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何のためにこんなことをやっているのか? [2019年09月02日(Mon)]
会社を辞めてから14年も経ってから、今の町に移り住んでしばらくして、互助送迎なるものを一人で始めました。つまり、燃料費だけを頂いて地域の皆さん(移動困難な事情を抱えている方だけですが。)を医療機関やスーパー、公共施設などへお運びする活動です。

この活動を、当初は「ボランティア」と称しておりましたが、どうもしっくりこないので、今はあえて「活動」と言っております。

今日のテーマは、何故こんなことを始めたのか?ということです。

自分でも、どうやら成り行きでこんなことをする羽目になったとしか思えません。何しろ、燃料費だけということは、時給ゼロ円ということになります。しかも送迎相手は身内でも何でもない真っ赤な赤の他人です。

この活動、一言で言い表すなら、「運転手付き、無料レンタカーサービス」ということになります。まともに考えれば、こんなにうまい話がこの世の中にあるのか?という疑問がわき起こって当然ですね。

従って、この「甘い蜜」には、当然「自己利益を最大化する」という人間の本能に導かれた方々が群がってきます。その数、大体、2−3割です。

これはこの活動を始める前には思いもよりませんでした。つまり頭でっかちの私は、人間の「善意」というものをほぼ100%信じていた訳です。まさに、「地獄への道は善意に満ち満ちている」です。

しかし、これは薬で言えば副作用というものですね。副作用があるからと言って、一切の薬を拒絶するのは、これは行き過ぎというものです。要は、副作用は注意深く除去すればいい訳です。

そして、除去して残った方々は、まさに善意の方々ばかりです。今日、ある思想家というか、評論家というか、哲学者というか、私が注目している若手が書いた本を読んでいたら、次のような一節に当たりました。

「そもそも、人生の困難なるものは、自分と世界とのズレの表れである。」

「困難な時期を支えるとは、言い換えれば、支える相手と世界の関係が変化する過程に、時間をかけてつきあうということである。」

今日はたまたま1件だけ送迎しました。

その方のご主人は1ヶ月前に倒れて医療センターで治療を受けておりますが、いわゆる脳死状態です。それでも、延命治療ではなく、穏やかな死を迎えるために医師は精一杯の治療をしております。そのためか、肺炎に罹っても抗生物質が功を奏して未だご存命です。

いつ、病院からコールがあるのか、ご本人は電話が鳴るたびに命が縮む思いだそうです。

その困難な時期にあるその方を、医療センターとか、その方が生きるための食料調達とかに、私がたまたま時間をかけて付き合っております。

これは、考えてみれば奇妙な事態です。何で、見ず知らずの私がこんなことにかかわっているのか?しかし、この方を送迎するときは、実に心地よい心理状態になります。これは不思議です。この感覚が、まさに私を今の互助送迎に駆り立ているものではないかと思います。

この不思議な感覚は、この互助送迎という活動を始めてみない限り、一生分からなかったでしょう。これがある意味、この世に生を受けた人間だけが味わうことが出来る冥利かと。。
この記事のURL
https://blog.canpan.info/morocco/archive/49
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コメント
利用者の中には、この送迎のことを「ボランティア・タクシー」と分かりやすく表現している方もいますが、ウーバーのような形態は、日本では白タクとして扱われ、頑として認められておりません。

経済的な意味でのメリットを、人間はどうしても考えがちですが、この活動において経済的なメリットを得ることは、まず難しいですね。

利用者の抱えている困難をできるだけ聞き及んで、自分でできることはする、そうすることで、私自身もその方も今の世界との関わり方に少しでも変化が出て、それが周りに少しでも波及するのなら、これに勝るメリットはないと考えております。
Posted by:花岡  at 2020年02月11日(Tue) 20:21

母の住む町はコミュニティバスもなく
一人暮らしのため遠方に行くには
タクシーに頼らざるを得ません。
そこでボランティア的なタクシーのようなものを
運用することはできないかと思って調べていたら
このブログにたどり着きました。
運ぶ人にももう少しメリットのある形が
できたら運営することができるのではと
色々と考えています。
なかなか難しいことだと思いますが
実際にやられているのはすごいです。
またのぞかせていただきます。
Posted by:矢吹博志  at 2020年02月11日(Tue) 15:56

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