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デジタルデバイド解消に向けたICT支援の必要性 [2025年03月18日(Tue)]

位置情報 デジタルサポーター育成講座開催
 静岡県ふじのくにデジタルサポーター育成事業における視覚障害者等に対する講座を2024年11月と2025年2月の2回開催しました。
 静岡県では、日常生活においてデジタル技術が広がっていく中、情報通信技術を十分に利用できないことのより生じる、情報格差(デジタルデバイド)の解消に向け、身近で気軽に相談できる人材となる「デジタルサポーター」を育成し、地域のデジタルリテラシーを向上することを目的として、この事業を行っています。
 事業自体は企業が受託し、これまでは高齢者支援のためのサポーター育成を中心に行われてきましたが、今年度は障害のある方へのデジタルデバイド解消支援が講座に盛り込まれました。そこで、長年障害者のICT支援をしているN-Pocketに相談があり、視覚障害者等に対する講座を再委託として請け負うことになりました。
 1回目は晴眼者サポーターを対象とし、16名が参加、2回目は視覚障害当事者を対象とし7名が参加しました。ロービジョン、全盲など見え方もそれぞれであることの説明、見え方目に合わせた設定方法、音声耳での操作、画面情報の読み上げ機能演劇と操作方法手(パー)などを学びました。2回目の講座開催時には、1回目の受講者が5名サポーターとして参加しました。また後日、2回目参加者の全盲の方が別の全盲の方のiPhoneVoiceOverの操作支援に協力黒ハートしてくださいました。

位置情報ハイテクからアルテクへ
 ICT機器が進化し、障害のある人が利用する機器も専用で高額なものから、誰もが利用可能な低価格なものに移り変わってきています。
 スマートフォンやタブレットにアクセシビリティ機能が充実し、音声読み上げや拡大・点字入力ができることで視覚障害のある人もスマホなど凹凸のない機器の利用が可能になりました。音声入力演劇は視覚障害眼鏡や肢体不自由の人車椅子の入力を補助し、スイッチコントロールひらめきは重度の身体障害のある人が外部スイッチとつなぐことで、スマホをコミュニケーション機器として利用できるようになりました。他にも様々な機能が標準として準備されています。しかし、スマホやタブレットを利用している人が皆この機能を知っているわけではありません。以前は高額な特別機器がなければ使用方法を覚えることも、伝えることもできませんでしたが、今は自分の持っている機器に準備されている機能を知れば、身近な人の支援ができるのです。

位置情報 ICTサポーターの必要性
 ICTの利用は、自ら情報を得て、また自ら発信することができ、障害のある人にとっても社会参加と自立につながります。
 近年、生活の中で「詳しくはWebページから」、または「QRコードから」情報を得ることが多くなってきています。これらの操作が出来なければ必要な情報が手に入らないのです。この方法を伝えることができる人が身近にいたらデジタルデバイドの解消につながります。
 N-Pocketでは2001年11月から2015年3月末まで、静岡県より「静岡県西部障害者マルチメディア情報センター(西部MMC)」ビルの管理運営事業を、また外出が困難でセンターを利用できない重度障害のある方への「在宅パソコン講座」(この事業は現在も継続されています)も受託していました。障害のある方のICT機器使用を支援する人を養成するため2001年から3年間自主事業で行った「パソコンリーダー養成講座」、その後県事業となった「パソコンボランティア特別研修」は2010年まで行いました。10年間のボランティア養成講座参加者の多くがボランティア登録し、西部MMCのスタッフや在宅パソコン講座の講師とて、また要請に応じてボランティアとして活動してくださいました。現在もN-Pocketの障害者ICT事業にご協力いただいている方もいらっしゃいますが、養成講座が終了してから長年が経過しているため、次の世代のサポーター養成が必須だと感じています。
 すぐ近くにいる身近な人にサポートしてもらえる社会ハートたち(複数ハート)になったらいいなと思い、サポーター養成講座を開催したいと考えていました。今回は視覚障害者のサポートに限定した講座でしたが、新たなサポーターに巡り合う決定ことができました。今後ほかの障害にも対応できるサポーター養成が必要です。そして以前の西部MMCのように障害当事者もサポーターも気軽に集まって活動できる場所が再現することを願っています。
(代表・ICT事業担当 島田江津子)
Hamamatsu Youth Voices 居場所ダベリバ開きました! [2025年02月03日(Mon)]

