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2018年04月23日(Mon)
分身ロボ「オリヒメ」が教育現場をつなぐ(上)
鳥取県米子市の就将小で授業に活用
鳥取県と日本財団の共同プロジェクト


鳥取県米子市の市立就将小学校で、教室の授業風景を撮影し、リアルタイムで院内学級の児童にタブレット端末で伝える人型ロボット「OriHime(オリヒメ)」が人気だ。この事業は、鳥取県と日本財団の共同プロジェクトの一環として昨年4月から始まった「難病の子どもと家族を支えるプログラム」で、就将小など3校が実施している。日本財団は新年度からロボットを6台に倍増し、さらに普及させる方針だ。そこで、オリヒメを活用している教育現場と、制作しているオリィ研究所から2回に分けて現状を報告する。

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昼休みにオリヒメ(正面手前)を通じて院内学級の児童とトランプゲームをして遊ぶ級友たち


オリヒメは、高さ約20センチの上半身だけの小さな人型ロボットだ。マイク、スピーカー、カメラを搭載し、離れた場所から端末で操ると、景色を見たり音を聞いたりできる。ボタンひとつで腕や首を動かし、相手に意思を伝えることも可能だ。つまり、自分に代わって行動してくれる分身ロボットである。オリィ研究所(東京都三鷹市)の吉藤健太朗代表が開発したもので、これまでに300台制作され、全国で約260台がレンタルで利用されている。

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就将小学校で活躍している分身ロボ「オリヒメ」の全体像



オリヒメのある市立就将小学校は、JR米子駅に近く、明治時代に設立された歴史ある学校だ。3月中旬の昼休みに同校を訪れると、小学3年のクラスでオリヒメを使って児童たちが「ウーノ」というトランプゲームをしていた。男の子がカードを持ってオリヒメの前に立ち、「どのカードを出すの?」と院内学級でタブレット端末を見ている同級生に聞くと、同級生はマイクを通して「○○」と伝える。こうして場所は離れていても、学校にいる級友と、院内学級にいる児童が一緒に遊べるのだ。

「どの子どももオリヒメをしょっちゅう使っていて、オリヒメに会えば『何々君!』と呼びかけている。子どもたちに、これほど順応性があるとは思わなかった。」
オリヒメの活用状況を間近で見ている上村一也校長は、オリヒメが予想以上に児童たちに親しまれていることに驚いていた。上村校長が就将小学校に赴任してきたのは2年前。病気のため小学校に通学できない児童は、市内にある鳥取大医学部附属病院の院内学級に在籍して授業を受けることができる。上村校長は「こうした児童は閉鎖的な空間の中にずっといるので、何とか子どもたちの目を外に向けてやりたい、と考えていた。昨年初めに日本財団からオリヒメを貸与してくれるという話をいただき、昨年2学期から利用させてもらっています」と語っていた。

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オリヒメの活用について語る上村一也校長



当時、病気で院内学級に在籍している児童は短期も含め10人前後いたが、上村校長は3年生の男子児童が「オリヒメとの交流に最もふさわしい」と判断した。この児童は腎臓病を患っていたものの、病状が安定しているうえ、1年時から同校に在学していたので、クラスの児童たちと交流しやすいと考えたからだ。この話を児童の保護者に話したところ、最初に「子どもの姿がクラスの子達に見えると困る」と言われた。そこで、「院内学級のお子さんにはクラスの子達が見えるが、クラスの子達にはお子さんの姿は見えない」と説明すると、保護者は了解してくれたという。この児童が書いた感想文の中で「僕の代わりにロボットが小学校に行って昼休みに将棋をしたり、クイズをしたりしています。(中略)お昼休みにクラスのみんなと遊ぶことができるので、すごく楽しいです」と喜んでいた。

上村校長は今後のオリヒメ活用について「病気の子どもだけでなく、人見知りが激しくて教室の中に入れない子どもや、不登校の子どもにも活用の道を考えてやりたい。また、近隣の岡山県や島根県からウチの学校に転校してくる子どももいるので、オリヒメを元の学校に運んでもらい、その学校の授業を受けさせるなど、多角的な活用法を考えたい」と話していた。

一方、この事業を支援している民間団体「つなぐプロジェクト」の今川由紀子代表は「オリヒメはチョークや黒板と同じように、学習に必要な機材として教室に常にあるのが良いと思う。児童や生徒には自分たちで考える力があるので、今後もオリヒメを当たり前にある機材と思って使って欲しい」と語っていた。

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オリヒメの稼働状況をチェックする今川代表(左奥)





● 難病児支援(日本財団公式ウェブサイト)






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