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2024年05月08日(Wed)
「将来に悲観的な日本の若者」自ら夢を切り拓く覚悟と気概を
(リベラルタイム 2024年6月号掲載)
日本財団理事長 尾形武寿

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将来に希望を持てない若者が増えた。日本の若者について、そんな指摘をしばしば耳にする。日本財団が二〇一八年から毎月一回実施している「18歳意識調査」、とりわけ過去三回行った国際調査でも、外国の若者に比べ将来を悲観視する傾向が強い日本の若者の姿が浮き彫りにされている。

「日本社会が後退期に入った」、「若者の価値観が変わった」といった指摘も耳にするが、次代を担う若者が夢も希望も持たないのでは国の将来は見えてこない。二月、「国や社会に対する意識」をテーマに、日本、アメリカ、イギリス、インド、中国、韓国の十七〜十九歳各一千人を対象にインターネットで行なった18歳意識調査結果を中心に日本の若者の姿を見てみたい。

まずは自国の将来について。「良くなる」と答えた日本の若者は一五%。「悪くなる」が二倍の三〇%に上り、「どうなるか分からない」が三〇%超と各国に比べ多いのが特徴だ。六カ国にドイツなど三カ国を加えた一九年九月の九カ国調査で「良くなる」と答えた日本の若者は九・六%、二二年一月の前回調査(対象は今回と同じ六ヵ国)では一三・九%だった。若干の数字の上昇が見られるものの三回とも圧倒的な最下位だった。

次いで十年後の「自国の競争力」。全九項目の選択肢のうち「スポーツ」、「科学・技術・医学」、「文化・芸能」が強くなるとする回答が「どちらかといえば」も含め六〇%を超えているが、国の要である「軍事・防衛」、「経済・GDP(国民総生産)」に至っては五〇%と四三%。「宇宙開発」など二項目でわずかにイギリスを上回ったものの残る七項目はすべて最下位だった。

「自国の重要な課題」のトップは少子化、二位は高齢化。日本以上に少子化が進む韓国と同じ結果になっている。ただし、高齢者と若者に対する国の政策の評価では、日本の若者が大差で高齢者対策への偏りを指摘しているのに対し、韓国では老人対策より若者対策が高く評価されている。

次いで自己評価。「していることに目的や意味がある」が六三%、「将来の夢を持っている」六〇%、「他人から必要とされている」五七%、「自分の行動で国や社会を変えられると思う」四六%。それなりの数字が並ぶが、やはり各国より10ポイント以上低い。

この他、「自国は国際社会でリーダーシップを発揮できる」は四一%、各国と二〇ポイントを超す差がある。「優れたリーダーがいる」も三七%とイギリスと並んで低い。進行中の自民党派閥によるパーティー収入不記載事件に象徴される「カネ」の問題で、国の将来像を示す本来の役割を政治が果たし得ていない現状に対する不満が投影された形だ。

日本の若者の数字が軒並み低い背景にはこのほか、一九九〇年代から経済の停滞が続く「失われた三十年」や世界の先端を切って進む少子高齢化、国の借金がGDPの二倍にも膨れ上がった財政悪化などもある。ウクライナやパレスチナ・ガザ地区で続く軍事衝突など不安定な国際情勢、深刻度を増す地球温暖化の影響もあろう。

ただし、十年後の自国に関する質問で、中国の若者の九〇%以上が全項目で「強くなる」と答えているのを前にすると、自己主張に控え目な平和国家・日本の国民性や国の体制や教育の違いが調査結果に反映された可能性も多分にある。

世界はいま、激しく揺れ動く時代を迎えつつある。新しい時代の主役は若者である。一人でも多くの若者に国や自分の将来を自ら切り拓いていく覚悟と気概を持ってほしく思う。それを全世代で支えるのが将来性ある国の姿である。








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