日本時間2月2日(日)13時半からHamamatsu Youth Voicesによるダベリバわーい(嬉しい顔)がズームで行われました。ファシリテーターの今泉さんはカナダ在住の大学生。カナダ時間と日本時間をいつも気にしながらズームで企画会議を何回か開き、当日に至っています。

参加者は中学生から20代の若者まで7人、オブザーバーの大人が5人でした。 
家と学校ビル以外で過ごしていた場所無料について各自お話しした後、児童館やコミュニティセンターなどを利用しづらくなっている理由についての話し合いがありました。中には公共の場を結構利用してきた人もいましたが、それぞれに興味深かったです。

児童館などを使わなかった理由として挙げられたのは、児童館が在るのは知っていたがそこで何ができるのかわからないというような施設の目的や提供されるアクティビティが不明確であること、仲の良い友人グループハートたち(複数ハート)とだけ遊びたかったからとか、他人の目線が気になること、施設や設備が古く、暗い感じがして入りにくさを感じることがく〜(落胆した顔)、オンラインゲームなど新しい遊び方ができない環境にあることなどがあげられました。

それにしても、公園で遊んでいて理不尽に怒られたもうやだ〜(悲しい顔)経験をもつ子が複数いて・・公園が子どもたちにとって安心して遊べる場所じゃないんだと感じた次第(ーдー)です。

そのあとはカナダ留学のお話が続き、参加者からの「日本の子どもたちは自己肯定感が低いといわれるが、カナダの学生たちの様子はどうか」という質問に対し、様々な人種がいて価値観もいろいろ。人と違うことが当たり前。そもそも自分を比較しようがないというような話がありました。

ズームだからこそ可能だった海を越えての意見交換は違った面白さひらめきがありましたね。

*この活動は「2024年度ドコモ市民活動団体助成事業」としておこないました。
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エヌポケット子ども支援活動 応援寄付キャンペーン実施中!! [2024年12月05日(Thu)]

2016年度から「子どもの貧困」をテーマにN-Pocketとつながる個人や団体と連携しながら、複数の困難を抱える子どもたちの育ちを見守る活動をしていますパンチ
 今年度は当時から続けている「訪問型学習・得意支援」野球と、社会的な支援が薄い中学卒業以降のこども・若者の孤立や孤独を防ぐ居場所づくり支援のための調査活動耳を行っています。これらの活動のためにぜひ手(チョキ)皆様のご支援を!

<キャンペーン期間> 2025年1月31日(金)まで     <目 標> 100万円 
*浜松NPOネットワークセンター(N-Pocket)へのご寄付は、寄付金控除等の対象です
郵便振替・銀行振込にてご寄付を受け付けています。
名義はいずれも「トクヒ)ハママツエヌピーオーネットワークセンター」になります。
<郵便振替>
通信欄に「子ども支援寄付」とご記入いただいた上、お名前、ご住所を正確にご記入ください。
・郵便振替口座:00820-4-052776  
<銀行振込>
ゆうちょ銀行、静岡銀行からお選びいただけます。
・ゆうちょ銀行  店名:二三八  店番:238   普通 5550190 
 ・静岡銀行 入野支店 普通 0373471
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若者と子どものホッとする居場所を考える円卓会議 開催決定 [2024年12月04日(Wed)]

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若者と子どものホッとする居場所を考える晴れ

ホッとSPOT円卓会議


【概要】
[場所位置情報]入野協働センターホール+101議室
    (浜松市中央区入野町9858)
[日時時計]2025年1月26日(日)13:30〜17:00
[定員わーい(嬉しい顔)]42人(お早めの申し込みをお願いします)
[対象眼鏡]高校生/わかもの・子ども支援者・議員・保護者など
【申込方法】
[Tel/Fax電話] 053-445-3717
[ Mail mail to] info@n-pocket.jp
[ URL iモード] https://forms.gle/bGK4BY3LYvT2C7aTA
[主催」認定NPO法人浜松NPOネットワークセンター
令和6年度地域力向上事業 市民提案による住みよい地域づくり助成事業こども若者「居場所づくり」事業
[後援]浜松市教育委員会、静岡新聞社・静岡放送、中日新聞社東海本社


