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3/3シンポジウム 分科会「高校のキャリア支援と校内カフェ」 [2019年03月15日(Fri)]

事務局長の小林です。
ほっとけない貧困の子ども2019シンポジウム、分科会Cは高校生の支援をテーマに、神奈川の校内居場所カフェの先駆者、NPOパノラマの石井正宏さん、地域若者サポートステーションかけがわで若者の就労支援に取り組む池田佳寿子さん、定時制高校でキャリア支援と校内カフェを実施している静岡県立新居高校の中村守孝先生が登壇しました。

石井さん:
ひきこもりの若者支援から、ひきこもる前の早期発見・予防支援として、県立高校でカフェを始めて8年。そこでは家庭環境に課題を抱える生徒が多く、中退や進路未決定になって格差の渦や貧困の連鎖に巻き込まれやすい。
週1回、図書室でひらくカフェには、生徒たちがお昼には胃袋を、放課後は心を満たしに来る。そこで多様な大人と出会うことで生きる価値観が広がる。サードプレイスで「役割のシャッフル」が起きることも大事。

人間の持つ資本は、文化資本、経済的資本、社会関係資本(人脈)と言われるが、お金がないと文化資本にアクセスできない。この高校では修学旅行に行けない子が3割もいて、飛行機やディズニーランドを知らないと、「あれ知ってる?」という文化資本がないことで社会関係資本が築けない。
家でDVを受けている子たちもいるので安心と安全の場を提供し、七夕には浴衣パーティーを企画するなど文化資本のシェアをして、ソーシャルワークにつなげていくのがカフェの役割。

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スタッフ人件費や食品などの経費は、いろんな助成金に申請してやりくりしている。本来教育行政が出すべきものと思うが、少ない予算で「成果」を求められたり、お金が出るとマインド抜きに群がる事業者という問題も起こる。また、人の入れ替わりが激しい学校現場で、教員や管理職の理解を得ることも大事。

ボランティアは、基本面識のある人を入れているが、地域の人を呼び込むためにボランティア養成講座を開いている。教えたがり屋、知りたがり屋、関わりたがり屋の「さんがり屋は場所を滅ぼす」のでNG。
高級住宅街にある課題集中校で地域の偏見や差別もあるが、地域のボランティアが生徒と出会うとほだされて高校を見る目が変わり、「高校もがんばっている」と学校のブランディングにもつながる。ボランティアにとっては学校がサードプレイスとなって社会関係資本が広がり、高校を使うことでコミュニティの再生も起きている。

池田さん:
今の若者たちが生きているのは、非正規が38%、年収200万円以下が30%、ハローワークで紹介状を切っても、就職できるのは全求職者の6%にすぎない厳しい社会。
高校を中退すると、情報の獲得の仕方がわからなくて情報の貧困に陥る。校内カフェで在学中に家族や教員以外の大人を知ってもらい、中退・卒業してからの人生に関われるように。困りごとを真ん中に置いたつながり、困ったと言える、みんなで応援できるしくみをつくりたい。

中村先生:
定時制高校の生徒の約半数は、進路未決定で卒業か中退してしまう。卒業すること、正社員になることを目標に、アルバイトを奨励して就職につなげるようにしている。他にも色々困難を抱えているので、外部の人たちに助けてほしいと思って、校内カフェを始めた。カフェには卒業生も来るし、学年が違う子の接点にもなる。また、先生と「出会い直し」で距離が近くなる。外の人たちとつながって、外のネットワークも使って生徒を支援していきたい。

新居高校ボランティアの方々の感想は、ジェネレーションギャップやカルチャーショックを感じつつも、普段出会わない高校生に教えてもらうこともあって楽しんでいるという話も。生徒の表情が変わった、意思表示ができるようになったという変化も感じていました。

参加者は学校や支援関係の方が多かったので、校内カフェのような取り組みがあちこちに広がることを願っています。

NPO法人パノラマ「校内居場所カフェ」
https://npo-panorama.com/cafe/

参考記事:田奈高校「ぴっかりカフェ」
https://soar-world.com/2017/12/21/panorama/

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コメント
ピアサポートと活動交流するとより発展するような気がします。
新居に住んでいて、新居高校の事例があるなんてしりませんでした。私は湖西高校の湖風館を借りてコミュニケーションについての講座を4月〜やります。ぜひ、交流させていただきたいです。
Posted by: レク楽の会 服部隆宏  at 2019年03月31日(Sun) 21:27