CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

前の記事 «  トップページ  » 次の記事
2021年05月10日(Mon)
対象犯罪の拡大に6割弱が賛成
実名や写真公表も4割強が認める
少年法改正案に17〜19歳
日本財団特別顧問 宮崎 正
風の香りロゴ
国会で審議中の少年法改正案の柱である@「18、19歳の『特定少年』が罪を犯した場合に刑事裁判の対象となる犯罪を拡大する」に6割弱A「起訴された場合に実名や本人を推定できる情報の報道を可能にする」に関しても4割強が賛成―。日本財団が17〜19歳1000人を対象に実施した18歳意識調査でこんな結果が出た。
改正案は、来年4月の「民法の一部を改正する法律」(改正民法)の施行で成人年齢が18歳に引き下げられるのに伴い、成人年齢を20歳としている少年法との違いを調整するのが狙い。18、19歳を「特定少年」と位置付け引き続き少年法の対象とする一方で、家庭裁判所から検察官に逆送致し刑事裁判の対象とする犯罪を従来の「故意に人を死亡させた事件」から法定刑の下限が懲役・禁固1年以上の罪に拡大する。これに伴い従来の殺人、傷害致死に加え新たに強盗や強制性交なども刑事裁判の対象となる。

少年法は61条で「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」と定めている。

いわゆる推知報道の禁止規定で、日本新聞協会もこれを受け1958年、「20歳未満の非行少年の氏名、写真などは紙面に掲載すべきではない」とする一方、「逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される」ような「少年保護より社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合」については例外的に氏名や写真の掲載を認める方針を打ち出してきた。これに対し改正案は、公訴を提起(起訴)された場合は61条を適用しない、として保護対象から外している。

これにより特定少年が罪を犯した場合、刑事裁判の対象が拡大されるだけでなく、起訴された時点で実名や写真の取り扱いが解禁される。民法と少年法で成人年齢が異なる点を埋める“苦肉の策”と言え、上川陽子法相は「若者の改善更生、再犯防止に関わる問題で、民法の成人年齢と必ずしも一致しなければならないものではない」と述べている。しかし同じ国の法律でありながら法律によって成人年齢が異なり違和感が残る形となっている。

そうした中で、ほぼ同じ年代の17〜19才を対象に3月に行われた今回の調査では、刑事裁判の対象となる犯罪の拡大に58.2%が賛成、反対はわずかに4.3%に留まった。推知報道の緩和に関しても賛成が43.3%と反対(18.8%)の2倍を超した。さらに、それぞれの賛成者の過半がその理由として「罪を犯した以上、特定少年であっても自ら社会的責任を負う必要がある」、「自分の責任を自覚させる効果がある」と指摘している。

調査に先立ち、とりわけ起訴された場合の実名や写真の報道解禁には賛否が二分すると予想していただけに、やや意外な感じを受けるが、その分、若者が同世代の犯罪を厳しく受け止めているということであろう。

かつてメディアに在籍した経験からすると、近年の事件・事故報道は実名と匿名・仮名の線引きがはっきりせず、取材を徹底する姿勢も希薄になっている気がする。実名や顔写真を伏せた報道の方がかえって憶測や虚偽報道が増え、本人の更生を阻害するケースも目立つ。SNSの普及でその傾向は一段と強まる。個々の事件をどう報道するか、メディアが苦慮するケースが増えるのではないか。

改正案は今国会で成立すれば来春、改正民法と同時に施行し、社会情勢の変化などを踏まえ5年後に見直す方針も盛り込まれている。調査では、法制審議会の答申を経て改正案が作成された経過に対し4人に1人(24.1%)が「当事者である若者、特に15〜19歳の意見がもっと反映されるべきだ」と指摘している。長寿化が急速に進む中、この時期に「成人年齢」を引き下げる必要があるのか、疑問を指摘する声もある。施行後も議論が尽きない気がする。







 厳しさ増す「尖閣諸島」情勢 不可欠な憲法9条の見直し  « トップページ  »  日本国憲法は「文化財」にあらず