2023年11月06日(Mon)
「安全保障面」からも不可欠な離島に対する医療支援
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(リベラルタイム 2023年12月号掲載)
日本財団理事長 尾形武寿 ![]() つい最近まで、日本は北海道や本州、沖縄本島等五島を含め全部で六千八百五十二の島で成り立っているとされていた。しかし、国土交通省の「日本の島嶼構成」の最新版によると、外周0・一q以上の我国の島は全部で一万四千百二十五と、二倍を超す数字になっている。電子化で地図の精度が大幅にアップしたのに伴い、国土地理院が三十六年ぶりに日本の島の数を数え直した結果という。 |
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国勢調査結果を基にすると、うち四百十六島は人が住む有人離島。本土と橋で繋がっている百十一島を除いた三百五島のうち二十六都道県七十七地域、計二百五十六島は離島振興法、沖縄と小笠原諸島(東京都)、奄美群島(鹿児島)の三地域は特別措置法によって振興が計られている。 しかし、上記七十七地域の人口は二〇年、三十三万九千二百八十人と五年前調査に比べ九・八%減少、それ以前の五年間のマイナス九・二%を上回るペースで人口減少が進んでいる。 有人離島のうち七十一島に対しては、一七年に施行された有人国境離島法で航路・航空路の運賃低廉化や輸送コストの支援、雇用機会の拡充といった施策も取られている。国境に接する離島に人が継続して住めるよう国が積極的に関わり、領海や排他的経済水域を保全していくのが狙い。しかし他の離島と同様、人口は減りつつある。 島の数や関連法について縷々、記したが、多くは筆者の理解を超える。そんな中で最近、離島医療の一端に触れる機会があった。沖縄県の離島や僻地の医療格差改善に向け航空機を活用した支援活動に取り組んでいるNPO法人「メッシュ・サポート」(塚本裕樹理事長)が昨年三月、事故で小型航空機を失い、後継機の購入費一億六千六百万円を日本財団が助成することになったのだ。 後継機は双発の中古小型機(四人乗り)。事故で亡くなった乗務員二人の後任となるパイロットと整備士計四人も採用され、事故で休止していた支援活動も十月から再開された。九月二十八日、沖縄・那覇空港で後継機が披露され筆者も出席。塚本理事長から「新たな機体を確保できたことで、医療支援活動を再開できることになった」と謝辞を受けた。 沖縄県は東西約一千q、南北約四百qの広大な地域に六百九十一(従来のカウントでは百六十)の島が点在し、現在、三十八島が有人離島となっている。一九七二年、沖縄県の施政権が米国から日本に返還されて以降、離島の救急患者の搬送は「災害派遣要請」を受け、自衛隊や海上保安庁が担う形となっている。 メッシュの活動は〇七年、医療施設が少ない沖縄県北部地域での救急ヘリの運航で始まり、財政難に伴う中断を挟みながら一五年には航続距離の長い小型飛行機を使って南西諸島全域での医師派遣や患者搬送を開始。後継機の確保が、活動再開のポイントとなっていた。 たまたまメッシュの活動が、日本財団の姉妹財団である社会貢献支援財団(安倍昭恵会長)の社会貢献者表彰の候補となり、昨年七月、関係者が塚本理事長を訪れた際、窮状を知り日本財団に相談、今回の助成となった。十一月二十七日に行われる表彰式では、塚本理事長も社会貢献者の一人として表彰される予定だ。 少子高齢化で離島や僻地の人口減少は一段と深刻化し、さらに人口減少を加速させる悪循環に陥っている。これでは地域社会は崩壊し、とりわけ南西諸島地域は、海の覇権を目指す中国の動きもあって、安全保障面からも事態は深刻である。医療が離島の将来を左右する重要な要素であるのは言うまでもない。どうあるべきか、改めて考えさせられる思いがする。 |



