• もっと見る

前の記事 «  トップページ  » 次の記事
2011年03月31日(Thu)
日本財団主催 障害者就労支援イベント
(全国地域生活支援ネットワーク 情報誌 2011年3月31日掲載)

〜はたらく障害者を応援します〜
ミスキャンパスがお届け!移動販売ライブバトル


公益・ボランティア支援グループ
浅倉 麻衣子

“ミスキャンパス”というタイトルに引っぱられ、この記事に目を留めていただいた方も多いかもしれません。今回は、そんな人々の共通心理(?)をくすぐって、もっと多くの人たちに障害者の就労について知ってほしいという想いのもとに実施した日本財団主催のイベントについて、ご紹介したいと思います。
日本財団では、1994年度から「障害の有無や年齢にかかわらず、誰もが不自由なく地域で暮らせる社会の実現」を目指し、障害者や高齢者の在宅・通所サービスに適した福祉車両を重点的に配備してきました。その数は、2010年度までで累計で27,000台を超え、今では街中でも多く見かけるようになってきています。読者のみなさんの中にも、どこかで見かけたことがある、あるいはご所属の施設で毎日使用している、という方がいらっしゃるのではないでしょうか?

zm2011895_01.jpg
事業開始当初は、訪問入浴車や車いす対応車などの福祉車両をメインに支援をしておりましたが、近年は特に障害者の就労支援施設において、販路の拡大や事業の効率化が求められており、それらのニーズに応えるため、支援をする車種の幅も広がってきました。単なる送迎用ではなく、「荷物が積める」「屋外作業に使える」といった、障害者の仕事の幅を広げるための車も「福祉車両」ととらえ、助成を行っております。また2006年4月に障害者自立支援法が施行され、施設外での就労活動が可能になったことから、「移動販売」に車両を活用する新しい取り組みも広がってきました。たった1台のクルマですが、その活用に工夫を凝らすことで、障害を持った人たちの可能性は大きく広がります。

zm2011895_02.jpg
ぜんぶ「福祉車両」! 日本財団HPより

移動販売は、それまで施設や店舗の中だけが活動の場であった人たちに、新たな世界を示すきっかけとなります。人通りも天気も刻一刻と目の前で変わるような中での販売になりますので、不安定な面も多く、さらに移動販売は競合が激しい分野であるため販路の開拓や地域との関係作りなど、施設としても多くのチャレンジが問われる厳しい就労種目かもしれません。しかし、お客さんとの距離が近く、「おいしい」「安い」「かわいい」など、目の前でダイレクトに反応が返ってくることが多い移動販売は、障害者のやる気に結びつきやすいという声も多く聞かれます。

地域の中で障害者があたりまえに働ける環境を整備したいという想いで当財団が支援してきた障害者就労支援のための車両。これらの取り組みをより多くの人に知ってほしいという一心で、福祉チームでは2010年夏より現役大学生インターンを2人受け入れ、「移動販売車を活用した障害者就労支援イベント」の企画を練り始めました。

半年の時間をかけて大学生のフレッシュな発想をもとに出来上がったイベントが、「ミスキャンパスがお届け!移動販売ライブバトル」です。障害を持った人たちが働く様子や日本財団の助成車両が活動している様子を、USTREAMというインターネット・サービスを使用して3か所から同時生中継し、それぞれの福祉団体が販売した商品の数を番組内で競うというものです。

USTREAM(ユーストリーム)とは、「誰でも容易にリアルタイム放送が提供できるweb上のサービス」のことです。最近ですと、尖閣衝突問題のときにたびたび聞かれた「YouTube」(ユーチューブ)を思い浮かべる方も多いかと思いますが、こちらはいったん撮影・編集された動画をその後アップロードするサイトです。USTREAMはYouTubeと異なり、「今やっていることをリアルタイムに配信できる仕組み」で、テレビの生中継をインターネット上で行うことができる無料サービスです。数年前にアメリカではじまり、日本語版は2010年に導入されたニューメディアで、民主党代表選や公開事業仕分けもこのUSTREAM上でインターネット生放送されたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。先日ページをのぞいてみると、プロ野球のキャンプ地の様子が流れていました。

