2017年12月12日(Tue)
【学生が見た日本財団】江戸時代から学べる仕組み
まず、この分科会に参加する前に「”ソーシャルイノベーション”とは一体なんだ?」と言う疑問が湧きます。 日本財団の公式ウェブサイト によると、”ソーシャルイノベーション”とは「よりよい社会のために、新しい仕組みを生み出し、変化を引き起こす、そのアイデアと実践」であるとのこと。確かに江戸時代の仕組みから新たな日本の形を考え出す今回の分科会にぴったりのタイトルだと納得です。
さて、分科会はコーディネーターの西田陽光氏(一般社団法人次世代社会研究機構 代表理事)の軽快な進行によって進められます。ゲストの浅野大輔氏(経済産業省 大臣官房政策審議室 企画官)と西田氏は知己の仲らしく、ちゃきちゃきした西田氏にツッコミを入れられる姿が漫才のようです。そのお陰か、難しい内容ではありましたが飽きずに話を聞くことができました。途中で、客席に座っていた西田氏の知り合いの方が急遽教壇に立たれることもあり、いろいろな目線からソーシャルイノベーションを考えられる興味深い機会となりました。 ![]() 進行をする西田陽光氏(一般社団法人次世代社会研究機構 代表理事) ゲストとして分科会に参加された山崎善弘氏(東京未来大学モチベーション行動科学部)と小泉吉永氏(法政大学文学部講師)によって語られる江戸時代の仕組みの背景もとても面白く、高校時代に習った日本史では教えられなかった興味深い事柄を知ることができます。 ![]() 左からゲストの浅野大輔氏(経済産業省 大臣官房政策審議室 企画官)、小泉吉永氏(法政大学文学部講師)、山崎善弘氏(東京未来大学モチベーション行動科学部) 特に興味深かったのは「教育」についてのお話です。江戸時代における母親は、寺子屋で我が子が失態を働いた際に先生、または父親に子どもの代わりに謝まる「あやまり役」の役割を果たしていたとのこと。私も小さい頃は悪い子どもで、母親に様々な方面に謝ってもらっていた記憶があります。小泉氏は近年、「あやまり役」のような人と人の繋がりが失せてきており、これが「格差社会」、「イジメ社会」また「無縁社会」の原因となっていると分析されました。自己責任、と普段から唱えられご近所さんの顔もわからないくらい人との縁が薄くなっている現代日本人の私にとっては少しぎくっとする話でもありました。 現代に生きる私たちはかつてこの日本に生きていた人々から何をまなび、何を”ソーシャルイノベーション”として昇華していけるか考えさせられる分科会でした。参加することができてよかったです。 (上智大学/岩ア 瑠美) ● 日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017 ウェブサイト |