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HTLV-T関連脊髄症の治療 medical tribune より

[2016年01月11日(Mon)]
medical tribune より、記事を転載いたします。

HTLV-1関連脊髄症に対するモガリズマブ,治験で安全性確認
第 T/Ua相で重篤な副作用見られず
学会レポート | 2015.10.14


 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)関連脊髄症(HAM)は,HTLV-1感染で発症する神経疾患で,根治療法のない難病である。HAMに対するヒト化CCR4抗体製剤(モガムリズマブ)を用いて第T/Ua相医師主導治験を実施している聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター病因・病態解析部門・部門長の山野嘉久氏は,治験の進捗状況を報告,現在Ua相に移行し重篤な副作用は認められていないと第27回日本神経免疫学会学術集会(9月15〜16日,会長=岐阜大学大学院神経内科・老年学分野教授・犬塚貴氏)で報告した。

感染細胞の制御が有用

 HTLV-1感染者に発症するHTLV-1関連疾患としては,HAMが0.3%,成人T細胞白血病(ATL)が5%とされ,ともに発症予防法は未確立である。HAMでは両足の麻痺,痛み,排尿障害などの症状が進行し,悪化すれば寝たきりとなる。またHAM患者はATLの発症リスクも持つ。
 HAMでは,長期軽症例から急速進行例まで症状や進行度が多彩で,経過における個人差が大きい。山野氏によると,一般的にHAMはとても緩徐に進行するため,治療の有効性を評価するには長時間を要し,そのことがHAMに有効な新薬の開発を困難にしているという。
 現在,HAMの治療には,主にステロイドやインターフェロンαが用いられるが,治療効果が不十分であることが多い。HTLV-1は,感染細胞を増やすことで増殖するため,その制御には,感染細胞を特異的に攻撃する抗体療法などの開発が考えられる。
 同氏らは,HAM患者でHTLV-1が主にCCR4陽性T細胞に感染し,細胞機能が炎症促進的になっていることなどから,CCR4抗原を標的として抗体依存性細胞障害活性を示すモガムリズマブに着目した。同薬はATLに対して既に承認されている。同氏らは,モガムリズマブのHAM患者由来細胞における感染細胞殺傷効果,抗炎症効果などを証明,CCR4がHAMの有用な治療標的分子であることを突き止めた。
ATL発症予防薬の可能性も

 山野氏らは,モガムリズマブがHAMの感染細胞を標的とした根本的な治療薬になりうると判断し,HAMに対する抗CCR4抗体の安全性と有効性に関する第T/Ua相医師主導治験を2013年11月に開始した(図)。


 対象は既存治療で効果不十分なステロイド維持療法中のHAM患者。主要評価項目は安全性,副次評価項目は第T相で抗感染細胞効果,第U相で抗感染細胞効果の持続時間,歩行時間の非増悪期間とされた。付随研究として,髄液中のプロウイルス絶対量,血清・髄液の炎症マーカー,各種免疫系への影響などが解析されている。
 同氏によると,2014年2月に第1例目に投与を開始,2015年2月には最終症例への投与が終了し,順次第Ua相に移行,重篤な副作用の発生もなく進捗しているという。試験は来年(2016年)1月まで予定されている。
 同氏は「HAM患者において抗CCR4抗体療法の安全性,クローナルに増殖したリンパ球の消失効果が証明されれば,HAMの治療だけでなく,ATL予備群に対するATL発症予防薬として,HTLV-1関連疾患への飛躍的な推進となる」と展望した。
(鈴木志織)

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