手話フォンって何?どうやって使うの?「そもそも、手話で電話って、どういうこと?」
これ、初めて「手話フォン」と聞くとまず思い浮かぶ疑問だと思います。
視覚言語である手話と、音声言語を媒介する電話って、どうやって結びつくんだろう?と私も思っていました。

電話リレーサービスのしくみ(イメージ図)
手話フォンは、手話で話す利用者と、声で応える通話先とを、手話通訳オペレーターが翻訳することでつなぐシステムとなっています。
このシステムは「電話リレーサービス」として、日本財団が2013年9月1日からモデルプロジェクトとして行っています。
電話リレーサービスは、現在世界の20カ国以上で公的なサービスとして普及しているのですが、日本ではまだそのようなサービスが制度としては存在しません。
また、今までに民間団体でそれに類する試みはありましたが、利用者が通話料のみならず手話通訳料金も負担することになり、高額になってしまうために利用数が伸びずに撤退するという状況でした。
その点、今回羽田空港に設置された手話フォンは、午前8時から午後9時まで、通話料も手話通訳料も無料、事前登録も不要で、誰もが簡単に利用することができるようになっています。

実際の手話フォンはこんな感じ
撮影のために開けていただいてますが、実際は扉を閉じて使います。
よく見る公衆電話ボックスよりかなり余裕がありますね。
大人3人入っても大〜丈夫・・・広さの感覚としてはプリクラっぽいといえば分かりやすい?
各界から期待の声国内初の取り組みということで、式典には多くの来賓の方々がいらっしゃいました。
その一部をご紹介します。

総務省総合通信基盤局局長 渡辺克也氏(写真右)
石井大臣は、羽田空港の手話フォンによって、国民の心のバリアフリー化と、空港のバリアフリー化が全国で進むことの2点に触れ、期待を寄せました。「社会全体のバリアフリー化の第一歩として画期的な取り組みです。この手話フォンがその新たなシンボルとして親しまれることを祈っています」

全日本ろうあ連盟・長谷川芳弘副理事長
長谷川芳弘副理事長は、6月に愛知県の三河湾で発生した聴覚障害者の海難事故で電話リレーサービスが人命救助に大きく貢献したことを挙げ、「聴覚障害者の自立や情報参加といった側面だけではなく、私たちの生命の安全のためにも必要不可欠なものです」と手話フォンの必要性を訴えました。
手話フォン、どこにあるの?今後も増えるの?
手話フォンを一目見ようと、黒山の人だかり!
式典後のデモンストレーションは、大手テレビ局や新聞社などの記者さんで溢れかえりました。
手話フォンの設置場所は、羽田空港国内線第1・2旅客ターミナル2階の出発ロビーです。
写真は第2ターミナルのもので、搭乗口A付近のインフォメーションセンター横にありました。
メディアも大注目の手話フォン。ぜひ今後もっと様々な場所にできて、コミュニケーションのバリアフリー化が進んでほしいですね。
今後は、乗降客数の多い主要の空港を中心に設置へ向けて準備中とのことでした。今年度中に成田、新千歳、関西、福岡空港への設置を目指しているそう。
空港だけと言わず、駅や大型商業施設など、手話フォンがもっともっと身近なところにもできて、それこそ公衆電話くらい見慣れるほどに定着するような社会になってほしいな、と感じました。
(上智大学/加藤 あかね)