昨年度、日本郵便年賀寄付金助成事業の多様な子どもの育ち応援事業内で「通信制/定時制高校に通っている生徒が自由にすごせる居場所についての調査」を行いました携帯電話
子ども・若者が主体となる居場所の必要性が明らかとなり、更に個人のストーリーから分かることがあると考え、「居場所を開いている大人」「高校生や若者」に対するヒアリングを進めています次項有

現在進行中のヒアリングですが、少しだけ中身をチラっとお見せしますexclamation×2どんっ(衝撃)

若者の声カラオケ
「家も学校も居心地があまり良くないから将来は暖かい家庭で過ごせるといいな」
「中学の頃はボランティアに参加したくても先生に参加申請をしなくちゃいけなくてしづらかった。高校に入って自分でネットから登録できるようになって気楽に参加できるようになった」
「高校で先生と個人的な話をすることはないし、なんか合わないなと思うから学校は居場所と思ったことがない」
「学校の外で活動していることがあって、自分にとってはそこが自分の居場所だと感じる」

居場所を作っている大人の声カラオケ
「大学生と高校生の関わるイベントを設けると、そのイベントを通して次第にちょっとした相談をする仲になっていたりして意義を感じる」
「いろいろなことを「どうせ…」と諦めている子や「何故ここにいる必要があるのか分からない」という子が多い。社会に出る前に成功体験を積む手助けをしたい」
視覚障害のある人のデジタルサポーター育成講座開催のお知らせ [2024年10月01日(Tue)]

デジタルサポーター育成講座 受講生募集

日常生活においてスマホ携帯電話使用が広がっていますね。
スマホはとても便利な機器ですが、操作に不慣れな方が取り残される恐れがあります。

静岡県では、情報格差(デジタルデバイド)解消に向けて、
みじかな人が気軽に相談できる人材となれるよう
「デジタルサポーター育成講座」を開催しています。
今回は、視覚障害のある人のサポーター育成講座を開催します。

第1回は晴眼者の方でサポーター希望の方を対象とします。
第2回は視覚障害当事者でサポーター希望の方を対象とします。

ぜひご参加いただき、みじかなところでお困りの方をサポートしませんか?
受講後、皆さまに『デジタルサポーター認定証』を配布いたします。

第1回(晴眼者対象
日時:2024年11月23日(土)13:00〜15:30(受付 12:30〜)
会場:ウイズかじまち
   浜松市中央区鍛冶町124マルHビル4階C号
参加費:無料
定員:20名
機器:iPhoneSEを用意します
募集期間:2024年9月20日〜2024年10月31日

第2回(視覚障害当事者対象)
日時:2025年2月1日(土)10:00〜12:00受付 9:30)
会場:ウイズかじまち
   浜松市中央区鍛冶町124マルHビル4階C号
参加費:無料
定員:5名
機器:iPhoneSEを用意します
募集期間:2024年9月20日〜2024年10月31日

内容は各回共通です。
・ビジョンサポート(アクセシビリティ設定など)
・Voice Over(音声読み上げ)操作
・視覚障害者にとって便利なアプリ紹介と体験

お申し込みは下記フォームからお願いします。
https://forms.gle/7RkKA7TLvwxcqyMUA
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お問い合わせ先
浜松NPOネットワークセンター (担当 島田)
TEL:053-445-3717

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障害のある人の在宅就労支援事業「ぽけっと工房」を振り返って [2024年09月02日(Mon)]

「ぽけっと工房」をふりかえる

パソコンを使った障害のある人の在宅就労支援事業「ぽけっと工房」は2024年3月をもって終了となりました。18年の長きにわたる事業を振り返ります。

◆事業のはじまり
 事業が正式にスタートしたのは2006年。その年に静岡県の「バーチャル工房支援事業」を県内唯一の委託先として採択されたのでした。それ以前から、N-Pocketが管理運営していた「静岡県西部障害者マルチメディア情報センター」で習得したIT技術を、仕事に生かしたいという障害のある方からの声があり、自主事業としてWebページ作成をコツコツとやってきたという経緯があります。

