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2024年01月24日(Wed)
被災地支援の要は“初期対応”
役割大きい災害ボランティア
小回り効く小型重機活用を
日本財団特別顧問 宮崎 正
風の香りロゴ
 国際社会が大きく変動する中、「失われた30年」で沈滞した日本の「新たな30年」はどんな時代となるかー。そんな思いで新年を迎えた途端、能登半島地震が起きた。

 日本は世界で起きるマグニチュード6以上の地震の20%が発生する地震大国。常に大地震と隣り合わせとはいえ、家屋やインフラが壊滅し、確認された死者も地震発生から3週間を経て230人を超えた。

輪島市北西部などで地盤が4メートルも隆起し、海岸線が200メートル以上沖合に移動した地域もある。もともと海底が隆起して形成された能登半島で恐らく数千年に一度の現象と報じられ、想像を絶する自然の脅威に唖然とする。

▼ボランティア元年から30年

 全国から延べ100万人以上が被災地に駆け付けボランティア元年と呼ばれた阪神淡路大震災からほぼ30年、医療、家屋の清掃、炊き出し、心のケアなど様々な支援を行う多彩なボランティアも育ってきた。複数の自治体が被災自治体を1対1で支援する「対口(たいこう)支援」も広がってきた。

 ボランティア活動も含め被災地支援は、いかに迅速に被災地に入るか、換言すれば道路確保が初期対応の要となる。今回の地震は、大半を海抜三百メートル以下の低山地と丘陵地で占める能登半島の特殊な地形もああって、入り組んだ道路が至る所で崩落、陥没した。

折からの豪雪も加わって自衛隊や消防、警察の大型、中型車両や重機の被災地入りが困難を極めた。被災地に入れない限り復興支援は進まない。特に被災者救出は「災害が発生してから七十二時間が勝負」といわれるように時間との闘いだ。

 地震発生翌日、特に被害がひどかった珠洲市や輪島市に入った日本財団・災害対策事業部のメンバーによると、当初、多くの車両や重機が半島入り口の金沢市などで待機を余儀なくされ、災害ボランティアの助けで被災地入りする車両も目立った。

近年、ショベルカーやユンボ(油圧ショベル)など小形重機の扱いに慣れた災害ボランティアも多数育っている。普段から小型重機を使うメンバーも多く、ボランティアという名のプロ集団だ。
こうしたNGOと連携協定を結んで普段から災害発生に備える日本財団のような取り組みもある。自衛隊や警察、消防などと共に災害ボランティアを加えた初動態勢の強化、ネットワークの整備が急務と考える。

Photo
倒壊家屋のがれきを撤去し、道路啓開にあたる財団協力メンバー。悪路で大型車が通行できないため、被災地ではユンボなどの小型重機が欠かせない=2024年1月17日、石川県珠洲市蛸島町(日本財団広報チーム職員・千葉元 撮影)

▼守りの強化こそ

政府が14年、30年以内の発生確率を「70%」とした首都直下型地震や、昨年、今後20年以内の発生確率が「50%〜60%から60%程度」に引き上げられた南海トラフ地震が何時、起きるか分からない。

ひたすら備えを強化することが「守り」につながる。能登半島地震の報道を見ながら、そんな思いを強くする。








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