2018年06月12日(Tue)
起業目指し5期生17人が開講式
修了生が全国45カ所に事業所開設
日本財団在宅看護センター起業家育成 地域に根ざした医療・看護の拠点となる日本財団在宅看護センター・起業家育成事業の18年度開講式が6月11日、東京・赤坂の日本財団ビルで行われた。過去4年間(第1〜第4期)の受講修了生50人のうち39人が既に北海道から九州まで計45カ所に事業所を開設しており、5期生となる今年度の受講者17人も8カ月間の研修を経て1年以内の起業を目指す。 |
事業は笹川記念保健協力財団が日本財団の支援を受け2014年にスタートした。5期生17人の内訳は男性3人、女性14人。「10年程度の臨床経験を持つ看護師」が応募条件で、17人の平均年齢は49.5歳。36歳から60歳まで幅広く、訪問看護ステーションの所長や大学病院の看護師長など経験豊かな顔ぶれとなっている。 受講料は40万円。8カ月にわたり地域社会における保健専門職としての看護師の役割から事業運営に必要な財務・税務・労務に関する知識、さらにCure(治療)とCareに配慮した未来志向の看護の在り方などを幅広く学び、自ら主宰する在宅看護センターの設立を目指す。 1〜4期生の修了生が起業した計45事業所の内訳は、訪問看護ステーション39カ所、同支所・サテライト3カ所、看護小規模多機能型居宅介護事業所2カ所、ホームホスピス1カ所。起業の際は支援金のほか機材整備や事務所のリフォーム工事などに対する助成制度も用意され、修了生のネットワーク構築も進められている。 開講式では笹川記念保健協力財団の喜多悦子会長が「皆さんは大きな決心をされた。明日から一緒に学んでいきたい」と挨拶、日本看護協会前会長で東京医療保健大学の坂本すが副学長は「起業して経営するということは雇う部下の面倒まで大変なことだが、ロマンを持って挑んでいただきたい」と激励した。さらに東京都文京区で訪問看護などを行う株式会社「Creade」を経営する直江礼子さん=2期生=が修了生を代表して「起業家育成に向けここまで充実した研修は他にない」と励ましの言葉を述べた。 その後、喜多会長から一人ひとりに受講許可証が手渡され、5期生を代表して久留米大学病院看護部の前看護師長・三浦比呂子さんが「地域の看護・看取りを的確に実践できるよう同じ志を持つ仲間とともに、より高い目標に向かって歩んで参りたい」と決意を述べた。 最後に事業を支援する日本財団の笹川陽平会長が「医療が専門化、細分化し過ぎ医術偏重になっている。在宅看護こそ人生を締めくくる究極の在り方」と指摘した上で、「皆さんの崇高な志を全面的に支援させてもらう」と激励した。 急速な高齢化が進む中、政府はこれまでの病院中心の医療から地域を基盤に医療とケアが一体となった「地域包括ケアシステム」への転換を目指している。「看護師が社会を変える」をモットーにした日本財団の在宅看護センターは、その先駆的な試みとして注目されている。 カテゴリ:健康・福祉 |