CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

前の記事 «  トップページ  » 次の記事
2021年01月07日(Thu)
与党元候補者3人の解放に見る新たな可能性
武装組織と国軍の一時停戦合意に意義
何が起きてもおかしくないミャンマー情勢

日本財団 参与 宮崎 正
風の香りロゴ
ミャンマー西部・ラカイン州の少数民族武装勢力アラカン・アーミー(AA)が拘束していた与党・国民民主同盟(NLD)の元候補者3人と国軍兵士3人を解放したー。1月1日ミャンマー発のこのニュース、日本での扱いは今一つだが、この国の最大課題である平和統一の先行きやNLDを率いるアウン・サン・スー・チー国家最高顧問の今後を占う上で注目に値する。

ミャンマーは人口約5300万人。約6割を占めるビルマ族と130に上ると言われる少数民族が住む。AAはラカイン州に多く住むアラカン族の武装組織。解放されたNLDの元候補者3人は昨年11月の総選挙で上院、下院、州議会選挙にそれぞれ立候補、選挙運動中の昨年10月、AAに拉致された。また国軍兵士3人は2019年11月、AAとの戦闘で拘束されていた。

解放のニュースでまず注目されるのは、今回の総選挙で投票が中止されたラカイン州と北東部に位置するシャン州の一部、計22議席分の追加選挙の行方。NLDは今回の総選挙と同様、5年前の総選挙でも大勝しているが、投票が中止された地域に限るとアラカン民族党(ANP)など地元の少数民族政党が多数の議席を獲得し、今回も有利な戦いが予想された。そんな点も踏まえ国際NGOなどから「治安」を理由にした投票中止に疑問が投げ掛けられ、「欠陥選挙」の指摘も出ていた。

当のAAは追加選挙の実施を求めるに当たり2年前から続いていた国軍との戦闘を中断、国軍もこれに応じ、戦闘で避難していた20万人を超す住民も現地に戻りつつある。停戦に加え元候補者3人が解放されたことで、ミャンマー選挙管理委員会(UEC)がいう「治安上の理由」は解消された形で、スー・チー氏が追加選挙の実施要求にどう対応するか各方面が注目する事態となっている。

次いでAAと国軍の一時停戦合意。AAとの激しい戦闘の歴史からも、当初は国軍がAAの提案に応じることはない、との見方が強かった。ところが、一時的とはいえ停戦合意が実現したことで、これまでとは空気が大きく変わり、和平に対する期待が高まる結果となっている。

ミャンマーでは20に上る少数民族武装組織のうち10組織が現在も停戦に応じていない。中でもAAはカチン独立機構(KIO)など中国と国境を接するカチン、シャン両州の3武装組織とともに北部同盟を形成し、反政府勢力の中核的存在と見られてきた。それだけに一時停戦の先に本格的停戦を期待する向きは多いようだ。

今後、NLDや国軍、少数民族武装組織がどう動くか。自身のブログに記しているように笹川陽平日本財団会長もAAと国軍の仲介役を果たすなどミャンマー国民和解担当日本政府代表として積極的な取り組みを見せている。一方でスー・チー氏と国軍の関係や北部同盟に対する中国の影響力などな不確定要素も多い。新年のミャンマーは何が起きてもおかしくない情勢にある。








 《徒然に…》「HEROs AWARD2020」〜いつもとは違う光景が広がる社会で  « トップページ  »  正念場を迎える日本の国連外交