2017年11月17日(Fri)
多様性社会に向け異色のサミット開催
![]() 未来をつくるソーシャルイノベーションについて語る尾形日本財団理事長(中央)、佐藤ディレクター(右)と進行役の笹川日本財団常務(左)、後ろの画面は「ふじようちえん」 渋谷区は「ちがいをちからに変える街」をスローガンに11月7日から9日間、区内各地でDDSSの関連イベントを展開しており、10月末、渋谷区と「ソーシャルイノベーションに関する包括連携協定」を締結した日本財団も参加、今後、協力して「渋谷発の若者・子ども文化」の世界発信を目指す。 DDSS初日の13日には、小池百合子東京都知事が「新しい東京、新しい日本。多様性と個性を力にする時代」と題し基調講演をしたほか、長谷部健区長も東大まちづくり研究室・小泉秀樹教授、株式会社メディアジーンBusiness Insider Japan総括編集長の浜田敬子氏と「渋谷未来デザイン構想」をテーマにしたセッションを行った。 2日目の基調講演の一つ「未来をつくるソーシャルイノベーション」では、クリエイティブディレクターの佐藤加士和氏=株式会社サムライ社長=と日本財団の尾形武寿理事長が笹川順平・日本財団常務を進行役に、それぞれの取り組みを語った。佐藤氏が披露したのは2007年3月に竣工、日本建築学会賞やキッズデザイン賞金賞受賞など内外から高い評価を受ける「ふじようちえん」(東京都立川市)園舎の建て替え。 ![]() 渋谷駅のスクランブル交差店前には渋谷発のイノベーションを訴える看板も 建て替えは3年計画で進められ、佐藤氏はデイレクターを担当。建築家の手塚貴晴・由比夫妻とともに、3本のケヤキを楕円形の屋根に貫通させ屋根自体も子どもの遊び場とする斬新な園舎を完成させた。ユニークなつくりについて佐藤氏は「園舎全体を巨大な遊具にすることをコンセプトにした」と語った。 尾形理事長の報告は、子どもが「生きる力」を学ぶ「家でも学校でもない第3の居場所」の整備。高齢者や退職者などを含めた幅広い地域の協力により、コミュニティー全体で子どもを育てた地域社会の機能を“復活”させるのが狙いで、既に埼玉県戸田市を皮切りに全国3カ所でスタート、4カ所の設置が決まっている。渋谷区でも「こどもテーブル事業」など同様な試みが始まっており、尾形理事長は「本来は行政が取り組むべき事業だが、とりあえず全国100カ所に整備し、地域全体で子どもを育てるモデルとしたい」と述べた。 日本財団では、17日から東京都千代田区の東京国際フォーラムで開催する「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」など関連事業の会場を来年から渋谷区内に移すなど、当面、来春から5年間、渋谷区と協力して同区内で多彩な催し・事業を展開する計画で、長谷部区長はサミットに関しても「皆さんと一緒に渋谷の街を代表するイベントに育てて行きたい」と意欲を語っている。 ● 日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017 ウェブサイト |