2018年10月26日(Fri)
東京農大も連携 生薬の将来に注目
日本財団、カレン州と3者協定
ミャンマー・カレン州の薬草プロジェクト ミャンマー・カレン州と日本財団が進める「薬草資源センタープロジェクト」に新たに東京農業大学が参加、3者の連携事業に衣替えすることになり10月23日、包括連携協定書の調印式が行われた。2013年にカレン州の州都パアンで始まったプロジェクトでは薬草の一時加工・品質管理に目途がつき、人材育成を含め態勢を強化するのが狙い。東京農大では今年4月、生薬の原料となる薬草資源などを研究する分子生物学部開発学科も立ち上がっており、プロジェクトは新たな発展を期すことになる。 ![]() 調印を終え握手する左から高野克己・東京農大学長、ソー・ミン・ウー農業大臣、尾形武寿・日本財団理事長 |
調印式は東京都世田谷区の東京農大で行われ、カレン州からソー・ミン・ウー農業大臣、ソー・ピー・タ森林大臣らが出席。冒頭、日本財団の尾形武寿理事長は、センターが昨年、周辺の農家から約100トンのウコンやショウガを買い付け一次加工・品質管理の結果、延べ約5000人の雇用につながった、と指摘。「国づくりの基礎は農業にあり、センター機能の10倍、100倍アップを目指してプロジェクトを拡大させたい。そのためには人材育成が欠かせない」と3者の連携に期待を示した。 高野克己学長は、東京農大はこれまで東南アジア各国の農業大学と連携して稲作や野菜の栽培技術を中心に研究を進めてきた、とした上で、「これからは人々の健康を維持する上で生薬が必要となるが、資源となる薬草は日本でほとんど生産されていない。薬草生産は日本の農業を救う手段にもなり得る」、「生薬の安定的生産に向け、有効成分の研究など日本で培った科学技術の成果を活用したい」などと意欲を語った。 これを受けソー・ミン・ウー農業大臣は、薬草など作物の栽培技術から土壌改良、森林保護まで協定に基づく幅広い技術支援やミャンマー留学生の受け入れなど幅広い協力を求める一方、「日本の気候や土壌はミャンマーと似ており、日本の高い技術を受け入れればいろんな問題が解決できる」と日本側の協力に期待を述べた。 カレン州はミャンマー南東部に位置しタイ国境にも接する。人口は約160万人。農林業が産業の中心で、農業近代化が州の課題。協定書調印で来日した農業大臣ら一行6人は大分県の「国際一村一品交流協会」や世界農業遺産で知られる国東半島宇佐地域なども訪問、農業を通じた地域づくりを視察した。 |