書くこと苦手な中2が”お助けマン”披露 [2021年01月25日(Mon)]
発達障害のある子どもたちの学びと育ちを支えるICT支援技術者養成セミナーの3回目「タブレット・アプリ活用勉強会」を1月23日午後、ズームで行いました。
講師はH君。はきはきした気持ちの良い、話しているとこちらが自然に笑顔になってしまうような中2男子です。 書くことに苦手感をもつH君、学校からのテストプリントはiPadと主にグッドノーツというアプリを使って提出しているということなので、そもそもテスト「用紙」?ってところからクエスチョンマークいっぱいのエヌぽっけがあれこれ質問。H君は問題を解いていきながら解答用紙に答えを書いていく実演披露。H君にとってのお助けマンがどのように働いてくれるのかよくわかりました。 Nぽっけ:まずは、疑問。テスト用紙をそもそも紙のままでもらうんですか? H君:iPadを小学5年3学期から使うようになりましたが、僕の場合は紙のままもらって、自分でそれを写真に撮って、画像になっている問題用紙に解答を書いていく方法をとっています。 ・・・しかしながら、画像になった問題用紙は歪みがあったりして、それを丁寧に整形する作業もあって、なかなかお手間。 Nぽっけ:データではもらえないのかな。 H君:先生がなんとかデータをiPadに移そうとしてくれたんだけど。 Nぽっけ:クラウドにあげるとか、方法はあるんだけどね。学校のwi-fi環境がネックだよね。 ・・・さて、問題を解いていきます。 ・・・が、その前に今の子どもたちの大変さを思い知りました。ものすごく問題量が多いんです。私の知る時代の1.5倍、いやいや2倍と言っていい。 H君の場合、合理的配慮があれば1.3倍とか1.5倍の時間をもらえるはずだけど、必要ない子もこの量は大変2枚にわたってびっしりと問題が書き込まれたテストを50分でしなくちゃいけないなんてまさに競争そのもの。悲しいなあ。 H君:問1の角度を表す∠はApplePencilを使うときれいにかけます。 ・・・∠aの対頂角だから∠cなどと言いながら、余白に答えを書いています。 H君:投げ輪機能と言って書いたものをApplePencilで囲めば好きなところに移動できますので、それを回答欄に移動させます。 Nぽっけ:自筆で書いてある答えもありますね。 H君:xや分数はキーボードにないし、他のアプリを使えばできるのですが慣れていないし、ApplePencilの方が早いので自分で書きました。 Nぽっけ:H君の場合は、数字やアルファベットは形がシンプルだから、書くこともまあ大丈夫ってことね。 ・・・求め方も書き込んでおくように求められている問題もあります。が、とてもとても狭い余白に。 H君:タブレットは拡大機能がついているので、画面を大きくしApplePencilで計算式を書きます。それから書いたものを縮小できるので、小さくすれば狭い余白でも入れられます。 ・・・拡大や縮小が自由自在のICT機器というお助けマン。(紙ベースで解答書いていくのは大変。もう少しいろんな事情の子どものために余白を取ってくれるといいね) H君:今度はグラフを書きます。二つの座標を結ぶのにApplePencilを使いますが、描いた線がぐにゃぐにゃしていても自動的に直線に直してくれるので線引きは要りません。 H君:自分でモバイルプリンターを持っているので、できたものをその場で印刷し、提出できます。 Nぽっけ:今回はテスト用紙を画像にして、グッドノートに取りこみ、ApplePencilなどを使って解答記入していきましたが、読みが苦手な子はどうしたらいいの? H君:画像ではなくて、PDFやテキスト化すれば読み上げ機能を使えます。 Nぽっけ:そうすると余計にデータのやりとりが必要ね。今の浜松の学校環境の課題ね。 H君のこうなったらいいなを伺いました。 「学校でiPadを使いたい人がいたら自由に使えるようになってほしいです。東京のK君は学校でタブレットを使いたいとプレゼンしたら、先生が「他にもiPadを使いたい人がいたらプレゼンしてください」と言ってくれたそうです。それを聞いて、僕も学校の先生にそういってほしいと思いました。理由は、iPadを使いたい人は頑張ってプレゼンするし、それを聞いて他の人はそれをわかってくれるからです。 タブレットを学校に持ち込みたいんだけど、なくなっちゃうと大変ということで、タブレットを使っていいよという学校にいたときでも、職員室に預けてという使い方だったそう。保険も入っているし、自分でちゃんと管理することに問題は感じていなかったけれど、ね。 こうしたICT機器を使用できる教室環境になれば、H君のために別の教授法で授業をすることもなく、大勢の子どもたちがいる教室で、一緒に授業を受けられるんですけどね。エレベーターがあれば足が悪くても二階にいけるんですけどね、ということと同じことです。 H君のこうなったらいいながはやく浜松でも実現しますように、と思います。 事業名:発達障害のある子どもたちの学びと育ちを支えるICT支援技術者養成セミナー 第三回「タブレット・アプリ活用勉強会」 (1月23日ズームによる開催) 主催:浜松NPOネットワークセンター 助成:静岡県西部しんきん地域振興財団 文責:代表理事 井ノ上 美津恵 |