しかし、このようなインターネットメディアは非常に新しい分野であるため、一部の人しかその存在を知らず、どのようにアクセス数を稼ぐかが企画成功の要となってきます。残念ながら「障害者の就労支援」と言っても、興味を持つ人はごくわずかであり、それではインターネットから誰でも見られるというこの企画の良さも台無しになってしまいます。そこで、「ミスキャンパス」や「売上バトル」といった人目を引きやすい要素を取り入れ、タイトルを「ミスキャンパスがお届け!移動販売ライブバトル」としました。

実際に3拠点で販売をしていただいた参加団体をご紹介すると…

山形県からは知的障害者の就労支援を行っているNPO法人山形自立支援創造事業舎(通称:みちのく屋台こんにゃく道場)の皆さん。ショッピングモール前で、地元にこだわったアツアツの「玉こんにゃく」を販売しました。
zm2011895_03.jpg

東京都からは、ボートレース江戸川内にて社会福祉法人ゆめグループ福祉会さんが虹をモチーフにしたカラフルな移動販売車で蒸しパンの販売を行いました。さらに昨年一大旋風を巻き起こした「ゲゲゲの鬼太郎」キャラクターを模った人形焼き、その名も「妖怪焼き」を販売する調布市の社会福祉法人新の会様も応援に駆けつけてくれました。
zm2011895_04.jpg

広島県からは、当日、廿日市商工会議所が主催する「食のお祭り」(食べん祭はつかいち)が開かれていたボートレース宮島で、社会福祉法人「ゼノ」少年牧場さんがジェラートの販売を行いました。

zm2011895_05.jpg

3拠点をつなぐ東京のスタジオでは、ミスキャンパスが集まり社会貢献を応援する団体「Sweet Smile」にご協力いただき、さらに中継先には現役の女子大生が応援レポーターとして出向き、職員や利用者の方へのインタビューを行い、商品のアピールをしていただきました。

当日は約200名弱の方にライブ配信の視聴をいただき、またニュースや新聞などいくつかのメディアにも取り上げていただくことができました。インターネットを活用した就労支援イベントの第一歩として、当初の目標はまずは達成できたのではないかと思っています。

はじめの計画では、福祉団体の人たちが上京し販売会を実施し、障害者就労に対する一般への理解を図ろうと考えていました。一か所に集まらなければイベントはで
きないと考えていた私にとって、団体の皆さんはそれぞれの地元に残りながら、各拠点の様子をインターネットでつなぎ放送するという、学生が教えてくれた「逆転の発想」は非常に新鮮でした。地元での販売ということであれば、参加する福祉団体のみなさんの労力も少なくて済みますし、地元メディアに掲載されれば、継続的な売上アップも期待できます。ネット配信はテレビ番組と比べてコストも労力も少なくて済みますし、若い世代の人たちに自然に入っていくことができるというメリットもありました。しかしそうは言っても「USTREAMって何?」という状態からはじまった企画であり、すべてがはじめての試みであったため数えきれないほどの課題に日々直面しましたが、会場協力・技術協力・学生レポーター協力、そして福祉団体の協力など、多くの方のサポートにより番組は無事に配信されました。

全編で40分ほどですので、バトルの結果を知りたい方、就労支援のイベントを企画したい方、参加したい福祉団体の方、あるいはミスキャンパスを一目見てみたい!という方は、こちらの日本財団ホームページ内URLにアクセス(または「日本財団 ライブバトル」で検索)し、ご覧になってみてください。
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/news/idoustream.html

日本財団ではこれからも、障害者の「はたらく」を応援するため、このようなイベントを行っていきたいと考えております。皆様からのご感想・ご提案も、お待ちしております。

※東北地方太平洋沖地震により被害を受けられました皆様に心からお見舞い申し上げます。
また、亡くなられた方々に対し、心よりお悔やみ申し上げます。

今回の地震で被害にあった皆さまを応援するために、日本財団では「東北地方太平洋沖地震支援基金」を立ち上げました。クレジットカードにて、一口2,000円から募金をすることが可能です。皆様の力をぜひ貸してください。
http://www.nippon-foundation.or.jp/ または 「日本財団」で検索)

zm2011895_06.jpg
当日のUSTREAM配信画面
タグ:就労支援 福祉車両
カテゴリ:障害者支援




トラックバック
ご利用前に必ずご利用規約(別ウィンドウで開きます)をお読みください。
CanpanBlogにトラックバックした時点で本規約を承諾したものとみなします。
この記事へのトラックバックURL
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
トラックバックの受付は終了しました


コメントする
コメント


 【正論】「民」も総力を挙げて協力しよう  « トップページ  »  ハンセン病博物館を訪問して