自家用無償運送を適当にやるの巻 [2017年12月16日(Sat)]
以前から少し気になっていた、九州の某市の自治会が展開している、住民自身がドライバーとなって、企業から寄贈されたワンボックスカーを、市内各所に巡回させる試みですが、これは企業と市と自治会などが協業する新しいやり方ではないかと思い直し、これを我が町の某自治会にも展開できないかと考えつきました。
既に6年間もこの試みが続いており、年間1万人に近い方々が利用しております。ボランティアドライバーも20人近くが参加。何と素晴らしい取り組みでしょう。 この取り組みを、担当する運輸局も警察も認めたとすれば、これも大きな援軍になると考えました。 そこで、より詳細な話をお聞きしようとこの取り組みを行っている事務局に電話しましたが誰も出ず。 仕方なく、直接運輸局に確認しようと思い直しあちこち電話してやっと担当の方と話が繋がりました。 しかし、何やら運輸局のそのご担当の方の歯切れが悪いので更にお聞きしていくと、何と、この取り組みについては「有償運送」に該当する可能性が高いとのことで、現在、行政指導中だとか。 既に6年間も違法状態が放置されていた訳ですが、当局がHPで知ったのは1年前だとか。まさかこんなことがあるのかと、こちらもビックリでした。 疑問なのは、この無償運送を考えた自治会の方々は、当初は自家用有償運送でやろうと思ったそうです。しかし、それだと市の交通会議などを経て数年の時間がかかるので断念し、住民を無償で乗せるなら問題ないとどなたかから聞いて、市や企業やその他団体を巻き込んで協議会まで作って、今の仕組み(違法状態の)で6年も前にスタートしたようです。 なぜ、その時運輸局にコンタクトして、具体的なやり方について確認しなかったのか?市の担当の方もなぜそのような助言をしなかったのか? ここのところが全く理解に苦しみます。うがった見方をすれば、実際に運用して実績を作れば勝ち、といった気持ちがなかったのかということです。 今の道路運送法を改善しなければならない部分があるのは誰しも感じておりますが、だからといってその法律に準じることなく勝手に始めて良い訳はありません。 実は、私の住む町の近隣の自治会でも同じようなことをやっております。担当の役員はグレーゾーンで運用していると自らおっしゃっておりましたが、道路運送法の無償運送のガイドラインからすると明らかに違法です。何故なら、換金性のある商品券をドライバーは貰っているからです。その自治会が作っている協議会に今年の夏に実際に出向きました。そして、当方の無償運送の仕組みをご説明し、潜在的に移動に困難を抱えている自治会住民にもっと利用して頂くため、これからこの取り組みを拡げていこうではないかということで、その日は話が大いに盛り上がり、私も随分と勇気づけられました。立派な応接室での「歓待」(笑)でした。 ところが、2−3日後に再度アポイントを取ってお伺いしたのですが、何と、薄暗い倉庫に案内され、「これは我々なりのやり方なので、このやり方を変えるつもりはない。」と、けんもほろろの対応でした。早く帰って欲しいとばかりに、次の面会者の方が15分ぐらいしたら尋ねてくる始末。 この急変した対応には驚きを超えて、「これは一体どういうことだろう」とずっと心に引っかかっております。1つ考えられるのは、自分達の「違法状態」を認めたくない、あるいは告発されたくないので、私との一切の接触を断とうと、仲間内で集まって決めたということです。これ以外には考えられません。人はここまで豹変するものなのか? 私なら、「違法状態」が分かった段階で「適法」な方法にできるだけ早く変えないと気持ちが悪くて仕方ありません。何よりも地域住民の方を毎日クルマで運んでいる訳ですから、それが違法だと分かったら利用者に対しても申し開きできないからです。もし事故が起きたらどう説明するのでしょう? このケースも市が関与しております。市はそのあたり何も言っていないようです。そうした取り組みの実績を作ることだけが市のミッションのようです。 こうした例を実際に見聞きするにつれ、一体、この社会の住民主体の運動に関わる方々の「心」はどうなっているのか疑問に感じざるを得ません。 |