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ポイズンリムーバー [2011年08月27日(Sat)]
8月も終わりに近づいてきましたが、皆さんの活動は安全に行われていますか?

この夏は、節電の影響もあって「酷暑」といった暑さにつられ、熱中症が大きく取りだたされてきました。

しかし、夏場のもう一つの危険として「ハチ」がいます。
ことしは、いつもの年よりもハチの数が少なく感じられますが、ここ奥多摩では、活動フィールドの近くでオオスズメバチの営巣が確認されたり、これまであまり見たことの無かったフタモンアシナガバチを確認したりと、地道に「ハチ」は身近にいます。

今年の「ハチ対策講座2011」は既に終わってしまいましたが、ハチ刺されの必須品である毒吸い出し器(ポイズンリムーバー)を紹介します。

ポイズンリムーバーは不幸にもハチに刺されてしまった場合に、素早く体内から毒を吸い出す機器で、傷口にポイズンリムーバーをあてがい、ポンピングすることによって、リムーバー内を陰圧にし、体内の毒を吸い出します。


写真は、オオスズメバチに刺された箇所へポイズンリムーバーを使って毒を吸い出している所です。血液と一緒に透明な液体が見えますが、これが吸い出せた毒になります(すべて毒ではありません。なにかにリンパ液や浸潤液といった体内のものも含まれています)。

経験的にいうと、すべての毒は吸い出せませんが、吸い出すことによって症状はかなり緩和できます。
数年前に両指先を一カ所ずつ刺されましたが、ポインズンリムーバーがひとつしか無いため片手だけ吸い出しを行ったところ、吸い出した方の手は、指と手の甲が少し腫れた程度だったのに比べ、反対の手は腕まで腫れ上がりました。

一般に「ポイズンリムーバー」という商品名で検索することができますが、現在ネットなどで購入できるのは以下の3種類です。


ドクターヘッセル インセクトポイズンリムーバー(デンマーク製)

本体サイズ:全長89mm×幅61mm×高さ27mm 重さ:13g
吸引力※1:-300mmHg

金額的にもサイズ的にも一番軽い製品です。ただし、吸い出し中はずっとレバーを引いておかなければならず不便です。自分の手や腕を刺された場合は、反対の手で吸い出しを行うため、他のことが一切できなくなります。

吸い出し口は、写真の様に大きい口(直径22mm)と、逆付けにした小さい口(直径6mm)の二通りを選択できます。

難点は、壊れやすいこと、筆者は学生自体に使用していましたが、10回持つかどうかで、年間数回買い換えていました。なので、ある程度は使い捨てであるつもりで。しかし、とにかく軽くて安いので、ファストエイドポーチやバックのポケット等どこにでも入れておくことができ、かつ持っていることを忘れてしまうくらい軽い存在です(忘れちゃまずいですが…)。

主な購入可能先:東急ハンズ、ICI石井スポーツなど

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エクストラクター(フランス製)

ケースサイズ:縦83mm×横122mm×高さ35mm 重さ89g
本体サイズ:全長118mm×幅48mm×高さ26mm 重さ26g(吸い出し口含まず)
吸引力※1:-420mmHg

西多摩地域の多くの森林ボランティアが使用しているといっても過言ではないと思います。数年前までは、前述の「インセクトポイズンリムーバー」がダントツでしたが、購入しやすさも手伝って所有者が多くなってきました。

吸い出し方法は、ピストンを引き出してから、傷口に吸い出し口を押しつけ、ピストンを押してゆきます。すると最後に脱気され吸い出し口が陰圧となります。このため、前述の「インセクトポイズンリムーバー」とは違って、一度吸い出しを始めると、(リムーバーを保持する必要はありますが)ピストンをずっと押さえる必要がなく、大変便利です。

用途に合わせた四つの吸い出し口が付いています。
一番小さい口から、直径10mm、16mm×8mm、直径16mm、直径22mmとそろっています。二番目の口は楕円形で使用用途はヘビ毒用(二つの牙をいっぺんに吸い出せる)となっています。
また、一部の製品は、一番小さな口を逆さ付けすることができ、その時の吸い出し口直径は4mmと三機種中最小となります。(付けることができるできないは、生産ロットのせい?)

