昨年度、日本郵便年賀寄付金助成事業の多様な子どもの育ち応援事業内で「通信制/定時制高校に通っている生徒が自由にすごせる居場所についての調査」を行いました。アンケート作成と集計は静岡大学情報学部の笹原恵教授とゼミ生の皆さんにご協力いただきました。2023年12月15日〜2024年1月31日という1ヶ月半の収集期間内に通信制/定時制高校生448名(定時制公立高校生約5割、通信制私立高校生4割弱)の声が集まりました。
◆通信制・定時制高校の需要の拡大 何らかの理由で学校に通えなくなった、もしくは既存の形の学校という場に通わない選択をした子ども達が進学先として通信制高校を選択する、というケースが近年増えてきています。 通信制高校は、平日毎日朝8時から夕方まで学校に行き、決められた教科を勉強する、という今までの『普通』とは違い、授業や登校の有無を選択するという点で自由度が高く、生徒自身で自分に必要な学びを選んでいくことが出来るという特徴があります。 また、定時制高校については通常夕方から夜に学校に通う形をとり、4年で高校を卒業することができ、働きながら通う生徒も多い状況です。外国ルーツの子どもたちが通う場合も多く、同じルーツ、コミュニティ内で同じ定時制高校に進学するというケースもあります。「自分の生活スタイルに合う」「学力に見合う」「働きながら通える」「人間関係の心配がない」というものが進学先の決め手となるようです。 ◆居場所は「学校」「家庭」だけで十分か? アンケート回答者全体としては7割近い人が学校を居心地の良い場所だと感じているようでしたし、家庭に居心地の良さを感じている人も90%近く、ほとんどの人が居場所であると感じているようです。これだけを見ると、高校生の居場所は家と学校で十分足りているとも捉えられる結果ですが、自由記述欄には「居場所が少ないと感じる」「居場所がない子が行く場所がすくない」「逃げ場所がほぼ無いように感じる。どこに行っても制限が多く感じる。」といった記述も多数見られ、家や学校に居場所を見出せなかった子ども達の安心できる場所をつくることが課題とも言えます。 現在、浜松市には児童館(乳幼児から中高生が対象の施設)や市民恊働センターのフリースペース、クリエート浜松の1階エントランス、ザザシティ中央館5階の交流ロビーなど、子ども・若者が利用できる開かれた場所はあるものの、周知度は全体的に低く「一つも知らない」という人が5割以上も達しています。家や学校以外で行きたい居場所としては、「お金がかからない」「フリーWi-Fiがあり冷暖房が快適なところ」「長時間いても注意されない」「おしゃべりができる」の割合が高く、自由記述からは「大人が作った居場所は欲しいのと違う気がする」「もっと自由に活動ができる場所が欲しい。例えば音楽活動が気軽にできる場所や、他校の生徒と交流ができる。」という、子ども・若者が主体となり居場所を作っていく必要性も感じられました。 ◆今後の活動予定 2023年度の調査活動は、アンケート結果を単純に集計したものを元に結果をまとめるところまでを行いました。今年度はさらに深く分析を進め、それと同時に上記の結果を受けて、高校生へのヒアリング・地域で居場所づくりを行う方々へのヒアリングをすることで子ども・若者が主体となる居場所づくりへの一歩となるよう活動をしていきます。 (子ども支援事業担当 大山湧希) |