そんな中、1月20日に再登板を果たしたトランプ米大統領は、ウクライナを支援する欧州各国だけでなく被害者であるウクライナの頭越しにロシアのプーチン大統領と直接交渉を進め、“選挙公約”でもある「即時停戦」に向け矢継ぎ早に強硬策を打ち出し、混乱と動揺が広がっている。
まずは2月19日に日本財団が行ったこの3年間の支援活動報告の内容を紹介する。ウクライナ避難民に対する支援は日本国内に身元保証人を持つ避難民を日本財団、それ以外の避難民を政府が支援する形で始まり、日本財団はこれまでに約2000人に対し年間100万円の生活費などを支援してきた。約30%が帰国などで既に日本を離れている。
冒頭で報告した調査は残る約70%のうち18歳以上の避難民を対象にオンラインアンケートを行い887人から回答を得た。2年前の23年3〜6月に行われた同様の調査(回答者1077人)では33%が「できるだけ長く日本に滞在したい」、39%が「しばらく日本に滞在したい」と答えており、できるだけ長い滞在を希望する人が2年前に比べ10ポイント以上、上昇しているのが特徴だ。
そのほか19%は「日本の環境(支援の有無や家族呼び寄せの可否など)によって判断したい」、7%が「未定・わからない」と回答。「なるべく早く帰国したい」は1.4%、「ウクライナ以外の国への移動」は0.6%と低い。このほか全体の約70%を占める成人女性のうち5人に4人がパートタイムを含め就業中、就学年齢児童の60%以上が日本の学校に通学といったデータもある。
そうした中で2月28日、ホワイトハウスで行われたトランプ大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の会談は激しい口論の末、決裂した。トランプ大統領は早期停戦の実現に向けウクライナに対する全ての軍事支援を一時停止するなど強硬措置も打ち出しており、ウクライナは自国領土の割譲だけでなく、NATO(北大西洋条約機構)の加盟も難しい状況になった。
今後の展開を予測するのは難しく、避難民の動揺も大きい。避難民に対する生活費など日本財団の経済的な支援は「3年間の緊急支援」としてスタートしており、来年4月で一段落するが、引き続き日本に滞在する避難民に対する日本語教育や就業支援が必要になると考えている。
日本財団ウクライナ避難民支援 アンケート結果(第8回)より抜粋