◆働く人、仕事、支える人をつなげる
 事業は、現場では働きにくいけれどパソコンを使った在宅就労したいという人(以下テレワーカー)とテレワーカーに仕事を頼みたいという事業者や個人などを結び付け、テレワーカー、発注元双方に対して、受発注や支払いのやり取り、品質管理・工程管理、納品に責任をもつというもの。実績のない中で委託事業として、テレワーカーの募集、技術や働き方そのものを学ぶ研修会、発注元の開拓など手探りでやってきました。
 テレワーカーの登録者はのべ42名にのぼりました。障害の程度は重度から軽度、他の人といっしょに働きにくいという人まで。またバリバリ働いた経験のある人から一度も働いたことがない人。年齢も10代から60代まで。本当にいろいろな人に出会いました。技術的にも文字入力をようやく覚えた人からプログラマだった人までさまざま。それぞれの人が大変困難な状況にあったり、痛みや悲しみ、怒り、悩みを経験されたりしてきていますが、どなたも仕事をしたい、社会とつながりたいという思いで、非常に熱心に仕事に取り組んでくれました。ご家族から、「中途で車いすになって塞ぎがちだったけど、仕事をするようになってから笑顔がでてきた」とか、「遊びに連れ出そうとしたら『今仕事しているからダメ』と断られたとか、うれしい報告をいただいたりしました。
 受注も自治体、大学、企業、NPO法人、団体、個人などから、Webページ作成、Webページメンテナンス、ブログ記事作成、テープ起こし、デザイン作成、点訳、墨字訳、文字入力、数字入力、アンケート集計など多岐にわたりました。事業の意義を理解してあえて発注してくださるところも多く、期待にそえる水準の納品を心掛けました。
 誰にでも見やすく情報が得やすいかどうかのウェブサイトのユニバーサルデザインチェックは、障害当事者だからこその業務で、皆ではりきって意見を出し合いました。会議、講演、インタビューなどの録音データを文字化するテープ起こしは視覚障害の方の得意業務。仕事が早くて評判でした。一つ一つの業務がそれぞれに思い出深く枚挙にいとまがありませんが、長期に手掛けた静岡県弁護士会のWebページに関わる仕事については次号で報告いたします。
 これらの業務を遂行するにあたってはHさんとMさんの親身に寄り添った技術支援なくしては語れません。どんどん進化するIT技術。品質やセキュリティにも厳しい目がありますが、その都度、要望に対応できるように適切にアドバイスいただきました。感謝です。

◆活動の意義
 テレワーカーひとりひとりの個性、強み、適正、環境などを考慮して受注業務の切り分けとマッチング、さらに業務中のバックアップ体制を大切にしてきました。ここを丁寧にすることが、テレワーカーにも発注元にも満足度の高い納品につながります。
 しかし残念ながら、県の委託事業も途中で打ち切りとなり、2014年度からは自主事業で何とか継続してきました。一般社会では、ツールの向上、経費削減、情報管理などから業務の内製化が進みました。社員や健常な人が在宅で仕事をすることも特殊ではなくなりました。そんな要因もあって発注は激変しました。仕事をしたい人はたくさんいるけれど受注業務がないという状態。そこをうまく乗り越えられなかったのは力及ばずでした。
 障害者雇用の動きは進み、働く現場で合理的配慮をしながら働く権利を保障するという認識は広まっています。在宅就労であっても、いや在宅就労であるからこそ、仕事をやり遂げて対価を得る喜びは、社会とつながっている実感となります。そうした現場に立ち会えたことは、私にとって大きな学びと励みの場でありました。
 これからも社会はますます変容していくでしょうけれど、どんな時でも働く喜び、つながる喜びを分かち合える社会であってほしいと願います。N-Pocketとして、出会った人とつながり続け、できることをやっていきたいと思います。