また、製品によっては(輸入業者によって?)、ケース内に、カミソリやバンドエイドといった付属品が入っているバーリエーションもありますが、薬事法が改正される前のものは、薬品なども入っているものもありました。(現在でも、消毒シート程度のものが入っているものは確認できます)

丈夫です(筆者はもう20年近く使用していますが、まだ使えています)が、難点として、ポンピングの際にけっこうチカラが必要で女性の方にはきついところです(実際、半数の方がピストンを最後まで押し切れず脱気できませんでした)。
ファストエイドポーチ等に入れるには、ある程度の大きさと重さを覚悟する必要がありますが、せめて団体の救急箱やリーダーのファーストエイドポーチには入れておきたい一品です。

主な購入可能先:ICI石井スポーツ、モンベルショップ、東急ハンズなど

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ケアプラス ベノムエクストラクター(オランダ製)

ケースサイズ:縦60mm×幅154mm×高さ45mm 重さ138g
本体サイズ:全長113mm×幅52mm×高さ41mm 重さ83g(吸い出し口含まず)
吸引力※1:-420mmHg

これまであまり目にすることの無かった製品です。数年前に存在だけは知っていましたが、購入する機会が無く手にすることはなく、また、都内で販売している店舗がほとんど無いため周囲のボランティアでも周遊している人は知りませんでした。

本製品の特徴は、吸引時にポンピングをするのではなく、あらかじめポンピングしておき、吸入時にはロックを解除するだけ(実際に本体を傷口に押しつけるだけ)で、吸引します。
このため、前述のエキストラクターのように、ピストンを押す力が足りなくて吸引できないということはありません。

吸い口は、直径15mmと直径20mmの二つ用意されています。なお、小さい方の口は逆さに取り付けることができ、その時の吸い口は直径7mmになります。

筆者は3年ほど前に入手したものの、実際に使用したことが無いため耐久性等については未確認です。しかし、吸引力については前述のエキストラクターとほぼ同等な気がします(あくまでも吸わせた感覚ですが)。

難点としては、吸引を終了するときに、吸引力が強力なため、吸い口を傷口から外しにくいこと、また、ポンピングセットするのにコツが必要で何度か練習しないといけないこと(初めての人に使ってもらうのは難しいかも)。ただし、コツをつかんでしまえばなんてことはありません。
また、重量も3製品の内一番重いため、重量増加については覚悟が必要です(1kg、2kgって程ではないので大げさかもしれませんが)

主な購入可能先:(都内では未確認)

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※1吸引力について
今回、ブルドン管ゲージ計をもちいて簡易的に負圧を測定した。
各ポイズンリムーバーの吸い出し口に耐圧ゴム管を直接セットし3回の測定し、最も高い負圧を採用しました。測定方法によっては、文書中に書かれた負圧と異なる値をしめすことがありますので、あくまで参考としてください。


以上、3種類のポイズンリムーバーを紹介しましたが、いずれもご自分でひとつ所持しておくことをお勧めします。
毒吸い出し時には、一番上の写真にも写っていますように、血液も一緒に吸い出されて来ます。
このため、使用後の器具の消毒が不可欠で、これを怠ると最悪の場合、C型肝炎やHIVといった血液を介して感染する病気に感染しかねません。
また、各団体のリーダーの方も、団体所有のポイズンリムーバーを使用した後は、少なくとも吸い出し口の煮沸消毒といった感染防止対策を行っていただくことを強く希望いたします。


有用な器具を有効な使い方で、安全かつ安心なボランティアライフを満喫ください。

2011/09/05
・負圧測定を行ってみましたので、その結果を文書中に記載しました。
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コメント
とても参考になりました。広島県在住の者です。畑や家の周りにマムシやスズメバチがいますので蛇に対応できる製品を探していました。吸引力もあり携帯性の良いエクストラクターを選ぼうと思います。情報ありがとうございました。
Posted by: はなやさい  at 2014年09月16日(Tue) 10:52