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2018年03月05日(Mon)
【学生から見た日本財団】知ろう、話そう、ハンセン病。
学生が見た日本財団
15年間ハンセン病と寄り添った写真家 富永夏子さん

毎年1月の最終日曜日は何の日か、皆さんはご存知ですか??
答えは…世界ハンセン病デーです。
世界各地で啓発イベントが開催され、日本財団も早稲田大学大隈記念講堂においてイベントを行いました。そのイベントで開催された写真展「ハンセン病を考えることは、人間を考えること。」でも活躍した写真家、富永夏子さんにインタビューさせていただきました!

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インドで撮影する富永さん。(2018年2月)


― 富永さんは今まで15年ほどハンセン病患者や回復者の方々を取材されていますが、取材時に気を付けていることはありますか?

富永:とにかく嫌な思いをさせないようにということは心がけてます。でもたぶん嫌な思いはさせていると思います。だって自分が辛くて病院のベッドで寝てるときにぞろぞろと人がやってきてバシバシ写真撮られたら嫌でしょ?誰だって。でも私は写真家なので撮らないという選択肢はない。だからせめて撮ったあとは笑顔でありがとうと言うとかは心がけてるかな。


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わかりやすい言い方を考えながら質問に答える富永さん。



― ハンセン病患者の方々を取材したときに心に残ったエピソードはありますか?

富永:ハンセン病の取材を始めた初期の頃、取材に行ったインドのハンセン病施設で汚い床に足を投げ出して泣いているおばあちゃんをみてうわぁーって思ってしまったことかな。まず劣悪な施設で過ごしているため臭いもすごいし、症状がひどくて手足も顔も変形していて。実際に目の前にすると握手とか触れることもできませんでした。自分も実は差別しているんだなと気づいてショックでしたね。


― その気持ちは長年の取材を通してどのように変わったのでしょうか。

富永:取材をしていく中で何度も会う回復者さんも増えて、当たり前なんだけど彼ら、彼女たち一人の人間だなということを肌で感じられるようになりました。ハンセン病だからといって怖がる必要もなく偏見を持つ必要もない。例えばインフルエンザに罹った人がいれば近寄らないで、と思うけれどインフルエンザは飛沫感染なので接触しなければうつることもない。だから知っていればそんなに怖がる必要もないんです。


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アフリカのマダガスカルの病院で撮影された回復者の2人(2007年5月)



― ハンセン病患者の方々のために、私達学生ができることは何でしょうか。

富永:一番身近にできることはお父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんとハンセン病について話すことかな。家族はもしかしたらハンセン病について知らないかもしれないし、話すことでハンセン病のニュースに敏感になる。将来同じように社会的な差別が行われそうな時があったとしても、ハンセン病の時と同じ失敗になってしまうかもしれないと気づくことができる。自分がハンセン病について感じたことを友達とシェアしたり、人に伝えることが一番だと思います。


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どの質問にも笑顔ではきはきと答えてくださいました。



知らないものは怖いものだから偏見や差別に繋がってしまう。しかし反対に知ることで偏見や差別は防げるからまずは知ってほしい、という実体験を交えた言葉に富永さんが見つめてきたハンセン病患者の方々の気持ちが表されているように感じました。将来二度と同じ差別を繰り返さないために、私も家族とハンセン病について話してみようと思います!
(上智大学上智新聞編集局/岩ア結衣)




● ハンセン病〜病気と差別をなくすために〜(日本財団ウェブサイト)
タグ:ハンセン病
カテゴリ:健康・福祉







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