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2022年08月02日(Tue)
避難民、5カ月余で1,600人超える
65%が「しばらく日本に滞在したい」
求められる国の対策強化
日本財団特別顧問 宮崎 正
風の香りロゴ
言語、文化が違い、遠く離れた日本にどの程度の人が避難して来るかー。手探り状態だったウクライナ避難民が、2月のロシア侵攻開始から5カ月余で1,600人を超えた。これを受け、渡航費・生活費など避難民支援に取り組む日本財団は7月29日、支援対象を当初の1,000人から2,000人に増やす一方、政府に避難民対策の強化を求めた。

国外に逃れたウクライナ避難民は一時期700万人を超えたと報じられたが、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は6月1日時点で、471万人が隣国ポーランドなど欧州各地で生活し、210万人は避難先からウクライナに帰国したと発表している。今後の展開はロシアのプーチン大統領の決断にかかるが、長期化は避けられない情勢だ。

ロシアの侵攻以前に日本に在留していたウクライナ人は約1,900人。侵攻後、ウクライナから日本に避難した人は日本国内に家族や知人、友人など身寄りのない129人を含め7月25日現在で1,615人。80%を超す1,321人が日本財団に支援を申請し、既に1,034人に対する支援が決定している。

政府が身元保証人の有無に関係なく受け入れる方針を採っているのに対し、日本財団は身元保証人を持つ避難民を支援対象としている。自治体による公営住宅など住宅提供、大学による留学生受け入れ(授業料免除)など他の取り組みもあり、支援の詳細がはっきりしないが、80%を超す人が日本財団に支援申請している事実から見て、多くを同財団が担う形になっている。

政府のウクライナ支援は、本国に対する経済・復興支援を中心に検討されている模様で、日本財団の笹川陽平会長は29日の記者発表で「避難民受け入れは国家と国家の問題」と指摘した上で、政府が避難民支援に関しても国としての対応を強化するよう注文を付けた。

日本財団が6月から避難民を対象にオンラインで始めたアンケート調査では、回答を寄せた260人(7月27日現在)のうち65.1%が、「ウクライナの状況が落ち着くまでは、しばらく日本に滞在したい」、25%が「日本の環境によって判断したい」と回答。68%が日本語、39%が英語について「ほとんど話ができず、聞き取れない」としている。

これを受け「重要なニーズ」は日本語教育が73.7%でトップ。就職機会・職業訓練、医療も50%を超え、この3点について25〜43%が「日本国内での支援が不足していると思う」と支援の強化を求めている。ウクライナ情勢の沈静化を待つ一方で、日本語や就業問題をクリアして日本での生活に備えたい、といった避難民の思いが反映されている。

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Q 帰国の意志、希望を教えてください(日本財団「ウクライナ避難民を対象としたアンケート調査」より抜粋)

6月に米国、ウクライナ両駐日大使と日本財団が協力して立ち上げたウクライナ避難民支援基金の発表で、セルギー・コルンスキー駐日ウクライナ大使は、ウクライナ避難民が日本語や日本文化を理解し、将来、両国の橋渡し役を務める、あるいは日本に永住して日本社会に貢献する可能性に言及した。

いずれも我が国にとって意義深く、今後のアンケートで、このあたりの動向がもう少し具体的に見えてくるのではないか。一方で我が国には、21年度で認定数が3%(74人)と各国に比べ極端に少なく、国際社会から取り組みの強化が求められている難民問題もある。ウクライナ避難民支援は難民問題とは切り離す形で進められているが、早晩、双方の調整も避けられない課題となる。

関連リンク:
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