◆テレワーカーからの声
テレワーカーからメッセージをいただきましたのでその一部を紹介します。少しは事業の成果があったのかなとの思いでいます。

★Nさん
 ぽけっと工房が終わることを知り、驚きました。
自分の歴史を振り返ることができました。 初めて自分のしたことに対してお金をいただくという経験をさせていただきました。 また、パソコンの勉強や活字での決まり事も学ばせていただきました。 なにより、わたしも仕事ができるんだと自信が持てたことはこの事業に関わらせていただいた大きな宝物でした。

★Tさん
 沢山の学びと出会いがあり、スタッフの皆様のご指導のもとで微力ながら楽しくお仕事をさせていただきました。気が付けばここは私の大切な居場所となっていました。

★Oさん
 当時から、ここで自立していくことはできないよと言われるのが分かるほど案件の数も多くなく、収入としても微々たるものでしたが、作業者の個性やハンデにレッテルを貼ることなく受け入れてくれて、環境等を考慮してサポートしてくれながら、不安を少なくして取り組めたり継続できることは、今でも他の仕事ではまず見受けられません。
 私の人生の中でも細く浅く、しかし長く無理なくできた、数少ない仕事経験でありました。

★Tさん
 ザザシティのPC教室から、入力のお仕事いただいたり、スタッフの方に色々ご指導いただき有り難うございました。懐かしく思います。
 私は、結構高齢になって、パソコンも入力程度ですが、どうにか在宅の仕事にしがみついております。現実は、PCの進化と共に、PCのプログラム作成ができる人が入ってきて、
手入力の仕事が少なくなっているので、いつまでもやれるか不安もあります。
N-Pocketさん、終了してしまわれる事に寂しさを感じます。時々、HPを拝見させていただいたりしております。これからもこっそりHPを拝見させていただきたいと思います。皆さんのご活躍とご健康を心からお祈りいたします。

★Mさん
 先行き見えない病気を抱えて社会的な居場所がなくて不安120%だった時に、ぽけっと工房に出会って関わって「ここからできることがある」「ひとりじゃない」「できることを増やすサポートをしてくれる人たちがいる」そんな前向きで暖かい気持ちを持てたことがどれだけの救いになったことか。浜松から焼津に帰る道すがらついにこにこしたことを今も覚えています。
 ついつい日々の生活で手一杯になってしまいがちだけど、ささやかでもこういうことを
コツコツ発信していこうと改めて思いました。本当に本当にぽけっと工房には感謝しかないです!

      
(ぽけっと工房事業担当 大野木里美)
若者・子どもの声を聞かずして居場所づくりは始まらない [2024年07月30日(Tue)]

 昨年度、日本郵便年賀寄付金助成事業ぴかぴか(新しい)の多様な子どもの育ち応援事業内で「通信制/定時制高校に通っている生徒が自由にすごせる居場所についての調査」を行いました。アンケート作成と集計は静岡大学情報学部の笹原恵教授とゼミ生の皆さんにご協力いただきました。2023年12月15日〜2024年1月31日という1ヶ月半の収集期間内に通信制/定時制高校生448名(定時制公立高校生約5割、通信制私立高校生4割弱)の声が集まりました。

◆通信制・定時制高校の需要の拡大
 何らかの理由で学校に通えなくなった、もしくは既存の形の学校という場に通わない選択をした子ども達が進学先として通信制高校を選択する、というケースが近年増えてきています。
 通信制高校は、平日毎日朝8時晴れから夕方まで学校に行き、決められた教科を勉強する、という今までの『普通』とは違い、授業や登校の有無を選択するという点で自由度が高く、生徒自身で自分に必要な学びを選んでいくことが出来るという特徴があります。
 また、定時制高校については通常夕方から夜夜に学校に通う形をとり、4年で高校を卒業することができ、働きながら通う生徒も多い状況です。外国ルーツの子どもたちが通う場合も多く、同じルーツ、コミュニティ内で同じ定時制高校に進学するというケースもあります。「自分の生活スタイルに合う」「学力に見合う」「働きながら通える」「人間関係の心配がない」というものが進学先の決め手となるようです。

