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2022年04月12日(Tue)
裁判員年齢引き下げの周知は十分か?
来年から18-19歳も選ばれる可能性
日本財団特別顧問 宮崎 正
風の香りロゴ
4月の改正民法、改正少年法の施行に伴い成人年齢は20歳から18歳に、裁判員選任年齢は20歳以上から18歳以上に引き下げられた。新たに成人となる18-19歳は親権に服することなく単独での契約が可能となり、裁判員候補者名簿登載との関係で来年(令和5年)からになるが、裁判員に選任される可能性も出てくる。

1896年 (明治29年)以来、130年以上続いてきた「成人」の定義が変わり、18-19歳は権利とともに責任も増大する。気になるのは、成人年齢に比べ裁判員選任年齢に対する認識が極めて低いように感じられる点だ。

▼「引き下げを知っていた」は3割

裁判員制度は刑事裁判に一般の人の感覚や意見を反映させるのを目的に2009年、導入された。地方裁判所で行われる殺人罪や強盗致死傷罪、危険運転致死罪など国民の関心が高い重大犯罪が主な対象となる。毎年、選挙権を持つ人の中からくじで裁判員候補者を選び、地方裁判所が事件ごとに、名簿に記載された人の中から裁判員を選任する。

2020年の埼玉県で見ると、裁判員候補者名簿に記載された人は9400人、うち4205人が裁判員候補者に選ばれ、最終的に329人が裁判員に選任された。選挙人名簿登録者は約612万人。実際に裁判員を選任された人は1万8千600人に一人となる。裁判員に選ばれる可能性が低い点が関心の低さの一因かもしれない。

日本財団が今年1月、国内の17-19歳1000人を対象にインターネットで行った18歳意識調査でも、成人年齢の引き下げについては96%が知っており59.5%が賛成していたが、裁判員選任年齢の引き下げについて知っていた人は「何となく」も含め32.7%に留まっていた。受け止め方も賛成49.1%、反対50.9%に分かれ、裁判員として刑事裁判に参加したいかとの問いには「したくない」(48.1%)が「したい」(28.1%)を大きく上回った。

選任年齢の引き下げに関しては法務省も、公式サイトに裁判員制度コーナーを設け手続きや狙いを説明する一方、最高裁とともにパンフレットを作成し高校や専門学校への配布を進めているが、理解が得られているとは、とても言い難い状況にある。

衆参両院の法務委員会の論議が少年法改正の是非を巡る議論が中心となり、裁判員選任年齢の引き下げに関する議論が希薄だったのか、メディアの報道も少なかった。こんな経過もあってか、前述の18歳調査では、十分な情報提供があったと受け止めている回答者は5人に1人程度。その上で、学校の授業活動や国や自治体・裁判所、テレビ・新聞など報道機関に対し一層の周知活動・情報提供を求める声は、いずれも40%を超えている。

画像:日本財団 18歳意識調査 第45回調結果より抜粋したグラフ。左は「裁判員裁判選任年齢が18歳に引き下げられることの賛否の質問」に対して、賛成と答えた人19.7%。どちらかというと賛成と答えた人29.4%どちらかというと反対と答えた人34.8%。反対と答えた人16.1%。右は「裁判員として刑事裁判に参加したいか?」の質問に対して、参加したいと答えた人14.1%。どちらかというと参加したいと答えた人14.0%。どちらともいえないと答えた人23.8%。どちらかというと参加したくないと答えた人21.1%。参加したくないと答えた人27.0%。
画像:日本財団 18歳意識調査 第45回調査結果より抜粋

▼周知の在り方 見直す必要

裁判員は法廷で、3人の裁判官の両脇に3人ずつが座り、裁判官とともに審理し、有無罪、有罪の場合は刑の重さを判断する。被告の一生を左右する責任の重さからも、例え選ばれる確率が低くとも、誰もが“自分事”として知っておく必要がある。

新しい法律の制定や既存の法律の改正が行われると、1カ月以内に公布して周知を図るよう定められ、官報にも掲載される。法律は国民の生活に直接、影響し、周知も徹底される必要がある。しかし、今回の改正少年法に限らず周知は時に形式的で、徹底が期されたとはとても言えない。周知の在り方そのものを見直す必要があるのではないか。裁判員制度を巡る一連の動きを見るにつけ、そんな思いを改めて強くする。









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