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2018年03月30日(Fri)
あらためて問われるA型事業所の在り方
相次ぐ閉鎖受け倉敷でフォーラム開催
障害者の就労継続支援事業


相次ぐ閉鎖で障害者の大量解雇が続く就労継続支援A型事業所問題を考えるフォーラム「A型せとうちサミットin倉敷」が3月18日、岡山県倉敷市で開催された。NPO法人「就労継続支援A型事業所全国協議会」(全Aネット、久保寺一男理事長)の主催。厚生労働省の調査ではA型事業所の70%以上が事業収益だけでは賃金を賄えない状況にあり、相次ぐ閉鎖を前にA型事業所の在り方があらためて問われる事態となった。

全国から260人が参加したA型せとうちサミット会場

全国から260人が参加したA型せとうちサミット会場


就労継続支援事業所には一般企業への就職が困難な人に雇用契約を結んで働き場所を提供するA型と雇用契約を結ばないB型がある。A型事業所には職員の人件費や事業所の運営経費として国から2年間、障害者一人当たり最大120万年の特定求職者雇用開発助成金、国と自治体から1日約6000円の給付金が支給される。

A型事業所制度は2006年に創設され、2010年、約700だった事業所は5倍を越す約4000に増え、設置主体の過半を営利法人が占めている。障害者の賃金はあくまで障害者が働いたことで得られる事業収入で賄うのが原則だが、障害者の就労時間を減らし賃金を圧縮すれば助成金や給付金で支払ってもなお “余力”が残り、適切な事業を用意しないまま補助金目当てに参入する“貧困ビジネス”の存在などが問題となっている。

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関係者によるパネルディスカッションも



これを受け厚生労働省は補助金による賃金支払いを原則禁止。昨年7月、倉敷市で5ヶ所のA型事業所が一斉に閉鎖され224人の障害者が解雇される事態が発生し、その後も広島県福山市や名古屋市でも同様の事業所閉鎖が発生、さらにサミット直前の3月16日にはやはり倉敷市内のA型事業所運営会社が経営破たんし障害者170人が職場を失うなど混乱が続いている。

フォーラムには全国の事業所関係者ら260人が出席、中島隆信・慶応大教授やサミットを助成する日本財団公益事業部国内事業開発チームの竹村利道チームリーダーらの基調講演、報告のほかシンポジウムも開催され、中島教授は「営利法人の参入によりA型事業所の多様性が広がる面もある」として適正運用の必要性を指摘、竹村氏は「事業者が仕事、モラル両面で自立しない限り障害者も自立できない」と事業者の奮起を促した。

フォーラムでの報告によると、倉敷市の5事務所閉鎖で解雇された224人のうち178人(79.5%)は既に一般雇用、A型事業所など再就職先が決まり、地元自治体やハローワークなどによる支援体制が整いつつある。

最後に「A型で働くすべての人が元気になる!」との大会宣言をまとめ、全Aネットでは引き続き8月に札幌、11月には熊本で同様のフォーラムを開催する予定。久保寺理事長は「A型の性格から事業所規模は20人前後が適正と思われ、こうした点も含めA型事業所の在り方を広く議論して行きたい」と話している。


● はたらくNIPPON!計画(日本財団公式ウェブサイト)
● はたらくNIPPON!計画 ウェブサイト
タグ:就労支援
カテゴリ:障害者支援







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