◆居場所は「学校」「家庭」だけで十分か?
 アンケート回答者全体としては7割近い人が学校を居心地の良い場所だと感じているようでしたし、家庭に居心地の良さを感じている人も90%近く、ほとんどの人が居場所であると感じているようです。これだけを見ると、高校生の居場所は家家と学校いすで十分足りているとも捉えられる結果ですが、自由記述欄には「居場所が少ないと感じる」「居場所がない子が行く場所がすくない」「逃げ場所がほぼ無いように感じる。どこに行っても制限が多く感じる。」といった記述も多数見られ、家や学校に居場所を見出せなかった子ども達の安心できる場所わーい(嬉しい顔)をつくることが課題とも言えます。
 現在、浜松市には児童館(乳幼児から中高生が対象の施設)や市民恊働センタービルのフリースペース、クリエート浜松の1階エントランス、ザザシティ中央館5階の交流ロビーなど、子ども・若者が利用できる開かれた場所はあるものの、周知度は全体的に低く「一つも知らない」という人が5割以上も達しています。家や学校以外で行きたい居場所としては、「お金がかからない」「フリーWi-Fi無料があり冷暖房が快適なところ」「長時間いても注意されない」「おしゃべりができる」の割合が高く、自由記述からは「大人が作った居場所は欲しいのと違う気がする」「もっと自由に活動ができる場所が欲しい。例えば音楽活動カラオケが気軽にできる場所や、他校の生徒と交流ができる。」という、子ども・若者が主体となり居場所を作っていく必要性も感じられました。
 
◆今後の活動予定
 2023年度の調査活動は、アンケート結果を単純に集計したものを元に結果をまとめるところまでを行いました。今年度はさらに深く分析を進め、それと同時に上記の結果を受けて、高校生へのヒアリング・地域で居場所づくりを行う方々へのヒアリング耳をすることで子ども・若者が主体となる居場所づくりへの一歩右斜め上となるよう活動をしていきます。
       
(子ども支援事業担当 大山湧希)

N-Pocketの「多様な人々の社会参加を進める活動〜こども編〜」をご紹介 [2024年07月26日(Fri)]

多様な人々の社会参加を進める活動〜こども編〜


夜子ども若者の抱える困難さ夜
 N-Pocketを設立した頃、地域には福祉関係の団体活動を支援する社会福祉協議会しか中間支援的な組織はなく、それ以外の環境や教育、多文化などの団体活動支援を行うための中間支援組織が必要な状況がありました。私たちは中間支援活動を核にして地域の様々な社会資源を繋ぐと同時に「ソーシャル・インクルージョン」を掲げながら、多様な人々の社会参加支援活動を現場で進めてきましたが、その対象の一つが外国ルーツの子どもたちです。

 2000年当時、浜松市の外国人登録は既に総人口の約3%を超えていましたが、その施策は国際交流を越えた多文化共生という視点は十分でありませんでした。N-Pocketはブラジル人学校等に通う青少年を対象に「ブラジル人青少年の意識と就学環境調査」を行いましたが、日本の学校での就学経験があった者の半数強が、言葉の壁によるコミュニケーションの大変さや孤独さ、差別があると回答しました。浜松市も外国ルーツの子どもの教育に関しては喫緊の課題として2011年度から不就学ゼロ作戦に取り組みましたが、今なお外国ルーツの子どもの教育環境改善に課題は多く残り、例えば学校での習字の授業や冬休みの書初めでの「半紙」など習字道具に関わることや宿題の価値などの言語や文化の違い、本人や保護者、学校側の相互理解の不十分さから、子どもへの評価が厳しいものになりがちだと私たちの活動を通して感じるものが多々あります。因みに2022年度では公立中学校からの外国ルーツの子どもの高校進学率は8割(全体98.8%)を超えますが、そのうち3割前後が定時制進学になっています。

 また、経済的困窮状態にある家庭の子どもに対し、市では2021年度に「子どもの未来サポートプロジェクト」を策定し、集団型学習支援教室を21か所に増やしましたが、個別支援や訪問型のものは皆無であるため、様々な理由から通える力のない子どもは利用できず、市のスクールソーシャルワーカーが柔軟に対応できるN-Pocketの無料訪問型学習支援を要請してくることが増えています。学校に通えなくなった子どもたち(小中学生全欠席)は浜松市の場合、2020年度1472人が2022年度には2210人と1.5倍に増えました。

