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2017年12月05日(Tue)
【学生が見た日本財団】作る苦しみ、食べる楽しみ
学生が見た日本財団
ハンセン病患者・回復者の方々と食事の歴史


9月30日から12月27日まで国立ハンセン病資料館において秋季企画展「隔離のなかの食―生きるために 悦びのために―」が開催されています。

ハンセン病療養所男子寮の食事風景(写真提供:国立ハンセン病資料館)

ハンセン病療養所男子寮の食事風景(写真提供:国立ハンセン病資料館)


そもそもハンセン病とは?

展示内容の前に、ハンセン病について少しご紹介します!
ハンセン病とはらい菌によって起こる感染症のことです。現在の日本の衛生環境下ではほとんど発症せず、発症しても薬で治すことができます。発症すると皮疹・知覚麻痺・運動障害、変形などの症状が現れ、時には後遺症として残ってしまうことから差別につながったようです。明治時代に「癩予防に関する件」「癩予防法」が制定され、国が主体となった隔離政策が行われ、患者の方々は強制的に療養所に連行されました。第二次大戦後も強制隔離政策を継続する「らい予防法」が制定され、1996年に廃止されてようやく入所者の方々には居住の自由も認められました。現在は全国14カ所の療養所でおよそ1,468人の方が暮らしています。

企画の展示内容は?

実際の献立や食器、入所者が家畜や野菜を育てている写真から食べている写真まで、食にまつわる様々なものが展示されています。私が印象的だったのはハンセン病によって手が不自由になった方々がお皿に直接口をつけて食事をしている写真です。食事は自分のペースで食べてこそ楽しめるものだと思うので、直接口からも食べやすい食器作成などの工夫が必要だと思いました。

食缶(左)と鉄鍋(写真提供:国立ハンセン病資料館)

食缶(左)と鉄鍋(写真提供:国立ハンセン病資料館)


患者・回復者の方々と食との関係は?

戦前から戦時中にかけて療養所内は基本的に自給自足であったため、農業や家畜の世話、調理から配膳までほぼ全ての作業が入所者によって行われました。働くことで喜びを得る一方、重労働で病状が悪化したり、手先や足先の感覚麻痺のため怪我をしたことに気づかず傷口から細菌が入って障害が残ったり、と食は入所者に生きがいも危険も提供するものであったことを知りました。戦後からはアイスキャンデーが療養所内で販売されるなど、補食も含めより幅広い食事が楽しめるようになりました。また行事食も作られ、3日間かけて餅つきが行われることもあったそうです。食事状況が改善されることで入所者の心も幾分明るくなれたと思います。

ある日の献立(写真提供:国立ハンセン病資料館)

ある日の献立(写真提供:国立ハンセン病資料館)


現在入所者の平均年齢は85歳。現在の療養所では、例えばウナギのかばやき、澄まし汁、野菜の和え物、ヨーグルト、ごはんというような栄養士が献立を立てたバランスのとれた食事が提供されています。ソフト食などの高齢者向けの調理も充実しています。月に数回給食だよりも発行され、食の豆知識やおすすめの献立など食をより楽しめる内容がカラフルに記載されています。

最後に
入所者はずっと病気や差別に苦しみながら闘ってきたのだと思います。そこでせめて食事の時間は精一杯楽しめるようにこれからも応援していく必要があると感じました。展示は12月27日まで行われていて、23日には学芸員による展示の解説も開催予定です。ぜひ皆さんも足を運んでみてください!

(上智大学/岩ア 結衣)



● ハンセン病〜病気と差別をなくすために〜(日本財団公式ウェブサイト)
● 国立ハンセン病資料館企画展のご案内 ウェブサイト







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