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生きづらさの低年齢化 前半[2021年11月25日(Thu)]
 文科省の発表によると、2020年度に不登校だった小・中学生は19万6127人(※)。
不登校は8年連続で増加し、1966年度の統計開始以降、過去最多となりました。
専門家や不登校の支援者に話を聞くと
増加の背景には「新型コロナウイルス感染症拡大の影響」と
「生きづらさの低年齢化」があるようです。
今回は不登校がなぜ増えたのか、その背景を解説するとともに
いま社会に求められる解決策を紹介したいと思います。

10年間の不登校推移。文科省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」より筆者作図
 不登校増加の背景の1つが「コロナ禍」です。
15年間、中学校教員を務めてきた方は、学校現場で
子どもたちの異変を感じているそうです。

これほど不安定な子どもたちを見たことがない
 「この一年間、学校は大きく揺れました。コロナの影響で学校は3カ月間の一斉休校。自宅ですごすあいだも、子どもたちは不安だったと思います。もちろん学校が開けてからは、もっとたいへんでした。部活がなくなり、修学旅行がなくなり、学校行事がなくなる。そのなかには『一生に一度だ』と子どもが楽しみにしていた行事や大会もあります。それらのことごとくがなくなった。気がつけば、子どもたちのなかには無力感が漂っていました。
『がんばっても発揮できる場がない』と思ったのでしょう。長年、学校で勤めていますが、ここまで不安感で揺れる子どもたちを見たことがありません。コロナ禍のストレスが、言葉にならないまま、モヤモヤとした気持ちを抱えているのでしょう。しかも、昨年から今年にかけて状況は悪くなっています。今回の調査は『昨年度の不登校』の結果だそうですが、今年度の不登校の数はもっと増えているはずです」(中学校教員)

 直接、コロナに感染することだけではなく、感染拡大に伴って授業や学校行事の日程が変わることが大きな要因になっていました。
教員は「不安を抱えた子どもたちの心に寄り添い、耳を傾け、笑顔で接していくことが必要」だと強く訴えていました。

 臨床心理士・緒方広海さんも教員と同様の問題認識を感じていました。
「学校自体がバタバタしていて、子どもからも大人からも混乱する声を聞いた」と。
今日は登校日なのか、休校なのか、分散登校なのか、リモート授業なのか。
学校のあり方は親の仕事にも影響をしますから、混乱は全国で生じていたようです。

早すぎる勉強のペースに
 コロナ禍の影響のもう一つが「勉強のペース」です。教育学者・内田良さんは「勉強のペース」を心配のひとつに挙げていました。

教育学者・内田良さん
 「昨年の春ごろには、『今年の子どもたちは9月入学にしないか』という話がありました。予定より2カ月も授業が遅れたらリカバリーが難しいので
思い切って『9月入学にしてしまおう』という案でした。
ところが、学校が始まるとそんな授業ペースを不安視する声は一掃されました。
とても不思議でした。もしかしたら部活や行事を削る一方で、宿題を増やし
授業数を増やし、授業のピッチを上げる。
こうした対応で表面上の遅れだけを取り繕ってしまったのではないでしょうか。
これらは、子どもたちにとって強い負荷がある日常だったと思います」(教育学者・内田良)
 
内田良さんの指摘を裏付ける話があります。
ある中学生は、昨年の6月にこんな話をしてくれました。

「休校が明けてから授業のペースはすごく早くなりました。コロナが始まる前は、授業1コマで、教科書の2ページ分ずつぐらい進んでいたのが、いまは6ページぐらい。3倍ぐらいのスピードで授業が進む。先生もすごく焦っている感じで、いつも授業は早口でした。短時間でやったから全然、頭にも入っていないし、つらかったです」(中学2年生・女性)

 学力は「理解する」という積み重ねで上がっていきます。
急ピッチの授業では理解しきれず、後々の学力低下につながることがあります。
コロナ禍で突然の学力低下に苦しみ、不登校になった女子中学生もいました。
彼女はまじめに勉強をするタイプだったため、
「成績不振の理由がわからなかった」と語っていました。
これもまたコロナ禍の見えない影響のひとつでしょう。

 コロナ禍で学校行事に変更があり、授業ペースに変化があったこと
大人から見ればたいしたことがないと思うかもしれません。
しかし、子どもたちからは苦しんできた声をたくさん聞きました。
不登校増加の背景には、こうしたコロナ禍の影響があったと考えられます。

生きづらさを感じる年齢が低くなりつつある
 もう一つの背景が「生きづらさの低年齢化」 です。
不登校のなかでも「小学生の不登校」は年々、増えています。
しかも直近5年間で倍増するなど増加のペースも早いのです。
また不登校の数がどれだけ増えたかという「増加数」でも中学生を上回りました。
昨年度、不登校だった小学生は前年比で1万人増、中学生では4855人増。増加数で小学生が中学生を上回ったのは1966年以降でも3度しかありません。


Posted by hahaちゃん at 10:00 | 学び | この記事のURL
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