2018年03月29日(Thu)
「マリンチャレンジプログラム」初の全国大会開催
マリンチャレンジプログラムは、日本財団と株式会社リバネスが2017年度から開始した課題研究支援プログラムで、大切な海を未来に引き継いでいこうと、日本財団が推進している「海と日本PROJECT」の一環。2017年度は中学生、高校生、高等専門学校生(3年生以下)による2人以上のチームを対象に、全国を5ブロックにわけ、各ブロックから59チームを一次採択し、さらにその中から16チームを二次採択した。
この日の全国大会では各チームが口頭で成果発表を行い、審査員5人と質疑応答を行う形で進められた。この後、審査結果が発表され、最優秀賞にはかえつ有明中・高校(東京都)が選ばれた。水族館の人気者、トビハゼの行動を調査、転がるのはなぜか、また、転がる方向に規則性はあるかどうかを研究したもので、純粋な疑問を調べ、わかりやすく説明した点が評価された。 この研究は、生物に関心のある田中絢音さん(高2)、藤本沙帆さん(高3)、立野美帆さん(中3)が共同で行った。きっかけは、田中さんがボランティアをしていた水族館の学芸員から「トビハゼの転がる方向について研究した人はいない」といわれた一言だった。田中さんらはトビハゼの転がる行動について説明されている5つの説@皮膚の乾燥を防ぐためA排泄を助けるためBえら呼吸を助けるためC体温調節をするためD体表のアンモニアを落とすため、について実験しながら研究を進めた。その結果、どれも該当しないとして「トビハゼ特有の筋肉のストレッチ」との新説を主張した。その理由として「陸上を歩くと筋肉を使うので、リラックスするためストレッチとして転がっている。右利き、左利きがあるわけではなく、左右に転がっている」と指摘した。 チームを代表して表彰を受けた田中さんは「水族館で働いている皆さんから、たくさんの情報をいただきました。感謝したいと思います」と喜びの言葉を述べた。 また、日本財団賞には、沖縄工業高等専門学校の「サンゴの卵を回収するシステムの研究」が選ばれた。世界的に減少しているサンゴを保護するため、ドローンを使って産卵後速やかにサンゴの卵を回収するというもの。海野光行・日本財団常務理事はこの研究を選んだ理由として「ドローンとサンゴの保護という異分野を組み合わせたもので、日本財団が推進しているイノベーションにつながる」と述べた。 リバネス賞には、和歌山工業高等専門学校の研究「環境保全のためのバイオセメンテーション技術の開発」が選ばれた。丸リバネス代表取締役CEOは「この技術は海の岩だけでなく、街の中に入っても利用できる可能性がある。我々も支援していきたい」と評価した。 この他の賞と受賞校、研究テーマは以下の通り。 △日本先端科学技術教育人材研究開発機構賞=鹿児島県立鶴翔高校、「捨てられるウニと菌で農業を元気に」 △バイオデバイス特別賞=高槻高等学校(大阪府)、「ハレム形態を持つ雌性先熟魚2種におけるハレム構造・生態の違い」 △日本大学理工学部特別賞=富山県立滑川高校、「小型ROVの研究」 今回の審査に当たった5人は以下の通り。 丸幸弘リバネス代表取締役CEO△海野光行・日本財団常務理事△都筑幹夫・日本先端科学技術教育人材研究開発機構代表理事△居駒知樹・日本大学理工学部海洋建築工学科教授△田中信行・理化学研究所生命システム研究センター研究員 ● マリンチャレンジプログラム公式サイト ● 海と日本プロジェクト公式サイト |