新幹線義務教育後の子どもたち新幹線
 NPOが様々な形で子どものための居場所づくりを行っていますが、家庭や地域で子どもを育む力が弱っている上に、お金で買う子育てや教育サービスが氾濫している社会ではそもそも子育て自体が難しい。「安心して」子育てをしたり、子どもたちが「安心して」居られる拠点・遊びの場が必要だと考え、そのための人材養成や公園を社会に開く事業を市と協働で行ってきましたが、浜松市には保育や放課後児童会などの支援は整っているものの、18歳未満の子どもが使えるはずの児童館は4館しかありません。そしていわゆる学校教育法でいう児童向けのプログラムで運営されているため、ハイティーンの公的居場所は十分にありません。このように外国ルーツの子どもたちの教育環境問題に重ね、中学卒業後の社会支援の薄さやその視点も大きな問題だと思っています。

雷社会の変化と今後の課題雷
 今年度から浜松市の子ども関係の部署名の一つが「こども若者政策課」となりましたが、今までは「育成」という言葉が多く「主体としての青少年」という視点が弱かったと思います。また高校生自身から「稼いでいない子どもは大人に意見を言ってはいけないと思った」という発言もあり驚きましたが、青少年の育ちの状況を知ること、青少年の声を聴くこと、それを社会に伝えることで、青少年の社会参画の一歩を進めたいと思っています。
 今年も訪問型の学習や得意なことを伸ばす支援とハイティーンを対象にした調査活動を続けます。そして中間支援活動として、議員やNPOを交えた円卓会議でそれらから見えてきた課題を共有する予定です。皆さんのご参画をお待ちしております。

(井ノ上美津恵)
「通信制/定時制高校に通っている生徒が自由にすごせる居場所についてのアンケート」ご協力のお願い [2023年12月28日(Thu)]

飛行機「通信制/定時制高校に通っている生徒が

自由にすごせる居場所についての調査」

へのご協力のお願い飛行機


(対象者は定時制・通信制高校に通う高校生です)


こちらからご回答くださいひらめき
https://forms.gle/AP3yQT3YfLvUkBb4A

※所要時間は5〜10分で短時間で終了します!
※アンケート収集期間:2023年12月15日18:00〜2024年1月31日18:00


 Nポケットは今年度、子ども・若者たちがこうなったらいいなという思いをもって安心して社会参画できるよう、その仕組みづくりのために活動をしてきました。

 学校と家でほとんどの時間を過ごす子ども達の頼れる相手は学校の先生か保護者しかいない、という場合も少なくなく、先生も保護者の方も多くの負担を背負い続けていることで疲弊してしまう、ということも少なくありません。
 特に、義務教育終了後の子ども達の進学先が多様化したことにより、行政でさえも子ども達の生活や人との関わりの実態が把握できていないという課題が上がってきました。



 そこで、通信制/定時制高校を選んだ生徒さん達へ学校や家での生活、今困っていること、相談できる人がいるかどうか、などの様子について聞くことで、高校生たちがもっと社会の中で頼れる場所を増やす必要がある!ということを浜松市や他団体へ提言することへ繋げたく、アンケートを実施することになりました。

 回答は全て統計的に処理をし、個人情報を公開することはありません。皆さんへはこのアンケートのご協力、周知のご協力をどうぞよろしくお願い致します。

携帯電話お問い合わせ
TEL:053−445-3717  E-mail:info@n-pocket.jp 
静岡県で障害のある人の雇用と就労をすすめるためのネットワークを紹介 [2023年09月05日(Tue)]

しずおか障害者就労支援ネットワーク

静岡県ジョブコーチは「しずおか障害者就労支援ネットワーク」の7つの拠点がそれぞれの地域で活動しつつ、他地域とのネットワークを活用してより良い支援を心がけています。各拠点を紹介します。

ひらめき 駿豆拠点(旧 三島拠点)
この4月から、拠点名が変わりました。「すんず」と読みます。11名の仲間、老若男女が各自の持ち味を発揮しています。
支援エリアは県東部の沼津・三島から御殿場・小山方面。そして伊豆半島一体です。しかし、まだフットワーク良く動ける迄には至らない。展開する産業もエリア同様に幅広いです。
チーム駿豆は、地元企業への理解、その地で働く障害者が生きがいを感じて仕事ができるよう応援、伴走していきたいと思います。

