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2020年02月28日(Fri)
ごみのぽい捨ては社会の問題だ 〜 日本財団、日本コカ・コーラ共同調査
ごみの投棄・ぽい捨ては「モラルの問題」だけではない。日本財団は21日、日本コカ・コーラ株式会社と一緒に進めてきた「陸域から河川への廃棄物流出メカニズム共同調査」の結果を発表。従来の認識でははかり知れない状況が明らかになった。

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共同調査報告を行う日本財団の海野光行・常務理事


共同調査は昨年4月から6月にかけて全国4カ所の河川流域で実施(別表A参照)された。大河川ではなく、支流や用水路など生活環境に身近な水路にそって徒歩で移動。50メートルを4区画として目視によって踏査が行われた。集まった記録を分析し、対策も検討された(調査結果は別表B、C参照)。

ごみは「どこから」「なぜ発生」し、海洋ごみとなるのか。今回の調査は、人間の日常活動で集積されたごみの発生痕跡にフォーカスしたところがポイントである。海に流れ込むプラスチックごみの量は、世界で年間約800万トン、その8割が我々が暮らす陸上から発生しているといわれている。なぜ、こうしたごみが発生するのか、実態を把握することは、海への大きな貢献となる。

ごみの発生原因は大きく『投棄・ぽい捨て系』『漏洩系』に分かれている。従来はモラルの問題と一括りにされることの多かった投棄・ぽい捨て行為は社会的な問題や産業構造などの要因でそうせざるを得なくなっている状況だ。


ごみがそこにあるのは理由がある

調査を担当した日本財団海洋事業部の塩入同シニアオフィサーは自治体、企業、住民等への聞き取りも含めてこう語った。

「ごみは理由があってそこにある。有料ごみ袋制の導入で、ごみ袋を買う余裕のない生活困窮者は不法投棄せざるを得なくなり、生活時間帯の異なる人たちは指定時間帯でのごみ出しができずに集積所に放置、それをカラスなどがつついて散乱してしまう。長距離トラックの滞留所やバス停等にごみが多いのは納品先との兼ね合い、ごみを捨てる場所の確保が難しくなっているからだ」

漏洩系では集積所からごみ袋がこぼれ落ちたり、災害時の応急処置で使用された土嚢や農業資材が経年劣化によって流出していたりしたことも確認された。塩入氏は「ごみ集積所をどこにつくるか、川や用水路が近くにあれば家の前ではなく川沿いにつくり、ごみ袋が落ちることもある。落ちても拾いに行けない場所も少なくない。また飲料の自動販売機のそばに回収ボックスがあっても、リサイクルのためのボックスに一般ごみが投棄され、あふれる状況を生んでいる」と指摘した。

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日本財団の塩入 同・海洋事業部 シニアオフィサー

海洋ごみといかに向き合っていくか

 調査結果をうけて、日本財団の海野光行常務理事は「日本財団のアクションプランとして4つの取り組みを行っていく」と語った。

1、現行制度に対する問題提起と提言
「廃棄物処理法」は一般廃棄物の収集・運搬・処分を業務とする者は市町村長の許可が必要と定める。例えば使用済みペットボトルを店頭で収集、リサイクル工場に運搬する場合、これらを廃棄物に位置付けてしまっては何もできない。有価物に位置付けたいが、調整・手続きに多くの手間と時間がかかる。また、同法は「排出者責任」を明記しておりトラックドライバーの車内生活等で発生した事業系のごみは納品先で引き取ることができない。

「自治体による基準の明確化に取り組みたい」。すでに日本財団はセブンイレブンと組み、東京都東大和市、沖縄県でペットボトルのリサイクル化を始めた。

2、広域エリアでの調査・施策策定
 県や市といった行政単位の枠組みを超えた海洋ごみの流出抑制のための施策を進める。例えば「瀬戸内」のような閉鎖性海域を持つエリアを想定、自治体の連携をはかる。現在、いくつかの自治体と話を進めている。

3、サーキュラエコノミーを目指したバリューチェーンのモデル構築
サーキュラエコノミーとは簡単に言えば、捨てるものを資源ととらえ、廃棄物となっていたもの再利用し作り続ける経済システム。使用済みのペットボトルを回収、リサイクルして衣料、生活用品などに変えていくこともその一つといえよう。メーカーや小売りなど一連の企業と連携し環境に優しい、海に優しい製品、販売手法を開発していく。

4、海と日本プロジェクトを通じた啓発活動
日本財団が推進する「海と日本プロジェクト」は毎年、47都道府県で1500以上のイベントを実施。200万人以上が参加している。8000以上の企業や団体が推進パートナーとして活動し、活動を通して海洋ごみが発生するプロセスを周知・啓発していく。


回収ボックスを溢れさせないために

日本コカ・コーラは2018年に「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」を掲げて、一環として「容器2030ビジョン」を公表した。柴田充環境サスティナビリティ部長はビジョンについて「2030年までにすべてのペットボトルをリサイクルPET樹脂または植物由来系PET樹脂に切り替える活動だ」と紹介。ペットボトルの回収率を高めていく方針を示した。

近年、自動販売機の横には使用済みペットボトルの回収ボックスが設置され、2017年度におけるペットボトルのリサイクル率は約85%と高い水準を記録している。一方で回収されなかった一部ボトルが河川や海に流れ出ている事実もある。

今回の調査でも、河川や水路に近い自動販売機横の回収ボックスが満杯になり、こぼれたペットボトルが川や水路、そして海に流れ出るケースが指摘された。同社では独自のアプリを開発、回収ボックスの調査に乗り出していくという。そのためにも制度、法律上の問題は避けて通れない。

海洋ごみは陸で、町でつくられている。調査ではさらに社会の問題と指摘された。まさに国民ひとり一人が「海洋ごみ問題」を自分ごととしてとらえていかなければならない。豊かで美しい海を後世に残すのは今を生きる人々の使命である。


実施一覧表
別表A:実施一覧

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別表B:調査結果

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別表C:調査結果
タグ:日本財団 海と日本
カテゴリ:海洋







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