今日は八王子滝山里山保全地域の活動事例から、動植物の調査・記録の方法を学んできました。
八王子滝山里山保全地域は、谷戸の地形に、湿地、田んぼ、雑木林、自然林などの多様な自然が組み合わさっています。
多様な自然をどこからどのように保全するかは、調査によっても方向性が異なってしまいます。
そのため、どのような調査を行い、何に使うかといった目的をはっきりしておく必要があります。
まず動植物の記録の基本は、普段の仕事でよく使っている5W1Hです。
・Who(なにが)
・When(いつ)
・Where(どこに)
・What(なにを)
・Why(どんな状態)
・How(どれだけ)
を意識した構成にすると、情報の主旨が明確になり、かつ過不足なく伝えられます。
ただ「何が」はいつも判るわけではありません。
そういうときは、写真に残して後で調べますが、写真1枚ではわからないときもあります。樹木であれば木肌・枝ぶり・葉の表裏なども写真に撮り、複数の情報が必要になります。
あらかじめフィールドを代表する樹木について、写真と特徴を資料にしておくと、「何が」がすぐわかり、効率よく記録できます。
また「何が」あったかを発見して満足しがちです。
定期的に樹高や幹幅を測ったり、幼虫なのか蛹なのか成虫なのか調べたり、「どんな状態」かを書き進むことで、成長のステージといった観察記録を深められます。
そうして、今あることを記録して明らかにすることで、調査になります。
また今ないことは記録されないので、複数回の記録で明らかにされることもあります。
具体例として、滝山里山の中にあるタヌキの「貯め糞」が紹介されました。
タヌキは家族単位で共同トイレを縄張り内に数ヵ所つくります。定期的な観察と記録によって「貯め糞」の場所を特定することができたということです。
そして季節を通じて糞を調べることでタヌキが何を食べているかを知ることができ、継続的に記録しているそうです。
また、この「貯め糞」を観察することで、糞に集まってくる昆虫類を調べて記録することができます。(当日もちょうどセンチコガネが「貯め糞」を訪れていました。)

経験と知識によって、記録できる動植物はずいぶんと変わります。
フィールドに何度も通って、自然に触れて感度が増すと、より自然の変化を発見するようになると確信しました。