ひらめき 富士拠点
個性豊かな8名のJCが所属しています。
支援内容が複雑化している昨今、私達はそれぞれの対象者に合わせたオーダーメイドの支援を実現するため、拠点ミーティングでの意見交換や関係機関との連携を大切にしています。様々な人の価値観や考え方を知ることは、自分達の学びにも繋がっています。
障害のある方が社会から孤立せず生きがいを持って生活していけるよう、これからもひとつひとつの支援に丁寧に向き合っていきたいと思います。

ひらめき 静岡拠点
男性2名女性3名の計5名で静岡市葵区、駿河区、清水区を支援しています。西は焼津市の境から東は富士川までの東西35kmくらいです。静岡県ジョブコーチの拠点の中で唯一男性が代表をしています。
障害は知的障害と精神障害の方が3:1くらいのイメージですが、精神障害の方の割合が上がってきています。支援対象者の年代も20代から50代と、また製造業やサービス業、物流、介護施設などと幅広く支援をさせていただいております。

ひらめき 志太榛原拠点(旧 藤枝拠点)
新たに志太榛原拠点として今年度4月から担当させて頂きます田中です。
この地域で一緒に応援していくのは、障害者就業・生活支援センター『ぼらんち』と島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、吉田町、川根本町の福祉課と各支援施設、求人情報は焼津、島田、榛原のハローワーク、特別支援学校は藤枝、焼津分校 吉田、駿遠分教室、県の雇用促進事業オールしずおかベストコミュニティ、職域拡大事業コネクトラボが主な関係機関となります。どうぞよろしくお願いいたします。

ひらめき 中遠拠点
9名が天竜川東側から御前崎までの5市1町で活動しています。いろいろな経歴・経験を持ち、優しい気持ちと強い志しを持った頼りがいのある仲間たちです。得意分野を生かしながら、持ち味を出し丁寧な支援を心がけています。
 支援先は製造業が多くマニュアル化された作業は障害者にとってわかりやすいと思います。対象者さんもやりがい、生きがいを感じているようです。また近年は事務補助の仕事も増えてきました。パソコン入力や会議のテープ起こし等の作業です。障害をもっているから単純作業という勝手な思い込みで可能性をつぶしてはいけないと思っています。
何が就労継続を妨げているのかを、観察力、考察力、推察力を駆使し見極めていく事が大事になっています。

ひらめき 浜松拠点
現在ジョブコーチは8名です。4月に拠点代表が交代したばかり、心機一転、新たな体制で活動が始まりました。ベテランから中堅、まだ新しいメンバーもいますが、様々な職種の経験者がそろい、協力して頑張っています。
近年は、精神障害の方や復職支援も増えてきました。それぞれの得意分野や経験を生かしながら対象者や事業所と向き合っていきたいと思います。引き続き、関係機関、オールしずおかと連携して丁寧な支援を行っていきます。

ひらめき 湖西拠点
男性2名、女性7名の9名が活動しています。地域は浜松市西部、北部、湖西市が主ですが、浜松市南部や東部の支援を行う事もあります。
精神障害・発達障害・重複障害が半数を超えています。安定した就労ができるよう聞取りを丁寧に行って支援を行います。

【静岡県ジョブコーチ派遣に関する事業について】
この事業は、静岡県経済産業部就業支援局から認定NPO法人浜松NPOネットワークセンター(n-Pocket)に委託された事業です。県下7つの活動拠点をもうけ、その各拠点に所属する障害や福祉、労働に関する知識と経験をもつジョブコーチ(就業支援者)がご家庭、学校、施設、ハローワーク等と連携をとりながら、障がいのある方が職場に定着できるように、事業所の方々とご本人をサポートします。相談やジョブコーチ派遣の利用料はかかりません。県内7か所の拠点に直接依頼できますが、エヌポケット(053-445-3717)までまずはお問合せ下さい。
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(ジョブコーチ事業担当 島田江津子)

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