお会いした際は、「中国に法と正義の尊さを教えるために全面返還に応じた」、「中国は“法治”が分かっていない」と厳しい中国観を披露された。背景には天安門事件(八九年)で民主化を力で封じ込んだ中国政府、冷戦を通じ厳しく対峙した共産主義への強い不信があった。

 私は中国に知己も多く、当時は中国の変化に期待し、しばらくは静かに見守るべきだ、と考えていた。しかし「共産中国に明日はない」とまで言われた。

 以後十五年以上を経て、中国は世界第二の経済大国に発展し、軍事強国への道をひた走る。海洋の覇権を求め、尖閣諸島問題では日本に対する挑発や威嚇行動をエスカレートさせている。「あなたの見方は正しかった」。ご冥福をお祈りし合掌。
タグ:イギリス 中国
カテゴリ:世界




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