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2020年11月04日(Wed)
役割終えた灯台をどう活用するか?
ユニークな「海と灯台プロジェクト」
32道府県51基がネットワーク

日本財団 参与 宮崎 正
風の香りロゴ
海を守り日本の近代化を担ってきた灯台がGPSなど新しい航海計器の普及で姿を消しつつある。現存する数は全国で約3000基。美しいたたずまいや歴史を後世にどう引き継ぐかー。こんなテーマを前にこの秋、海上保安庁と日本財団によるユニークな取り組み「海と灯台プロジェクト」が立ち上がった。並行して千葉県銚子市の犬吠埼灯台など4灯台を、現役灯台としては初めて重要文化財に指定する動きも進んでおり、灯台が再び“脚光”を浴びる気配が現実化している。

新たに「海と灯台ウィーク」も

海と灯台プロジェクトでは11月1日の「灯台の日」から8日間を「海と灯台ウィーク」とするとともに、北海道・利尻島の鴛泊(おしどまり)灯台から沖縄県・石垣島の平久保崎灯台まで全国32道府県49市町村にある51基をネットワーク化した。ウィーク期間中を中心にフォーラムや記念イベントを開催して灯台が持つ歴史や文化を掘り下げ、地域の海のシンボル、観光資源としての可能性を探る。

10月26日には灯台ウィークの発足記念イベントも開催され、笹川陽平・日本財団会長は今後3年間にネットワークを全国で80基まで増やす計画を、奥島高弘・海上保安庁長官は海保が所有する灯台敷地を地元に提供して地元自治体による利活用を図る考えを、それぞれ明らかにした。51基は日本財団と一般社団法人日本ロマンチスト協会が2016年から進めたプロジェクトで「恋する灯台」に認定された。これを機に地元49市町村は「恋する灯台のまち」として活動を進めており、さらに連携して灯台文化の振興を目指すことになる。


小説、映画、絵画、歌の舞台

わが国の灯台建設は幕末から明治維新期に始まった。近代化の中で歴史的役割を終え廃棄される灯台が増えつつあるが、青い空を背景に岬の先端に立つ美しい白亜の姿はロマンにあふれている。英国の女性作家ヴァージニア・ウルフの「灯台へ」やフランス映画「灯台守の恋」(2004年)など内外の映画や小説、絵画、歌の舞台となってきた。

時代とともに自動化、無人化が進んだが、長く灯台守が維持・管理し、1956年に雑誌に掲載された福島県・塩屋埼灯台長夫婦の手記を基に映画化された木下恵介監督の「喜びも悲しみも幾歳月」は同名の主題歌とともに大ヒットした。全国の灯台を転々としながら海を守った灯台守の貢献は、灯台が果たした役割とともに後世に引き継がれる必要がある。

日本の洋式灯台の第1号は神奈川県横須賀市の観音崎灯台=写真=。「灯台の日」は1968年11月1日にこの灯台が起工されたのを記念しており、「喜びも悲しみも幾歳月」のロケ地にも使われた。夫婦の手記の元となった塩屋埼灯台は美空ひばりの「みだれ髪」の舞台にもなった。

写真神奈川県横須賀市の観音崎灯台

記念イベントのトークセッションに出席した藤岡洋保・東工大名誉教授によると、灯台の立地や構造、工法、素材は当初、海外の列強の影響が強かったが、時代とともに明治政府や海軍が決めるようになり、「近代建築技術の歴史が詰まっている」という。建築史の観点からも保存に値することになる。







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