“崖っぷち”に私たちができること〜現在の状況[2011年03月08日(Tue)]
現在、国会で私たちにも大きく関わる法案が審議されていることをご存知ですか?
今日は“ぽけっとのうらがわ”には珍しく(?)、少しまじめなお話です。
このテーマについて精力的に活動を続けているシーズ・市民活動を支える制度をつくる会の副代表、松原さんがまとめてくれた文章をみなさんにお知らせしたいと思います。
かなり長いですが、特にNPO法人として活動されている方、今後法人格の取得を検討されている方はぜひお読みください。
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【今国会では、2段階の画期的改正が】
今、NPO法人制度に関して、画期的な改正がなされようとしています。
改正は、今国会で、2つの法律によって、2段階で行われる予定です。
2つの法律とは、寄付税制改正案とNPO法改正案です。
第一段階は、寄付税制改正です。
これにより認定NPO法人の要件が大幅に緩和されることになります。「3千円の寄付者が年平均百人以上いる」などの要件を満たしさえすれば、従来より簡単に認定されることになります。認定NPO法人がずっと取りやすくなります。
さらに、認定NPO法人等に寄付した個人に対して、税額控除制度(最大約50%)が導入されます。認定NPO法人に十万円寄付すると最大約5万円戻ってくる優遇措置です。これにより、個人の寄付の促進が大いに期待されます。 この税額控除制度は、日本の寄付税制にとって、革命的といえる改革案です。
この国会で成立すれば、今年4月から施行となる予定です。
第二段階は、NPO法改正案です。
これにより、今まで認定NPO法人の認定は国税庁が行っていたのが、所轄庁(都道府県等)が行うことになります。また、認定NPOの取得相談・書類作成を、NPO支援センターなどができるようになります。
認定事務や相談が、NPOの身近で行われ、より認定が受けやすくなります。
NPO法改正案には、さらに「仮認定」というスタートアップ支援の制度も盛り込まれています。寄付が十分集まっていない新設NPO法人でも、3年間は仮認定を受けて、税制優遇のバックアップで寄付集めを進めることができます。
また、NPO法改正案では、昨年、民間主導で作られた「NPO法人会計基準」に合わせた会計処理の採用が検討されています。法人名称も、分かりにくい「特定非営利活動法人」から「市民活動法人」へと変更することも検討項目になっています。
この国会で成立すれば、来年4月の施行となる予定です。
この2つの法案が成立すれば、1998年のNPO法施行以来の大改革となります。NPO法人の活動も格段と広がることが期待されます。
…では、どうしてこれが“崖っぷち”なんでしょうか?
その状況については「続きを読む」からご覧ください。
今日は“ぽけっとのうらがわ”には珍しく(?)、少しまじめなお話です。
このテーマについて精力的に活動を続けているシーズ・市民活動を支える制度をつくる会の副代表、松原さんがまとめてくれた文章をみなさんにお知らせしたいと思います。
かなり長いですが、特にNPO法人として活動されている方、今後法人格の取得を検討されている方はぜひお読みください。
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【今国会では、2段階の画期的改正が】
今、NPO法人制度に関して、画期的な改正がなされようとしています。
改正は、今国会で、2つの法律によって、2段階で行われる予定です。
2つの法律とは、寄付税制改正案とNPO法改正案です。
第一段階は、寄付税制改正です。
これにより認定NPO法人の要件が大幅に緩和されることになります。「3千円の寄付者が年平均百人以上いる」などの要件を満たしさえすれば、従来より簡単に認定されることになります。認定NPO法人がずっと取りやすくなります。
さらに、認定NPO法人等に寄付した個人に対して、税額控除制度(最大約50%)が導入されます。認定NPO法人に十万円寄付すると最大約5万円戻ってくる優遇措置です。これにより、個人の寄付の促進が大いに期待されます。 この税額控除制度は、日本の寄付税制にとって、革命的といえる改革案です。
この国会で成立すれば、今年4月から施行となる予定です。
第二段階は、NPO法改正案です。
これにより、今まで認定NPO法人の認定は国税庁が行っていたのが、所轄庁(都道府県等)が行うことになります。また、認定NPOの取得相談・書類作成を、NPO支援センターなどができるようになります。
認定事務や相談が、NPOの身近で行われ、より認定が受けやすくなります。
NPO法改正案には、さらに「仮認定」というスタートアップ支援の制度も盛り込まれています。寄付が十分集まっていない新設NPO法人でも、3年間は仮認定を受けて、税制優遇のバックアップで寄付集めを進めることができます。
また、NPO法改正案では、昨年、民間主導で作られた「NPO法人会計基準」に合わせた会計処理の採用が検討されています。法人名称も、分かりにくい「特定非営利活動法人」から「市民活動法人」へと変更することも検討項目になっています。
この国会で成立すれば、来年4月の施行となる予定です。
この2つの法案が成立すれば、1998年のNPO法施行以来の大改革となります。NPO法人の活動も格段と広がることが期待されます。
…では、どうしてこれが“崖っぷち”なんでしょうか?
その状況については「続きを読む」からご覧ください。
【「崖っぷち」の2法案】
しかし、この2つの法案は、今、危機の真っただ中にあります。
第一段階の寄付税制改正は、所得税法等改正案という名称で、すでに予算関連法案の一部として、国会に提出されていて、衆議院で審議されています。政府は3月末までに成立させたいとしていますが、ニュースで伝えられるように、予算関連法案全体が成立の目途がまったく立っていません。
寄付税制改正には与野党とも反対はないのですが、成年扶養控除縮減や法人税の引き下げなどが一体の法案になっていて、そこには反対の意見もあり、寄付税制だけ取り出して通すことが難しい状況です。
第二段階のNPO法改正案は、1月時点では、政府が国会に提案する予定でした。しかし、国会情勢が厳しいため、政府は提案を断念。現在、超党派のNPO議員連盟で立法化の作業が引き継がれています。それでも、流動化する国会情勢のため、法案提出はいつになるかわかりません。
また、NPO法改正案に対しては、認定事務を国税庁から都道府県等に移管するため、都道府県側が十分な事前協議が必要として、政府に協議を要請していて、それも大きな課題となっています。
政府は、NPO法改正案を、今国会で成立する予定としていますが、6月までの国会の日程では、現実的には、成立させるのは「至難の業」と言われています。
【せっかくの改革案が白紙に?】
予算関連法案は、現状では成立させるのは極めて厳しいと言われています。
政治状況は日々法案成立には悪くなる一方です。
予算関連法案とりわけ税制改正法案が成立しなければ、日本の寄付税制史で革命的といえる今回の寄付税制改正案も白紙となってしまいます。
NPO法改正案も政治情勢が不安定なため、国会への提出の目途は立っていません。
また、たとえ提出できても、第一段階の寄付税制改正案を前提としているので、寄付税制改正案が成立しなければ、NPO法改正案も成立しません。
噂されている総辞職や解散総選挙があれば、ゼロベースのやり直しとなる可能性も大です。
「今国会が無理でも次の国会で通る可能性は?」と聞かれますが、現在の政治情勢を見ていると、次の国会では、もっと成立させることは困難になるとみられています。
まさに、掛け値なしの「崖っぷち」なのです。
…では、私たちにできることは何もないのでしょうか?
松原さんはこれに対していくつかの方法を提案してくれています。
明日はその提案についてお伝えします。
(じ)
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