2018年02月23日(Fri)
障害の重い子の観察とアセスメント
誰でもできる3つの手法学ぶ
長野県でワークショップ開催 明確な意思表示がしづらい障害の重い子への理解を深め、支援のヒントをつかんでほしいと願ったワークショップが2月17日、長野県下諏訪町の県立長野県花田養護学校で開かれた。重度重複障害児の観察方法とアセスメントについて誰でもできる三つの手法を、研究を続けている講師が特別支援学校の教諭や親子約50人の参加者に提案。どうしたら良い支援、より良い生活につなげられるか、その手段を皆で学んだ。 |
主催した任意団体「ドロップレット・プロジェクト」(長野県千曲市稲荷山)は障害の重い子とのコミュニケーションと、その基礎となるアセスメントについて、さまざまな側面から研究を継続。メンバーが所属する県立長野県稲荷山養護学校でも、他のメンバーと協力しながら、多くの試みを続けている。 同団体はこれまでの研究と実践の成果をまとめたマニュアル冊子をこの1月に発行した。しかしそれを読むだけでなく、実際にさまざまなアセスメントの方法を試すことを通して、より実践的な理解を深めてもらうと、今回のワークショップを開催、日本財団が助成した。 ドロップレット・プロジェクト代表の青木高光・長野県稲荷山養護学校教諭と深澤美香・同教諭の講師2人が▽自分と他者と物の3者間の関係を指す「三項関係」の理解▽ビデオ分析▽視線入力−の誰でもできる3つの手法を紹介した。 一つ目は、言葉を獲得していない時期の三項関係の理解度を、チェックシートを活用してアセスメントする方法。できるだけ静かな部屋で、チェックを行う支援者が視界に入り過ぎないように注意し、視界前方の余計な刺激を遮るため、黒いついたてなどを置き、視覚的な刺激を制御する。こうした環境設定がこのシートを使う際には重要だと助言した。 二つ目は、映したビデオをパソコンで倍速再生して微細な動きをチェックする方法。ビデオ撮影はアセスメントの基本中の基本だが、長い時間撮影すれば良いわけではない。微弱な動きは少しずつ変化している映像の中からは見つけにくい。ところが早送りすることで、この変化が一目瞭然になる。早送りの実践映像を見た参加者からは期せずして「おー」と納得の声が上がった。 三つ目は最新の視線入力装置を使い「見る力」や「因果関係理解」をチェックする方法。重度重複障害のある男子生徒の実践事例から▽「本当に見る」ための目の使い方が少しずつできるようになった▽体の使い方も、表情も変わってきた▽「見る」行動が変わってきたことで周りの教師も変わり、周りが変わると子どもも変わるという良い循環が生まれた−と報告があった。最後に、どんな機器やソフトウエアがあるのかその現状、それを使って何が分かるのかの説明に加え、装置を使った意思伝達の実演を見てその基本を理解した。 |